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3:ダンジョンクローラーになろう
256:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、美(食)の女神とミノタウロースさん
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「ミノタウ、ミノタウロースさんじゃぁ、ありませんかっ!」
兎に角、おれが切るしかねえと――小太刀に持ちかえた瞬間。
狙いすましたように――素っ頓狂な声が。
「――一歩遅かったようです――」
いま、スンポコした音ぁ、出なかったぞ!?
いつからいた貴様――――ギャリィィィィィィィンッ!!!
あぶねぇ。気を抜くと、おれの体に大穴があく。
画面の中におどり出た――丸っこくて小さいアイコン。
言わずと知れた――五百乃大角だ。
その現身である御神体を、さらにちんまりとした和菓子か梅干しみたく縮めたアイコンが――――
ふむふむと何かを(たぶん攻略本を)読んでるのか……うわの空で。
「(よし、いまのうちに叩っ切る!)」
息を吸って――――飛んでくる死の方角を探る。
ざりざり――居合いのときはやっぱり、花緒がある草履か下駄の方が良いな。
壁を走るのに靴は楽だけど、地がつかみづれぇ。
――ぅ――ぉ――ぉ――ぉ。
自分の死を感じとる――よし、正面から飛んでくるぞ。
チキリ――――刀を抜。
すとん――寸足らずのズングリした魔物が、3メートルくらいはなれた所に降り立った。
目のまえにあらわれるはずの魔物は――すいぶんとおくに居やがる。
刀を抜いたら息は継げない。
もう振り抜くしかない。
コトコトコトコトッ――――ぐぐぐぐっ!
ゆっくり歩いてきて、目のまえで両足を縮め、いまにも飛び跳ねようとしている。
「(なにやってんだ、魔物め。わからんが――――切る!)」
シュッカァァァァァンッ――――!!
ふぉん♪
『>シガミーのバイタルに〝滅の太刀〟反応』
ふぉん♪
『イオノ>〝滅の太刀〟反応ってなんだっけ?』
ふぉん♪
『>ギルド倒壊時と同じ、看過しかねる生理的兆候です』
ふぉん♪
『イオノ>ふーん、そーなのー? 物騒ねー』
なんか画面端がうるせぇけど――振り抜いてやったぜ!
くるんくるるる――――スゥゥゥゥッ――チャキン♪
刀をおさめる。
ぐらぁり――――倒れていくズングリ魔物の上半身。
「あーーーーーーーーっ!? だめよ切ったら! ミノタウさんわぁ両角を折ってからじゃないと、おいしく食べられないって書いてあるわぁよぉぉぉぅ――――!!!!!!」
知ってる。間にあって良かったぜ。
「――やりマしたね、シガミー♪――」
おうよ、女神め。いまごろ気づいても遅ぇ。
おれひとりなら、うまい飯を食うのに協力してやる所だがな。
今は子供まで居るから、危なくて仕方がねぇ。
おかしな魔物は、おかしな事をされるまえに、切っとくに限る。
「よし切ったぞ。みんな大丈――――!?」
ゾッとした。
心の臓を捉えられた感覚。
ついつい気合いを入れて、放っちまった居合。
研ぎ澄ました呼吸のせいか、激しい鼓動。
血の始まり――自前の回廊の源泉を、狙われてる。
ドゴォォォォォォン――――撃たれる火縄――――大角がおれの心の臓を貫く!
二つにしたはずの寸足らずが、一つのままだ。
赤い目をすがめた魔物は、やっぱり普通じゃなかった。
「(おれぁ間違いなく、切ったぞ!?)」
どうなって――――!?
「なにを、よそ見なんてしていますのぉ――――!」
大角に届く、一筋の光。
それは細身の豪奢な剣だった。
ギュギィィィィィィィィンッ――――グギュギッ!!!
曲がる刀身。
それでもさらに間合いを詰める――ガムラン最強の剣。
ドッゴオッガァァァァァァァァァァァアァンッ――――!!!
切り結んでから、さらに前に出る――――いくさ場じゃなくても会いたくない類いの剣筋。
すっ飛ぶおれと、短ぇ魔物。
頭から壁にぶち当たるところを――バッサッ、ザリザリィッ!
隠れ蓑が突きたてられ――体を起こす。
くるん――スッタァン!
「(悪ぃ、迅雷!)」
靴足で壁を踏めた。
痛ぇが胸に穴は開いてねぇ。
迅雷式隠れ蓑は夜に紛れるのにも、敵の刃をせき止めるのにも使える上に――空まで飛べるようになった。
壁を蹴り上がり――スタタタァァンッ!
ヒュォォォォ――――ブゥワサブワサ、バササササッ!
おれを助けてくれた伯爵令嬢をさらう。
「きゃぁぁぁぁっ――――シ、シガミー!?」
あばれるな、灼熱地獄に落ちちまうだろ!
「(ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ/∋³ゑゑ――∋∋∋、ゐ・ゐゐ勺勺ゐ)(○○○、勺勺勺勺)」
肩越しに魔物をみると、角が壁に突き刺さってやがった。
「――こノ世界デ使用さレる全てノ言語ト照合しましタが、該当ありマせん――」
念話で伝えられる言葉は、なんて言ってるのかはわからねえが――とち狂ってるのだけは、伝わってきた。
さっきのヤツの動き。
そしてさっきまでの間がない、ニゲルみたいな動き。
さらに姫さんの、ぶった切りの件。
そして――なんで魔物は切られても平気なんだ?
かんがえることが、山のようにある。
おかしな魔物を壁際に追い詰められたのは、超ありがてぇ。
バサバサバササッ――――スタン。
おれは真ん中の、魔物が出てきた通路に降り立った。
「レイダ――外はちゃんと見えますか?」
「みゃにゃぁーん、にゃ♪」
猫の魔物みたいなのを、盾にするメイドさん。
二人が身を守るためには、ソレで良い。
「今のうちに、私のうしろへ!」
「は、はい!」
大盾を回収して、炎の魔術師をかばう黒騎士。
一方の壁には強化服を着たレイダと、短い魔法杖を両手に構えたリオレイニア。
魔物をはさんだ反対側には盾をかまえたエクレアと、長い魔法杖を構えたフッカ。
地上へ通じる通路から、強い魔物は来ない。
階下へ通じる通路からは、また強い魔物が来ないとは限らないから、姫さんに――
「姫さんはうしろに居てくれ。あとその剣、ちょっと貸せ――指輪で直してやる」
手渡された剣を――すぽん♪
ヴ――くるん、ぱしん♪
おれの収納魔法具の指輪には、小太刀や錫杖を直す簡単な仕組みが有るからそれで、かるく直すに留めた。
おれのスキルで本格的に修理しちまうと――冒険者カードの偽装したスキルとズレちまうからな。
「うふふ、ありがとうですわ♪」
「こっちこそ、命拾いしたぜ。さすがガムラン最強だ」
本当に、死んでたかも知れねぇからな。礼を言っておく。
「当然ですわよ。聖剣切りがなくても、もともと魔王城に攻めこむ程度の剣の技量は持ちあわせてますもの」
よーし、仕切りなおしだ!
ヴッ――――じゃりぃぃん♪
ふぉん♪
『イオノ>わかってるよね?
あの角を最初に二本とも、壊すんだからね?』
「(へいへい、わかったぜ)」
ふぉん♪
『イオノ>へいは一回』
「(へぇーい)」
ふぉん♪
『>へい、イオノファラー』
ガララララッ――――!
壁から抜けだした魔物が、のそりと起きあがった。
兎に角、おれが切るしかねえと――小太刀に持ちかえた瞬間。
狙いすましたように――素っ頓狂な声が。
「――一歩遅かったようです――」
いま、スンポコした音ぁ、出なかったぞ!?
いつからいた貴様――――ギャリィィィィィィィンッ!!!
あぶねぇ。気を抜くと、おれの体に大穴があく。
画面の中におどり出た――丸っこくて小さいアイコン。
言わずと知れた――五百乃大角だ。
その現身である御神体を、さらにちんまりとした和菓子か梅干しみたく縮めたアイコンが――――
ふむふむと何かを(たぶん攻略本を)読んでるのか……うわの空で。
「(よし、いまのうちに叩っ切る!)」
息を吸って――――飛んでくる死の方角を探る。
ざりざり――居合いのときはやっぱり、花緒がある草履か下駄の方が良いな。
壁を走るのに靴は楽だけど、地がつかみづれぇ。
――ぅ――ぉ――ぉ――ぉ。
自分の死を感じとる――よし、正面から飛んでくるぞ。
チキリ――――刀を抜。
すとん――寸足らずのズングリした魔物が、3メートルくらいはなれた所に降り立った。
目のまえにあらわれるはずの魔物は――すいぶんとおくに居やがる。
刀を抜いたら息は継げない。
もう振り抜くしかない。
コトコトコトコトッ――――ぐぐぐぐっ!
ゆっくり歩いてきて、目のまえで両足を縮め、いまにも飛び跳ねようとしている。
「(なにやってんだ、魔物め。わからんが――――切る!)」
シュッカァァァァァンッ――――!!
ふぉん♪
『>シガミーのバイタルに〝滅の太刀〟反応』
ふぉん♪
『イオノ>〝滅の太刀〟反応ってなんだっけ?』
ふぉん♪
『>ギルド倒壊時と同じ、看過しかねる生理的兆候です』
ふぉん♪
『イオノ>ふーん、そーなのー? 物騒ねー』
なんか画面端がうるせぇけど――振り抜いてやったぜ!
くるんくるるる――――スゥゥゥゥッ――チャキン♪
刀をおさめる。
ぐらぁり――――倒れていくズングリ魔物の上半身。
「あーーーーーーーーっ!? だめよ切ったら! ミノタウさんわぁ両角を折ってからじゃないと、おいしく食べられないって書いてあるわぁよぉぉぉぅ――――!!!!!!」
知ってる。間にあって良かったぜ。
「――やりマしたね、シガミー♪――」
おうよ、女神め。いまごろ気づいても遅ぇ。
おれひとりなら、うまい飯を食うのに協力してやる所だがな。
今は子供まで居るから、危なくて仕方がねぇ。
おかしな魔物は、おかしな事をされるまえに、切っとくに限る。
「よし切ったぞ。みんな大丈――――!?」
ゾッとした。
心の臓を捉えられた感覚。
ついつい気合いを入れて、放っちまった居合。
研ぎ澄ました呼吸のせいか、激しい鼓動。
血の始まり――自前の回廊の源泉を、狙われてる。
ドゴォォォォォォン――――撃たれる火縄――――大角がおれの心の臓を貫く!
二つにしたはずの寸足らずが、一つのままだ。
赤い目をすがめた魔物は、やっぱり普通じゃなかった。
「(おれぁ間違いなく、切ったぞ!?)」
どうなって――――!?
「なにを、よそ見なんてしていますのぉ――――!」
大角に届く、一筋の光。
それは細身の豪奢な剣だった。
ギュギィィィィィィィィンッ――――グギュギッ!!!
曲がる刀身。
それでもさらに間合いを詰める――ガムラン最強の剣。
ドッゴオッガァァァァァァァァァァァアァンッ――――!!!
切り結んでから、さらに前に出る――――いくさ場じゃなくても会いたくない類いの剣筋。
すっ飛ぶおれと、短ぇ魔物。
頭から壁にぶち当たるところを――バッサッ、ザリザリィッ!
隠れ蓑が突きたてられ――体を起こす。
くるん――スッタァン!
「(悪ぃ、迅雷!)」
靴足で壁を踏めた。
痛ぇが胸に穴は開いてねぇ。
迅雷式隠れ蓑は夜に紛れるのにも、敵の刃をせき止めるのにも使える上に――空まで飛べるようになった。
壁を蹴り上がり――スタタタァァンッ!
ヒュォォォォ――――ブゥワサブワサ、バササササッ!
おれを助けてくれた伯爵令嬢をさらう。
「きゃぁぁぁぁっ――――シ、シガミー!?」
あばれるな、灼熱地獄に落ちちまうだろ!
「(ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ/∋³ゑゑ――∋∋∋、ゐ・ゐゐ勺勺ゐ)(○○○、勺勺勺勺)」
肩越しに魔物をみると、角が壁に突き刺さってやがった。
「――こノ世界デ使用さレる全てノ言語ト照合しましタが、該当ありマせん――」
念話で伝えられる言葉は、なんて言ってるのかはわからねえが――とち狂ってるのだけは、伝わってきた。
さっきのヤツの動き。
そしてさっきまでの間がない、ニゲルみたいな動き。
さらに姫さんの、ぶった切りの件。
そして――なんで魔物は切られても平気なんだ?
かんがえることが、山のようにある。
おかしな魔物を壁際に追い詰められたのは、超ありがてぇ。
バサバサバササッ――――スタン。
おれは真ん中の、魔物が出てきた通路に降り立った。
「レイダ――外はちゃんと見えますか?」
「みゃにゃぁーん、にゃ♪」
猫の魔物みたいなのを、盾にするメイドさん。
二人が身を守るためには、ソレで良い。
「今のうちに、私のうしろへ!」
「は、はい!」
大盾を回収して、炎の魔術師をかばう黒騎士。
一方の壁には強化服を着たレイダと、短い魔法杖を両手に構えたリオレイニア。
魔物をはさんだ反対側には盾をかまえたエクレアと、長い魔法杖を構えたフッカ。
地上へ通じる通路から、強い魔物は来ない。
階下へ通じる通路からは、また強い魔物が来ないとは限らないから、姫さんに――
「姫さんはうしろに居てくれ。あとその剣、ちょっと貸せ――指輪で直してやる」
手渡された剣を――すぽん♪
ヴ――くるん、ぱしん♪
おれの収納魔法具の指輪には、小太刀や錫杖を直す簡単な仕組みが有るからそれで、かるく直すに留めた。
おれのスキルで本格的に修理しちまうと――冒険者カードの偽装したスキルとズレちまうからな。
「うふふ、ありがとうですわ♪」
「こっちこそ、命拾いしたぜ。さすがガムラン最強だ」
本当に、死んでたかも知れねぇからな。礼を言っておく。
「当然ですわよ。聖剣切りがなくても、もともと魔王城に攻めこむ程度の剣の技量は持ちあわせてますもの」
よーし、仕切りなおしだ!
ヴッ――――じゃりぃぃん♪
ふぉん♪
『イオノ>わかってるよね?
あの角を最初に二本とも、壊すんだからね?』
「(へいへい、わかったぜ)」
ふぉん♪
『イオノ>へいは一回』
「(へぇーい)」
ふぉん♪
『>へい、イオノファラー』
ガララララッ――――!
壁から抜けだした魔物が、のそりと起きあがった。
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