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3:ダンジョンクローラーになろう
254:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、B1F踏破度76%
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「ありゃ、また一杯になっちまった」
たおした魔物や落ちてたアイテムを入れる頭陀袋が入らなくなると、引き金を引いても先に進まなくなる。
そうなったら〝戻るボタン〟を、二回押す。
ちょっと待ってたら――ふすふすふすふすふすふすっん。
気の抜けたような、駆け足音。
のそりと迷路入り口に、姿を現したのは――ギラギラひかる、燃えない使い捨てシシガニャン。
ふすふすふすすっ――尻を向けてもどってくる様は――やっぱり面白くて。
「「ぷぐふひっ♪」」
子供と給仕服が、崩れ落ちた。
楽しそうで良かった。
目のまえまで戻ってきた鉄餅がコッチを向いて膝をつき、荷物をひろげて――ピタリと止まった。
並んでるのは、汚れた木箱、折れた魔法杖、穴の空いた靴、密書の魔物、折れた剣、それと――鈍く光る石。
「ん? そういやさっき、なんかと戦ってる印が、一回出てスグに消えたな」
ひとりでに出来上がっていく地図には、鉄餅たちの居場所が『①』『②』『③』で表されている(②が真ん中の通路)。
そしてその丸で囲まれた数字が――『?』にかわると〝辺りを探ってる最中〟って意味だ。
何かを見つけたときには――『!』、戦ってるときには――『※』が出るようになっている。
上級鑑定――ぽこん♪
『サーラマンダ石 ×1/
サーラマンダから時折取れる、活力の塊。
炎系クラフトアイテムの主材として使用される。
装飾品としても、そこそこの価値あり。』
空中にあらわれた画面にはそんなことが書かれていた。
血の色の奥に火の色が、キラキラ見え隠れしている。
綺麗っちゃ綺麗だが――しょせん石だ。
御神体……〝ねがみめんど〟とかいう〝神々の世界の人形〟をかたどった、五百乃大角の憑代。
その身長くらいの大きさの、光る石。
今回拾ってきた中で、めぼしいのはコレだけだ。
おめあての密書の本物……マジックなんたらってぇ巻物はなかった。
ごとん。
いちおう、拠点隅の棚に置いておく。
ほしけりゃ誰か、持ってくだろ。
ヴォォン♪
『火龍の寝床B1F踏破度――76%』
地図の下の調べた割合は、七割を超えている。
「――そロそろ下層への階段が見つかっテも、良い頃でスね――」
「ほんとになぁ……、なぁ姫さんは前にも、来たことがあるんだろ?」
「ええ、魔王討伐の前と後に、一度ずつ訪れていますわよ?」
「ソレが何か」と、小首をかしげられる。
ふすふすふすっ?
たまたま戻ってきてた鉄餅③が、小首をかしげた。
「あーぁー?」
まさか一匹一匹に〝強化服一号〟みたいな魂でも、宿ったんじゃあるめぇな。
ふぉん♪
『>基本的には〝おもち用コントローラー〟をトリガーしたプレイヤーを、少しだけ真似ます』
そんな謎な機能をするのか、鉄餅は。
目のまえの憑代のあたまを狙って、引き金を引く。
首を左右に振ってみると――
鉄餅②が、イヤイヤをした。
「なぁにそれぇ!」
すかさず鉄餅①を引きもどす――子供。
真面目にやってくれてるから、すこしくらい遊ぶのはかまわねぇが。
あやつるための火縄銃――〝もち魂〟は、壊すなよな。
ふぉん♪
『>以後〝おもち用コントローラー〟を、〝もちコン〟と呼称、表記します』
「な、何ですのその面白機能! そんなのがあるなら、はやくお言いなさいなっ♪」
鉄餅③に狙いを定めつつ、おにぎりの小躍りを披露するガムラン代表。
かなりたどたどしいけど、小躍りする『③』。
「ぐぬぬ、私もやりたい、ぐぬぬ。おもちちゃん、はやく! はやく帰ってきて!」
何度も引き金を引いて、急かす――子供。
いいけど、ほんと壊すなよ――なっ!?
ふすすすす、ふすすふすす、ふすすすすふっすんっ!
うしろ向きで駆け足をする①が、通路から飛び出してきた!
頭陀袋から汚い箱とか密書の魔物を、こぼしながら。
「――トリガヲ連射デ、加速すル!? そうイう機能は付けて、いないのでスが?――」
おもちは五百乃大角が作った物で、それを操る火縄銃みたいなのは迅雷が図面を引いた。
迅雷が何かを間違えたわけじゃなくて、おもちの側にそういう機能が元からたまたま有ったってことなんだろう。
恐ろしいな子供。
けどいざって時に、はやく動けるのは良いぞ。
おれもやるぞ――引き金をはやく引いて、首をぐるぐる回してみてやる!
カチカチカキン!
ふすふす、ぐるぐるぐるる――「やべぇ、おもしれぇ♪」
「ふぅ、シガミー? さきほど何か、お聞きになりたかったのでは有りませんでしたか? この火山ダンジョンへは私もエクレアも、毎回同行したので――」
「――そうですね、何でも聞いてください」
リオとエクレアがやってきた。
姫さんは、鉄餅③との小躍りに余念がない。
「いやさ、この穴蔵……ダンジョンは季節ごとに中の順路が変わるって話だけどさ、下は何階くらいまであるのか、聞いときたくてさ」
「ええっと、魔王討伐前はたしか、4階層まででしたわね」
「そうでした。そして討伐後の定期調査の時は、6階層でしたっけ?」
思ってたよか、ずっと低階層だな。
けど――魔王討伐後に深くなってるのが、気にならないでもないな。
たおした魔物や落ちてたアイテムを入れる頭陀袋が入らなくなると、引き金を引いても先に進まなくなる。
そうなったら〝戻るボタン〟を、二回押す。
ちょっと待ってたら――ふすふすふすふすふすふすっん。
気の抜けたような、駆け足音。
のそりと迷路入り口に、姿を現したのは――ギラギラひかる、燃えない使い捨てシシガニャン。
ふすふすふすすっ――尻を向けてもどってくる様は――やっぱり面白くて。
「「ぷぐふひっ♪」」
子供と給仕服が、崩れ落ちた。
楽しそうで良かった。
目のまえまで戻ってきた鉄餅がコッチを向いて膝をつき、荷物をひろげて――ピタリと止まった。
並んでるのは、汚れた木箱、折れた魔法杖、穴の空いた靴、密書の魔物、折れた剣、それと――鈍く光る石。
「ん? そういやさっき、なんかと戦ってる印が、一回出てスグに消えたな」
ひとりでに出来上がっていく地図には、鉄餅たちの居場所が『①』『②』『③』で表されている(②が真ん中の通路)。
そしてその丸で囲まれた数字が――『?』にかわると〝辺りを探ってる最中〟って意味だ。
何かを見つけたときには――『!』、戦ってるときには――『※』が出るようになっている。
上級鑑定――ぽこん♪
『サーラマンダ石 ×1/
サーラマンダから時折取れる、活力の塊。
炎系クラフトアイテムの主材として使用される。
装飾品としても、そこそこの価値あり。』
空中にあらわれた画面にはそんなことが書かれていた。
血の色の奥に火の色が、キラキラ見え隠れしている。
綺麗っちゃ綺麗だが――しょせん石だ。
御神体……〝ねがみめんど〟とかいう〝神々の世界の人形〟をかたどった、五百乃大角の憑代。
その身長くらいの大きさの、光る石。
今回拾ってきた中で、めぼしいのはコレだけだ。
おめあての密書の本物……マジックなんたらってぇ巻物はなかった。
ごとん。
いちおう、拠点隅の棚に置いておく。
ほしけりゃ誰か、持ってくだろ。
ヴォォン♪
『火龍の寝床B1F踏破度――76%』
地図の下の調べた割合は、七割を超えている。
「――そロそろ下層への階段が見つかっテも、良い頃でスね――」
「ほんとになぁ……、なぁ姫さんは前にも、来たことがあるんだろ?」
「ええ、魔王討伐の前と後に、一度ずつ訪れていますわよ?」
「ソレが何か」と、小首をかしげられる。
ふすふすふすっ?
たまたま戻ってきてた鉄餅③が、小首をかしげた。
「あーぁー?」
まさか一匹一匹に〝強化服一号〟みたいな魂でも、宿ったんじゃあるめぇな。
ふぉん♪
『>基本的には〝おもち用コントローラー〟をトリガーしたプレイヤーを、少しだけ真似ます』
そんな謎な機能をするのか、鉄餅は。
目のまえの憑代のあたまを狙って、引き金を引く。
首を左右に振ってみると――
鉄餅②が、イヤイヤをした。
「なぁにそれぇ!」
すかさず鉄餅①を引きもどす――子供。
真面目にやってくれてるから、すこしくらい遊ぶのはかまわねぇが。
あやつるための火縄銃――〝もち魂〟は、壊すなよな。
ふぉん♪
『>以後〝おもち用コントローラー〟を、〝もちコン〟と呼称、表記します』
「な、何ですのその面白機能! そんなのがあるなら、はやくお言いなさいなっ♪」
鉄餅③に狙いを定めつつ、おにぎりの小躍りを披露するガムラン代表。
かなりたどたどしいけど、小躍りする『③』。
「ぐぬぬ、私もやりたい、ぐぬぬ。おもちちゃん、はやく! はやく帰ってきて!」
何度も引き金を引いて、急かす――子供。
いいけど、ほんと壊すなよ――なっ!?
ふすすすす、ふすすふすす、ふすすすすふっすんっ!
うしろ向きで駆け足をする①が、通路から飛び出してきた!
頭陀袋から汚い箱とか密書の魔物を、こぼしながら。
「――トリガヲ連射デ、加速すル!? そうイう機能は付けて、いないのでスが?――」
おもちは五百乃大角が作った物で、それを操る火縄銃みたいなのは迅雷が図面を引いた。
迅雷が何かを間違えたわけじゃなくて、おもちの側にそういう機能が元からたまたま有ったってことなんだろう。
恐ろしいな子供。
けどいざって時に、はやく動けるのは良いぞ。
おれもやるぞ――引き金をはやく引いて、首をぐるぐる回してみてやる!
カチカチカキン!
ふすふす、ぐるぐるぐるる――「やべぇ、おもしれぇ♪」
「ふぅ、シガミー? さきほど何か、お聞きになりたかったのでは有りませんでしたか? この火山ダンジョンへは私もエクレアも、毎回同行したので――」
「――そうですね、何でも聞いてください」
リオとエクレアがやってきた。
姫さんは、鉄餅③との小躍りに余念がない。
「いやさ、この穴蔵……ダンジョンは季節ごとに中の順路が変わるって話だけどさ、下は何階くらいまであるのか、聞いときたくてさ」
「ええっと、魔王討伐前はたしか、4階層まででしたわね」
「そうでした。そして討伐後の定期調査の時は、6階層でしたっけ?」
思ってたよか、ずっと低階層だな。
けど――魔王討伐後に深くなってるのが、気にならないでもないな。
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