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3:ダンジョンクローラーになろう
247:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、火龍のねどこ
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「みんなぁーたーのーしーくーぅ、やってまぁすぅかぁー?」
もとから気さくな伯爵夫人だ。
宴会ともなれば、いつもこんな感じで空から飛びこんでくる。
ましてやこの天守閣は、コントゥル家の持ち物だ。
来ない理由がない。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はぁーい。おじゃましてまぁーす、ルリーロさまぁ♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
あたまこそ下げるが、膝を折ってかしずくまではしない。
そうなのだ。子供以外はあらかた、酔っぱらっているのだ。
ヴォォン――♪
低く浮かべた魔法杖に、仁王立ちのコントゥル家名代。
月影の瞳が、大柄な裏天狗を見下ろした。
「あぁーれぇー? きょうわぁー烏天狗ちゃぁんわぁ居ないのぉーかしらぁー?」
「これは奥方さま。いま弟子はちと使いに出しておりまシてのう」
かるく面を下げた迅雷が、そう答える。
裏天狗と裏烏天狗は、まだ同時には出せない。
なので天狗の所作は、迅雷まかせになるわけだが。
こういうときのためにも、酢蛸になるアーティファクト……〝朽ちた女神像〟とやらを、できるだけ早く探しにいきたいんだが。
「ふぅん、じゃあねぇー。イオノファラーさま・で・もぉ――良いのだけれどぉー♪」
「えー、なになにー? ひょっとして晩ご飯のぉ、お・さ・そぉ・いぃー?」
おい美の女神。晩飯は、いま喰ってるだろーが。そうとう立派な飯をよ。
外はまだ宵の口だが、コレだけ喰ったら十分だろう。
積み上がった空の皿が、ペントハウス付きのメイドさんによって厨房へ運ばれていく。
「例のさぁ――コントゥル家の家宝をつくれる――って話なんだけどさぁ。明日から初めたとしてぇーいつごろぉ出・来・るぅ――?」
魔法杖を旋回させ、テーブルの真ん中……上座に鎮座る映し身を振りかえる奥方さま。
「えーあーえーっと? 素材探しから始めるなら一週間って話だったっけ? ……もぎゅもぎゅもぎゅり♪」
コッチみんな。おれが烏天狗だって、バレるだろーが!
「じゃぁさぁー、武器防具の一式装備をイオノファラーさまにぃーおっ願いしたいのよねぇー。たぁのぉーめぇーるぅー?」
ぱちぱちぱちと白い小板を叩きながら、五百乃大角に詰めよる妖怪狐。
映し身の身でありながら、口いっぱいに飯を頬張る五百乃大角。
提示された白板の金額は――まだ聞いてない。
「そぉーねぇー。コレだけあったら、女将さんの食堂で300年くらい豪遊できるわぁねぇーん♪」
だからな、五百乃大角は弥勒菩薩か。
やっぱり末世まで食い道楽する気、満々じゃねーか。
神々の時間の感覚は、おかしい。
それと……300年豪遊って一体いくらだ。
ぱちぱちぱちと再び弾かれ、提示される白板。
「あれっ? ゼロになっちゃったけどぉーん?」
「(天狗との確執、クツクツクツ……わたしの前世一個分のお値段、ケェタケタケタ……お安い物でわぁ、ありませんかぁー?)」
強力な念話に一瞬、身が凍るかと思ったけど――そしらぬ顔で目のまえの飯にかじり付く。
今日シガミーは女神の手伝いに駆りだされただけで、客でもあるからな。
うん、迅雷が三本目に出した、小振りの寿司。
うめぇうめぇ――もぐもぐもぎゅ。
「もちろん探索クエスト報酬や、メインとなる素材以外の材料費なんかわぁ、別途お支払いいたしますぉよぉぉぅ?」
クツクツクツケタケタケタ――――コォン♪
§
ふぉん♪
『B級探索クエスト
火山フィールドダンジョン〝火龍の寝床〟にて、
防具に必要な素材を集める
達成期限 のこり6日』
これで今後、遺恨を残さないと確約を取り付けたのは偉い。
けど女子供をつれてこんな穴蔵の中を、数日にわたって徘徊しようってのは正気の沙汰ではない。
「レイダ、先行しすぎです。足並みをそろえて進みましょう」
すたたたたっ――――!
「だってさコレさ、速く走ろうと思えば思っただけ、速く走れるんだもの!」
ぽきゅぽきゅぽきゅむ――――♪
興奮する子供と、たしなめる女人。
その姿はまるで、猫の魔物にさらわれる美の女神だ。
「はぁ、ひぃ――――けっこうな大荷物に、なっちまいやがったな」
おれが担いでいるのは、シガミーで言ったら12シガミー程度の荷物。
それもこれも強化服一号のやろうが、木さじ食堂から一歩も外に出やがらねぇのが悪い。
おにぎりの収納魔法具箱には、迅雷の収納魔法並みに何でも入れられる。
なら迅雷に入れてくりゃ良いって話だが――
「――レイダが着るシシガニャン二号ノ制御ニ専念すルため、私ノ機能ハ自動地図ト自動索敵、そレと火力計算程度ニ限定されマす――」
まあソレで子供の安全が図れるんなら、安いもんではある。
「しっかし、あっちぃな」
冷てぇ魔法を、ときどき掛けるだけじゃ追いつかなくなってきた。
「あついでぇすねぇー」
黄緑色のローブを身につけた、炎の魔術師が返事をする。
ココはまえに五百乃大角がちらっと言ってた、ガムラン町から一番近い火山。
魔物境界線にある砦の、さらにずっと奥地。
「――コの洞窟ダンジョンでハ、上級素材でアる火龍ノ生き胆、火龍ノ翼膜、火龍ノ石なドが踏破報酬とシて見込めルようです。道中デは希少ナ鉱石や植物も収得できまス――』
「それは僥倖。命を賭けるに値します」
黒ずくめの鎧。鬼の娘よりも大柄な体躯。
ちなみに、全員に耳栓を渡してあるから、迅雷の声はみんなにも聞こえる。
もっとも、内緒話をするのに支障はない。そういうのは全部、迅雷がやってくれる。
「火龍てぇのは、そんなに強いのか?」
先を行くリカルルにたずねる。
魔物の強さを推しはかるなら、戦闘狂はうってつけだ。
「ええ、強いですわよ。魔王よりも変異種角ウサギよりもずっと――ココォン♪」
暑さをやわらげるためか、点々と狐火(小)を灯す狐耳。
「あのう、お嬢様」
猫の魔物二号の腕を抱えた給仕服が、寄ってきた。
「なにかしらレーニアさん?」
姫さんは、ひさびさのクエストで上機嫌だ。
「エクレアをお連れして、良かったのですか? 本当ならいま頃ガムラン町で、お嫁さんとイチャイチャ……もとい、新居のお部屋作りなどして――」
「え、いーのいーの♪ ね、エクレア?」
姫さんは、ひさびさのクエストで上機嫌だ。
「はい。実は色々と物入りでして、このクエストで一稼ぎしたいと申しでたのは私ですよ」
ガチャガチャとうるさくも立派な、黒鎧。
アレには出かける前、カラテェーに一筆入れさせた。
洞窟に入ってからも変わらない様子から見て、『涼』しく過ごせているようだ。
ゴボボボボボ、ゴッポワン♪
うだる灼熱、たゆたう陽光。
あたりには熱気が満ちている。
おれたちD級冒険者パーティー〝シガミー御一行様〟に依頼されたのは。
「きみたちさ、わるいんだけどさ、あそこの火山見えてるでしょ?」
あそこのさ一番奥にさ、口から火を吹く大蜥蜴が居るから倒してきてよ。
こともなげに天守閣の広窓から、とおくを指さした御神体さまが宣ったのは――
本来はA級冒険者が受けるような、高難度クエスト依頼だった。
ギルド書面上の正式な依頼主は、ルリーロ・イナリィ・コントゥル。
〝シガミー御一行様〟にはA級の実力を秘めた〝シガミー〟と、S級冒険者でもある〝リオレイニア・サキラテ〟が居る。
おれと迅雷だけでもたぶん難なくこなせるが、すべてをさらすわけにもいかなくて、こんなことになった。
まだD級のレイダ・クェーサーを連れてくることには、みんなが反対したが――
「けどさ、リオレイニアにシガミーがいるパーティーでしょ? そろそろランクアップしてもらわないと、ギルドの内規上いろいろ不都合があんのよねー」
受付嬢オルコトリアの言葉だ。
「そうーですね。最低でもC級にあがってもらわないと、央都から監査部とか来ちゃって……もっと面倒なことになりますーよね」
これはエクレアの結婚相手、優しげな女性の言葉。
山のような書類をさばきつつ、おれとレイダに飴をくれた。
なんでも彼女は央都のギルドでも指折りの切れ者らしく、バリアント対策の一環として魔物最前線に送りこまれてきた経緯がある……らしい。
ルリーロの家宝装備一式欲しいという目的に、ギルドの都合が合わさって今回このクエストを受けることになった。
そして、シガミー御一行様に加えて――
〝聖剣切りの閃光〟からリカルル・リ・コントゥルと、真っ黒い甲冑でおなじみの護衛騎士エクレア。
そしてちょうど休暇中で暇だったフォチャカ嬢の三名が、参加することになった。
「カラテェー君につくってもらった、この黄緑色のケープ――本当にすごい! まさか、こんな使い方が出来るなんて――」
新調した防具の性能に目を輝かせる――フッカさん。
「ぐぅわぁぁおぅ――――!!」
彼女をめがけて横の通路から飛びだした狼みたいなのが、細腕に噛みついた。
ーーー
弥勒菩薩/56億7千万年後(ひいては遠い未来)にこの世に現れ悟りを開き、人々を救うとされている仏。戦国時代にも一度、流行った。
もとから気さくな伯爵夫人だ。
宴会ともなれば、いつもこんな感じで空から飛びこんでくる。
ましてやこの天守閣は、コントゥル家の持ち物だ。
来ない理由がない。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はぁーい。おじゃましてまぁーす、ルリーロさまぁ♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
あたまこそ下げるが、膝を折ってかしずくまではしない。
そうなのだ。子供以外はあらかた、酔っぱらっているのだ。
ヴォォン――♪
低く浮かべた魔法杖に、仁王立ちのコントゥル家名代。
月影の瞳が、大柄な裏天狗を見下ろした。
「あぁーれぇー? きょうわぁー烏天狗ちゃぁんわぁ居ないのぉーかしらぁー?」
「これは奥方さま。いま弟子はちと使いに出しておりまシてのう」
かるく面を下げた迅雷が、そう答える。
裏天狗と裏烏天狗は、まだ同時には出せない。
なので天狗の所作は、迅雷まかせになるわけだが。
こういうときのためにも、酢蛸になるアーティファクト……〝朽ちた女神像〟とやらを、できるだけ早く探しにいきたいんだが。
「ふぅん、じゃあねぇー。イオノファラーさま・で・もぉ――良いのだけれどぉー♪」
「えー、なになにー? ひょっとして晩ご飯のぉ、お・さ・そぉ・いぃー?」
おい美の女神。晩飯は、いま喰ってるだろーが。そうとう立派な飯をよ。
外はまだ宵の口だが、コレだけ喰ったら十分だろう。
積み上がった空の皿が、ペントハウス付きのメイドさんによって厨房へ運ばれていく。
「例のさぁ――コントゥル家の家宝をつくれる――って話なんだけどさぁ。明日から初めたとしてぇーいつごろぉ出・来・るぅ――?」
魔法杖を旋回させ、テーブルの真ん中……上座に鎮座る映し身を振りかえる奥方さま。
「えーあーえーっと? 素材探しから始めるなら一週間って話だったっけ? ……もぎゅもぎゅもぎゅり♪」
コッチみんな。おれが烏天狗だって、バレるだろーが!
「じゃぁさぁー、武器防具の一式装備をイオノファラーさまにぃーおっ願いしたいのよねぇー。たぁのぉーめぇーるぅー?」
ぱちぱちぱちと白い小板を叩きながら、五百乃大角に詰めよる妖怪狐。
映し身の身でありながら、口いっぱいに飯を頬張る五百乃大角。
提示された白板の金額は――まだ聞いてない。
「そぉーねぇー。コレだけあったら、女将さんの食堂で300年くらい豪遊できるわぁねぇーん♪」
だからな、五百乃大角は弥勒菩薩か。
やっぱり末世まで食い道楽する気、満々じゃねーか。
神々の時間の感覚は、おかしい。
それと……300年豪遊って一体いくらだ。
ぱちぱちぱちと再び弾かれ、提示される白板。
「あれっ? ゼロになっちゃったけどぉーん?」
「(天狗との確執、クツクツクツ……わたしの前世一個分のお値段、ケェタケタケタ……お安い物でわぁ、ありませんかぁー?)」
強力な念話に一瞬、身が凍るかと思ったけど――そしらぬ顔で目のまえの飯にかじり付く。
今日シガミーは女神の手伝いに駆りだされただけで、客でもあるからな。
うん、迅雷が三本目に出した、小振りの寿司。
うめぇうめぇ――もぐもぐもぎゅ。
「もちろん探索クエスト報酬や、メインとなる素材以外の材料費なんかわぁ、別途お支払いいたしますぉよぉぉぅ?」
クツクツクツケタケタケタ――――コォン♪
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ふぉん♪
『B級探索クエスト
火山フィールドダンジョン〝火龍の寝床〟にて、
防具に必要な素材を集める
達成期限 のこり6日』
これで今後、遺恨を残さないと確約を取り付けたのは偉い。
けど女子供をつれてこんな穴蔵の中を、数日にわたって徘徊しようってのは正気の沙汰ではない。
「レイダ、先行しすぎです。足並みをそろえて進みましょう」
すたたたたっ――――!
「だってさコレさ、速く走ろうと思えば思っただけ、速く走れるんだもの!」
ぽきゅぽきゅぽきゅむ――――♪
興奮する子供と、たしなめる女人。
その姿はまるで、猫の魔物にさらわれる美の女神だ。
「はぁ、ひぃ――――けっこうな大荷物に、なっちまいやがったな」
おれが担いでいるのは、シガミーで言ったら12シガミー程度の荷物。
それもこれも強化服一号のやろうが、木さじ食堂から一歩も外に出やがらねぇのが悪い。
おにぎりの収納魔法具箱には、迅雷の収納魔法並みに何でも入れられる。
なら迅雷に入れてくりゃ良いって話だが――
「――レイダが着るシシガニャン二号ノ制御ニ専念すルため、私ノ機能ハ自動地図ト自動索敵、そレと火力計算程度ニ限定されマす――」
まあソレで子供の安全が図れるんなら、安いもんではある。
「しっかし、あっちぃな」
冷てぇ魔法を、ときどき掛けるだけじゃ追いつかなくなってきた。
「あついでぇすねぇー」
黄緑色のローブを身につけた、炎の魔術師が返事をする。
ココはまえに五百乃大角がちらっと言ってた、ガムラン町から一番近い火山。
魔物境界線にある砦の、さらにずっと奥地。
「――コの洞窟ダンジョンでハ、上級素材でアる火龍ノ生き胆、火龍ノ翼膜、火龍ノ石なドが踏破報酬とシて見込めルようです。道中デは希少ナ鉱石や植物も収得できまス――』
「それは僥倖。命を賭けるに値します」
黒ずくめの鎧。鬼の娘よりも大柄な体躯。
ちなみに、全員に耳栓を渡してあるから、迅雷の声はみんなにも聞こえる。
もっとも、内緒話をするのに支障はない。そういうのは全部、迅雷がやってくれる。
「火龍てぇのは、そんなに強いのか?」
先を行くリカルルにたずねる。
魔物の強さを推しはかるなら、戦闘狂はうってつけだ。
「ええ、強いですわよ。魔王よりも変異種角ウサギよりもずっと――ココォン♪」
暑さをやわらげるためか、点々と狐火(小)を灯す狐耳。
「あのう、お嬢様」
猫の魔物二号の腕を抱えた給仕服が、寄ってきた。
「なにかしらレーニアさん?」
姫さんは、ひさびさのクエストで上機嫌だ。
「エクレアをお連れして、良かったのですか? 本当ならいま頃ガムラン町で、お嫁さんとイチャイチャ……もとい、新居のお部屋作りなどして――」
「え、いーのいーの♪ ね、エクレア?」
姫さんは、ひさびさのクエストで上機嫌だ。
「はい。実は色々と物入りでして、このクエストで一稼ぎしたいと申しでたのは私ですよ」
ガチャガチャとうるさくも立派な、黒鎧。
アレには出かける前、カラテェーに一筆入れさせた。
洞窟に入ってからも変わらない様子から見て、『涼』しく過ごせているようだ。
ゴボボボボボ、ゴッポワン♪
うだる灼熱、たゆたう陽光。
あたりには熱気が満ちている。
おれたちD級冒険者パーティー〝シガミー御一行様〟に依頼されたのは。
「きみたちさ、わるいんだけどさ、あそこの火山見えてるでしょ?」
あそこのさ一番奥にさ、口から火を吹く大蜥蜴が居るから倒してきてよ。
こともなげに天守閣の広窓から、とおくを指さした御神体さまが宣ったのは――
本来はA級冒険者が受けるような、高難度クエスト依頼だった。
ギルド書面上の正式な依頼主は、ルリーロ・イナリィ・コントゥル。
〝シガミー御一行様〟にはA級の実力を秘めた〝シガミー〟と、S級冒険者でもある〝リオレイニア・サキラテ〟が居る。
おれと迅雷だけでもたぶん難なくこなせるが、すべてをさらすわけにもいかなくて、こんなことになった。
まだD級のレイダ・クェーサーを連れてくることには、みんなが反対したが――
「けどさ、リオレイニアにシガミーがいるパーティーでしょ? そろそろランクアップしてもらわないと、ギルドの内規上いろいろ不都合があんのよねー」
受付嬢オルコトリアの言葉だ。
「そうーですね。最低でもC級にあがってもらわないと、央都から監査部とか来ちゃって……もっと面倒なことになりますーよね」
これはエクレアの結婚相手、優しげな女性の言葉。
山のような書類をさばきつつ、おれとレイダに飴をくれた。
なんでも彼女は央都のギルドでも指折りの切れ者らしく、バリアント対策の一環として魔物最前線に送りこまれてきた経緯がある……らしい。
ルリーロの家宝装備一式欲しいという目的に、ギルドの都合が合わさって今回このクエストを受けることになった。
そして、シガミー御一行様に加えて――
〝聖剣切りの閃光〟からリカルル・リ・コントゥルと、真っ黒い甲冑でおなじみの護衛騎士エクレア。
そしてちょうど休暇中で暇だったフォチャカ嬢の三名が、参加することになった。
「カラテェー君につくってもらった、この黄緑色のケープ――本当にすごい! まさか、こんな使い方が出来るなんて――」
新調した防具の性能に目を輝かせる――フッカさん。
「ぐぅわぁぁおぅ――――!!」
彼女をめがけて横の通路から飛びだした狼みたいなのが、細腕に噛みついた。
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弥勒菩薩/56億7千万年後(ひいては遠い未来)にこの世に現れ悟りを開き、人々を救うとされている仏。戦国時代にも一度、流行った。
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