滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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2:カブキーフェスタへの道

241:天狗(シガミー)という名の神さま、QTE料理人あらわる

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「テェーング殿どの手助てだすけはするけど審査しんさはきびしくするからね」
 女将おかみさんはトゥナさんというのか、はじめて知った。
 それと宮廷料理人きゅうていりょうりにんってのも初耳はつみみだし、尋常じんじょうじゃねえな。
 実際じっさいにその仕事しごとをちかくで見たから、納得なっとくしかしないが。

 けどなんでまたこんな場末ガムランで、食堂しょくどうなんかをやってるんだろう――
 とはおもうけど、生きてりゃ色々いろいろあらぁな。

「さぁ、おにぎりちゃん。この果物くだものしぼるよ!」
 テーブルのうえにならべられた、いろとりどりの果物くだもの

「んみゃぉ、みゃにゃぁごおぉ♪」
 テーブルの向こうでは、強化服一号おにぎりが待ちかまえている。

 やたらと刀身とうしんやこしらえが立派りっぱ包丁ほうちょうが、果物くだもの両断りょうだんしていく。
「ありゃ!?」
 すぽん――まるくて縞模様しまもようのがひとつ跳ねて――逃げだした。
 ガムラン近郊きんこうに生えてる果物くだもの野菜やさいは、たいていが活力マナをおびた魔物まものだ。
 ときおり食卓しょくたくから果物くだものが逃げだすなんてことも、ごくまれにある。

 ぽぉん――にゃみゃが!
 跳ねたソレに、とびつく一号おにぎり
 さすがは猫族ねこぞくを模したシシガニャンだ、すばやい。

「じゃぁ、いくよ。ちゃぁんと押さえといておくれよ?」
 てぇりゃぁ――!
 女将トゥナさんが、気合きあいをいれて赤色あかいろのをしぼると――
 しぼりざらのうえに奇妙きみょう文様もんようがあらわれた。

 『あある
 それは神々かみがみがつかう文字もじのひとつに似てた。

「でぇりゃりゃりゃりゃぁ――――!」
「にゃみゃがにゃやーん♪」
 いろで充たされていく、むっつのしぼりざら
 その水面すいめんには――六個ろっこ文様もんよう

 橙色だいだいいろ果物くだものには――『おう
 黄色きいろ果物くだものには――『ぅわい
 緑色みどり果物くだものには――『
 青色あおいろ果物くだものには――『
 紫色むらさきいろ果物くだものには――『

 かがやく水面すいめん背後はいご画面がめん大映おおうつしになると――
 会場かいじょうがふるえるほどの大歓声だいかんせい

「みゃごー♪」
 ことん、ことことことん。
 から大皿おおざらを取りかこむようにならべられる、しぼりざら

「じゃあ、つぎにいくよぉー!」
 いつもの木さじに持ちかえた――Q邸きゅうてい料理人りょうりにんが、沸していた湯をかきまわす。
 ぐるぐるぐるるるっ!

 大鍋おおなべをかきまわすと――なべうえにも文様もんようがあらわれた。
 ピキパキガキィィィンッ――――!
 一瞬いっしゅんのうちにこおりつく湯――ひか文様もんよううえにせりあがったかたちは、水晶すいしょうやゴーブリンいしかたまりみたいになった。

 なべよこにずらすと浮かんでいた文様もんようが、テーブルのたかさまで降りる。
 それにあわせてこおりも降りて、テーブルのうえ20センチくらいに浮かんだ。

「みゃんにゃやーご?」
 しぼりざらにかこまれた大皿おおざら
 その手前てまえ七個ななこちいさいかねならべられている。

「いまから言う順番じゅんばんで、ソコに有るベルを鳴らしてくれるかい?」
 ぶるるん、ぶるぅんとあちこちを揺らしながら、女将おかみさんが手を振った。

 ヴォォォォォォォッ――――!
 大皿おおざらしたに浮かびあがる――魔法まほう法印ほういん
 それはまるで、曼荼羅マンダラのような精緻せいちさで――
 そのすじ一本一本いっぽんいっぽんが――〝魔法まほう神髄しんずい〟で出来ていた。

「いつみても女将おかみさんの古代魔術・・・・わぁー、おもしろぉいわねぇぇ――♪」
 ぱんっと扇子せんすをひろげ――えつ伯爵領はくしゃくりょう名代みょうだい
 古代魔術こだいまじゅつだぁ?
 ここにきて、いままでに聞いたこともない〝〟の〝じゅつ〟が出てきやがったぞ。

 ぽこふぉん♪
『イオノ>攻略本の記載によれば、
     文様魔術と呼ばれる魔術体系みたい。
     ほんの二十年前までは、
     普通に使われていた生活魔法だってさ」

 魔法の文様まんだらうえ、浮かぶ氷塊ひょうかい
 それを力一杯ちからいっぱい、ばしんとひっぱたく!
 ひっぱたかれた氷塊こおりは――しずかに回転かいてんをはじめた。

 そして木さじをふたたび、頑丈がんじょうそうな包丁ほうちょう――いやありゃ、短刀たんとうなのか?

 ふぉん♪
『>アーティファクトの反応があります』
 となると伯爵夫人ルリーロつえとおなじくらいの、チカラを秘めてるかもしれねぇ。

 うっすらと魔法まほうひかりはな短刀たんとうを、まわるこおりに突きたてた!
 ザリザリザリィィィ――――――――シャァァァァァァアッ!!!

 こおり鉋屑かんなくずが弧をえがき、とおくに置いた高足たかあしびーどろに降りそそぐ。

 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ――――!
 沸く会場かいじょう
 彼女おかみさんわざは出しものとしても見事みごとで、これにはわしも弟子でし感嘆かんたんした。

 ふぉん♪
『>この氷を使った出し物は、舞台で映えますね』
 ああ、これはおもしれぇ――よーく見といてくれ。
 いつか似たことをするはめに、ならないともかぎらないからな。

OOおーおーGOじーおYOわいおGOじーおOOOおーおーおGYじわいYOよー♪」
 女将おかみさんのかけごえに合わせて、おにぎりがうごき出す。
 シャァァァァァァアッ――けずられていくこおり

「にゃがにゃが、みゃごみゃごぉ♪」
 『O――』『O――』『G――』『O――』『Y――』『O――』『G――』『O――』!
 しぼりざらに浮きでた文様ひかりから伸びていくひかすじ
 それはおにぎりのまえ
 置かれた小鐘こがねにつながった――チィン♪
 つまみをたたくと音が鳴るだけの道具どうぐだ。
 ギルドの受付うけつけにも置いてある。

 かねが鳴ると――ぽちゃん♪
 しぼじるそらたかくはねて大鍋おおなべに。

 チィンチィンチィンチチチン♪
 黄緑色おにぎりがせわしなく両手りょうて交差こうささせ、六色ろくしょくしる大鍋おおなべそそいでいく。

ROああるおらっBYOびわいおらっGYOじわいおらっYOよーらっ♪」
 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ――♪
 女将おかみさんのこえに合わせて――しりをふるおにぎり。
「にゃ、にゃ、みゃみゃ、にゃにゃみゃみゃ♪」
 もっわぁぁぁあぁぁ――さまざまないろにかがやくくも大鍋おおなべからあふれた。

 シャァァァァァァアッ――けずられていくこおり
 人数分にんずうぶんならんだビードロのうつわ
 真っしろ雪山ゆきやまたかさを増していく。

YGわぁいじYBわぁいびPYGぴわぁいじOOYGYおぉーやぁじ♪ OBおぉびOGおぉじPYGぴわぁいじOYAGYおぉーやぁーじ♪」
 出し物りょうり佳境かきょうなのか、かけごえ複雑ふくざつになっていく。
 OOYGYおわいじのところは途中とちゅうから「オヤジ」にしか聞こえなくて、すこし面白おもしろかった。

「オヤージ、オヤッジーィ♪」
 あんじょう観客かんきゃくのバカなヤツが一緒いっしょうたい出す。
 とおもったら――このこえ、レイダか。
 階段かいだんのひろいおどり場で、タタと一緒いっしょすわって待機たいきしてる。
 そのこえはやがて、会場中かいじょうじゅう大合唱だいがっしょうとなり――

「にゃがにゃが、みゃごみゃごぉ♪」
「――ヤイヤイ、ワイワイ、オヤジオヤッジー♪」
 央都おうとのモサモサ神官しんかん合唱がっしょうとはちがって、どんどんはやくなっていく。

「――にゃにゃやにゃ、みゃにゃみゃごにゃみゃっごぉ♪」
 おにぎりの手が見えなくなった・・・・・・・ころ。
 いちばん手前てまえ雪山ゆきやまに――〝きり〟がかかった。

 短刀たんとうを置いて――なにかを手のひらにえが料理人トゥナさん
 するときりから、なにかが落ちていく。
 なんだ――?

「にゃみゃん、ふぎゃぁー♪」
 それはいろとりどりの――ゆきだった。
 おにぎりがかぶりつくようにかがみ込む。

 おい、見えんだろうが。
 仕方しかたないから巨大画面きょだいがめんうつ冬景色ふゆげしき見守みまもる。
 きり雪雲ゆきぐもあらしているのか。

 しんしんと降り積もる、いろとりどりのゆき
 ビードロのうつわかさなるように突き刺さっていた曼荼羅もんようがパリンと割れると――
 ズゥォワァッ――――雪山ゆきやまいろどられた。

 これははる景色けしきかっ!?
 さくらのようないろはなが咲きみだれる、やま景色けしき

「さぁできたよ。溶けるまえにおあがり♪」
 色鮮いろあざやかなこおった菓子かしが、透明とうめいなビードロのうつわ完成かんせいした。

 それはふたたび画面がめんうつし出されている、『グラニテ』とやらとおなじかがやき。
 こりゃ見事みごとだ。
 ちいさなさじで――ぱくり。

 こりゃあめぇ――けどすぐ溶けちまうから、これっぽっちもくどくねぇ。
 うめえうめぇ――一瞬いっしゅんでなくなっちまった。
 なるほど。
 つめたくて食べると溶けちまう――そんな菓子かしつくれば良いんだな。

食堂しょくどう女将おかみ……トゥナとやら。つめたい菓子かしのご指南しなん――まことにかたじけない」
「――かたじけない」
 弟子ジンライわしにならってれいを言う。

「おぉーっと、ここでヒーノモトーこく伝家でんか宝刀ほうとう、〝かたじけーない〟が炸裂さくれついたしましたぁー♪」

 かたじけーぇなぁい♪
 観衆きゃくがいっせいにマネなぞしやがる、ひょっとしてバカにされてんのか?
 めっすぞ。

ーーー
文様魔術/手のひらに光の文様を描き、それを地面などに転写して発動させる魔術形態。
※参照URL
https://ncode.syosetu.com/n7103gx/
※参照URL
https://novelup.plus/story/807719871
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