滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

246:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ディナーショー

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 おにぎり杯天狗戦はいてんぐせん料理りょうり六本勝負ろっぽんしょうぶ予想投票よそうとうひょう半券はんけん
 はずれけん以外いがいのすべてで、約二万食やくにまんしょくにもなった。

 それをさばくために、料理りょうり役立やくだ魔法具まほうぐを組み立てた。
 ガムラン饅頭まんじゅうをつくる無人工房むじんこうぼうと似た仕組しくみだけど、超女神像ちょうめがみぞうにはつながっていない。
 半券はんけんをあつかう自動発券じどうはっけん魔法具まほうぐはギルドのなか食堂しょくどうにもあって、そっちと超女神像ちょうめがみぞうはつながってる。ややこしいな。

 そしてお祭りフェスタから一週間後いっしゅうかんご今日きょう
 ギルド会館かいかん最上階さいじょうかいでのお食事会しょくじかいには、やく80にん当選客おきゃく招待しょうたいされた。

   §

「あらあらまぁまぁ、みなさま本日ほんじつは、あたくしさまのディナーショーへようこそぉ、おいてくださいましたわぁーん
 カシャ――『(Θ_<ばちーん♪)』
 〝浮かぶ玉なんたら〟があらわれたとおもったら、また片目かためを閉じやがった。
 どうやらアレはむしじゃなくて、歌舞伎者かぶきものが切る見得みえみたいなもんらしい。

「がははははっはぁ――――イオノファラーさまとうまいさけみかわせるとは、じつにめでたい♪」
 工房長ノヴァド……六本勝負ろっぽんしょうぶ全部ぜんぶを引き当てたのか。
 げにおそろしきは、さけへの執念しゅうねん
 鍛冶工房かじこうぼうからはほか一人ひとり招待しょうたいされている。

 冒険者ぼうけんしゃが6わり、フェスタのきゃくが3わり
 のこりは冒険者ぼうけしゃじゃないガムランちょう住人じゅうにんだ。

「カカカッ――ノヴァド殿どの先日せんじつのひれざけをお出しできるが、いかがかのぅ?」
 あの天狗てんぐだ。
 今日きょうめし支度したくは、なんせ百人ひゃくにんちかい。
 面倒めんどうだから、便利棒ジンライ丸投まるなげした。

 いちおう、五百乃大角いおのはらのお目付役めつけやくとして聖女せいじょシガミーが参加さんかしないわけにはいかない、という大義名分たいぎめいぶんもあるにはある。

 そして今日きょうは、カブキーフェスタの発端ほったんとなった――歌舞伎者かぶきものみたいな派手はで格好かっこうをさせられている。

 レイダとそろいの……袈裟けさみたいなふくは、ひざよかみじけぇ。
 かぜが吹きゃぁ、すっかりめくれちまうような、しゃらあしゃらの極致きょくち
 それにアーティファクト当番とうばんをあらわす橙色だいだいいろぬのを巻きつけ――
 獣耳けものみみが付いた帽子ぼうし。これはルコルにもらったのを塗り替えた。
 まるで猫耳ねこみみがついた、神楽舞かぐらまいの巫女装束みこしょうぞくみたいなありさま。

 レイダもリオレイニアも、この場に居てくれなくてたすかった。
 この派手はで装束しょうぞくをあいつらに見られるのは、気恥きはずかしい。

 そういやそもそもカブキーフェスタは、この装束しょうぞくおれを売り出そう・・・・・・・・というはなしからはじまってる。
 まつりが終わってみれば実際じっさいに売り出せたのは、強化服一号おにぎりだったけど。

「にゃみゃぁぁぁーご♪」
 ん? おにぎりのこえがしたぞ?
 おかみさんが手伝てつだいに来てくれているのか。
 フェスタ以降いこう、おにぎりは女将トゥナさんに付きしたがうようになってしまった。
 すこしだけ猫共通語ねこきょうつうごがしゃべれる彼女おかみさんによれば、舞台ぶたいでつかった古代魔法こだいまほうがとても面白おもしくて、その修行しゅぎょうを兼ねて女将おかみさんのところに〝弟子入り・・・・〟してる――つもりらしい。

 まあおまのところギルドを建てなおすような、おおがかりな工事こうじ予定よていもないから――「好きにさせとけばぁー?」
 っていう五百乃大角いおのはら意見いけんに、したがっておく。
 あの魔法まほう神髄ひかりで絵をえが古代魔法こだいまほうのひとつでも、おにぎりがおぼえてきてくれるなら、おれたちの出しものかずが増えるしな。

「じゃあ、はっじめるわよ
 画面ちゅううつし出されたうつし身の五百乃大角いおのはらが、すみに置いてあったテーブルをゆびさした。
 ソコにならべられているのは、様々さまざまいろかたちつぼびん

 カツカツコツコツと足音あしおとを立て、ちいさな舞台ぶたいへ上がる映し身いおのはら
 ヴォヴォンゥォー、ズダダダダッダダッダンッ♪
 このお囃子はやし――――央都おうとの宴会えんかい迅雷ジンライつくって、リオレイニアの声・・・・・・・・うたったやつか!

 ここ大広間おおひろはは、そうとうひろい。
 そしてそらから落ちてくるかみなりにも変異種ヴァリアントつのウサギの攻撃こうげきにも、耐えるようにつくった。
 だからすこしくらいあばれても、ヒビひとつはいらないはずだ。
宴会芸えんかいげいをやれってワケか、まったく」
 しゃあねぇからならんだ鋳物いものなかから、斬りづらいヤツを、何個なんこか退かす。
 切れずにすっ飛んでったのが、おきゃくに当たったらいけねぇからな。

「〽満っ員電車まんっいんでんしゃに乗っかって きみとっ見たほしのような 電ッ光板でんっこうばんを見っつめっているゥ――
 ヴォヴォンゥォー、ズダダダダッダダッダンッ♪
 あれこのこえ――――ひょっとして!?

「――はイ。五百乃大角いおのはら……いエ、イオノファラーの身体しンたいスキャンデータ……うツし身かラサいモデリングしタ、彼女かのじョ肉声にくせイ――」
 わからんが、五百乃大角いおのはらの素っ頓狂とんきょうこえに変わりはあるまい。

「さぁさぁお立ち会い――♪」
 場がしらけねぇよう――ヴッ。
 ぱしん――いそいで小太刀こだちを取り出した。

 シュッカァァァンッ――鋳/鍋いなべ
 シュカンッ――酒/瓶さかびん
 シュカァァン――なんか/たかそうな/つぼ

 よし、切れあじは変わりねぇ。
 このシガミーのからだは、おもったとおりにうごく。
 沸く宴会会場ペントハウス

 さすがに室内いえのなか裏天狗ジンライとか強化服一号おにぎりと、組み手まがいな演舞えんぶ披露ひろうする勇気ゆうきはなかった。
 こんどギルド屋舎おくしゃこわしたらだれだろうが、ガムラン追放ついほうされそうだし。
 せっかく数百年すうひゃくねんは朽ちないくらいに、頑丈がんじょうに建てたし。

 つぎからつぎへと出てくるめし合間あいまにまで――「なんかやって♪」と抜かす美の女神いおのはら
 かべはしり(烏天狗カラテェーわざだが、背にはらはかえられない)、
 独楽こままわし(天狗テェーングわざだが、背にはらはかえられない)、
 しまいにはきょうを読む(読経どきょうシガミーおれ前世ぜんせである僧侶猪蟹そうりょししがに技術スキルだ)羽目はめになった。

「だ、出しものをよ……ふ、増やさねぇとな」
 どうにかこうにか宴会えんかいも、そろそろ終わる。

 コレさえ終われば、ようやく酢蛸SDKにつかえるアーティファクト――
 ひいては〝朽ちた女神像めがみぞう〟をさがしに行ける。

 それにまずは、ひとまずは――ほんの一週間いっしゅうかんで良いからやすみたい。
 日がな一日いちにちゴロゴロして、食べたいときに食べて、寝たいときに寝て、散歩さんぽをしたいときに、気ままに出かけるのだ。

「――シガミー、ひレ酒用ざけヨう清酒せいシゅが足りマせ――」
 裏天狗ジンライ樽酒エールをかついで持ってきた。
 ひれざけを気に入ってくれた工房長ノヴァドたちや、そのほかの呑んべぇたちがカパカパとさかづきを空けるもんだから――酒樽エールも、もう十個じゅっこ切り捨てた・・・・・

「はいよぉー♪」
 もう解析指南かいせきしなんもなしに、ぱっとしない樽酒エールからからみのあるキツイさけつくれるようになった。
 手順てじゅんのひとつに、おれがスキルでやったほうはやいのがあるから、それとバレないように清酒せいしゅに変える。

 シュォォォォォォォオッ――――すぽん♪
 燃える霧・・・・裏天狗ジンライ回収かいしゅうした。

 こうしていま自前じまえで、澄みざけすらつくれるようになった。
 つまり筋肉痛きんにくつう特効薬とっこうやく卵酒たまござけすら、自分じぶんつくれるってことで。
 おれひとりなら金剛力パワーアシスト使つかって、いつでもドコでも自由じゆうに出かけていけるのだ。

 さすがに五百乃大角いおのはらじるし御利益ごりやくまでついた、本物ほんもの卵酒たまござけほどの効果ききめのぞめないかも知れない。
 けど、おれの酒瓶さかびんからでた澄みざけとくらべて、このつくった〝樽澄たるすざけ〟だってそこそこ良いせんいってる。
 そうだな……六割方ろくわりがたさけ出来でき
 ソレにおうじたくらいの利き目はあるだろ。

 あちこちに出かけて、色々いろいろなことをしよう。
 神域惑星しんいきわくせい自動地図ちずも、埋めていきたい。
 早々そうそううみでもみつけられたら、五百乃大角いおのはらにどんなめし催促さいそくされてもこまらなくなるからな。
 魔物まもの大根だいこん……マンドラゴーラも神域惑星で取れりゃ――

「――神域惑星しんいきわくセいはイオノファラーにヨり、モと食材しょクざいが採れルように設計せっけイされテいま――」
 あー!? 無ぇ・・ってことか。
 残念ざんねんだけど、贅沢ぜいたくは言うまい。
 十分じゅうぶん十分じゅうぶん、いいよいいぞ。かなり良いかんじじゃね?

 うひひ。ひとまず明日あした一日いちにち寝床ねどこから出ねぇぞ。
 まんいちレイダがあそびにでも来た日にゃいえに引っ張りこんで(十中八九来じゅっちゅうはっくくるし、リオレイニアも絶対ぜったい朝一番あさいちばんかおを出す)――
 そうだなー、双六すごろくでもやろう。絶対ぜったいそとにはでねぇことを、ここにちかうひうひひ。

 ピピピピピッ――「ハッチ開閉かいへいします。白線はくせん外側そとがわまでお下がりください♪」
 突然とつぜん拡声かくせいされたこえに、あたりを見わたす招待客おきゃくたち。
 れいの〝ひらく仕組しくみ〟が、天守閣ココにも仕込しこまれてた。

「にゃみゃごぉ――♪」
 仕込しこんんだのはおにぎり。
「あらぁ、うまく機能きのうしたじゃなぁーい♪ 上々じょうじょう上々じょうじょう――ウケケケケッ♪」
 設計めいれいしたのは五百乃大角いおのはらか。
 天守閣ペントハウス防衛まもりが気になるが、ひらいたのは一瞬いっしゅんで――テーブルに掛けられた白布クロスを、ふんわりと揺らしただけだった。

 ヴォォォォォォンッ――――♪
 宴会えんかい最後さいごまどから乱入らんにゅうした伯爵夫人ルリーロの、ある・・一言ひとことで――
 おれのささやかなちかいは、もろくもくずれさることになる。
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