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2:カブキーフェスタへの道

222:ギルド住まいの聖女(研修中)、青いローブの女

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MPエムピーを溜めておいた?」
 ぼくは採取さいしゅにも狩りにもたたかいにも、まるでMPエムピー使つかわないから、やまのようにあまってるアレ・・がある。
「ばたり――これ死ぬほどあまってるから……あげるよ」

 おな格好かっこうゆかたおれこみ、MPエムピーポーションを何本なんぼんか取りだす。
 こしにつけた収納魔法板しゅうのうまほういたに入れて置いたヤツだから、迅雷ジンライがいなくても取りだせる。

「ボクぅー、覆面ふくめんなんてしてるわりにー、すっごく良い子ぉねぇー」
 お? MPエムピーポーションに手が伸びた。
 問題解決もんだいかいけつか。

「ありがとうねぇー、けぇどねぇー、コレじゃないのよねぇー」
 くの字に折れがって、たおかたがひどくなった。
 よかれとおもったんだけど、なんかちがうらしい。

 小瓶ポーションを引っこめようとおもったら――「気持きもちとポーションは、ありがたくいたいておきます」。
 女性じょせい自分じぶんかばんに詰めこんだ。
 まあ、いいけど。

 MPエムピーって活力マナだよな。魔法まほう元になる・・・・やつ。
 迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらがいないと、くわしいことはわからないな。

「(おーい迅雷ジンライ! 五百乃大角いおのはらでもいーぞ、いるかぁー!?)」
 返事へんじはない。ちかくには居ねぇな。

 ここは、舞台裏手ぶたいうらて倉庫そうことかがある一角いっかく
 部屋へやなかに居るのは五人ごにんだけだ。
 視線しせんがとおりゃ、どれだけとおくても念話ねんわ使つかえるんだが。
 耳栓経由みみせんけいゆ画面がめんにも、迅雷ジンライがらみのヤツは一切表示いっさいひょうじされてない。

 こんな面倒めんどうなことになるなら、すなおに棄権きけんしときゃ良かったな。
 ただでさえねむいのに。

 しゃあない、自分じぶんかんがえてみるか。
 ただよこになってたら――すぐに寝ちまう。

MPエムピー活力かつりょくで-」
 龍脈りゅうみゃくと、だいたいおなものだって言ってたな。
 ここの温泉おんせんにも溶けこんでるし、さっきのMPエムピーポーションにだって当然とうぜんはいってる。
 それを、この青くなった・・・・・ローブに、一滴一滴垂いってきいってきたらすように溜めこんでいたと。
 どうやらはなしを聞くなら、そういうことのようだ。
 そしてそのとらの子の〝取っておき〟を、いまさっきおどろいて使つかっちまって……ゆか寝転ねころんでる。

「このローブは、アーティファクトですか?」
 迅雷ジンライよう神力棒しんりょくぼうを持ってるから、アーティファクトならすぐ満杯まんぱいになる。
子供こどものころ、露店ろてんで買ったから良くわからないの。けど着てれば着てるだけ本当ほんとう頑丈がんじょうになるから、防具ぼうぐではあるとおもううの……ぐすん」
 たしかに、このひとは見るからによわそうなからだつきと顔色かおいろをしている。
 魔法抜まほうぬききならレイダにも、負けるんじゃないか。
 ひめさんの、ギッラギラした元気げんきをしぼって、分けてあげたいくらいだ。

「こら、カラテェーくん。イジメちゃだめよ?」
「イジメてないよ。それより、MPエムピーが溜まる防具ぼうぐってしってる?」
MPエムピーが溜まる? ……聞いたことありませんわ」
 うーん。着てれば着てるだけつよくなるって言うなら、そこそこ良いものだとおもうんだけど――それこそ、伯爵夫人ルリーロが着てた巫女装束みこしょうぞくみたいな。

「たしかに、ちょっと見ないローブですわね? 鑑定かんていはしてみたの?」
 かがみこみ、女性じょせいを気づかうように手をのばす伯爵令嬢リカルル
鑑定代かんていだいだけで買ったときの、五倍ごばいもの大金たいきんになるもの。そんなもったいないことはしません」
 そういってからだを起こす、不健康ふけんこうそうなそうな女性じょせい
 ニゲルのけんもだけど安物やすものたいして、おかねをはらってまで鑑定かんていをするひとはいないんだな。
「うーん?」

 現在時刻いまのじかん深夜3時よなかのさんじ本戦ほんせんは9時から11時まで。
 人数ひとが増えたから場合ばあいによっては開始時間かいしじかんはやまる。
 天狗戦てんぐせん……御前デモンストレー試合ションマッチはかわらず、午後1時ごごいちから午後五時ひぐれまで。
 ふう……いい加減かげん、ねむい。

 ちゃっちゃとへたり込むのを終わりにしてもらって、順番じゅんばんを決めないと。
 上級鑑定じょうきゅうかんてい(しめしめフヒヒと品定しなさだめするようなわるかお)で、〝あおいローブ〟を見た。

 ――――ぽこん♪
『真蒼のローブ【――】
 ――/――――――
    ――――、――』
 上級鑑定これもぼくのスキルだから、迅雷ジンライ無しでももちろん使える。
 烏天狗カラテェー偽装ぎそうした冒険者ぼうけんしゃカードにも、ちゃんと書いてあるヤツだから、人前ひとまえでも使つかえる。

「そういえばカラテェーは、上級鑑定じょうきゅうかんてい使つかえるのでしたわね」
 かねおとがしなかったから、ほか鑑定かんていできるひとは居ない。
「そりゃあ、たいしたもんじゃないか」
「ほんとだよ。ほくもこんどなにか、鑑定かんていしてもらおうかな」
 みんなが寄ってきた。

 けどニゲル、鑑定かんていしてもらうなら〝なにか〟じゃなくてさ。
 いまこしに下げてる〝伝説でんせつ聖剣せいけん安物やすもの)〟を、真っさきにするべきだろ!
 まったく、ニゲルは。

   §

 どれどれ――
『真蒼のローブ【吸血の呪い】
 防御力60。魔術師向けの一体型防具。
 追加効果/DEF+着用時間×0.001%
 条件効果/【火炎縛】ローブが吸った血を使い、
      無差別に火炎系魔法を放つ』

「どんな防具ぼうぐなんだい?」
めいはいってますの?」
 テーブルにひろげたローブに、興味津々きょうみしんしん女性陣じょせいじんたち。

「だいじょうぶかい? コレよかったらポーション飲んで、らくになるよ」
 あーもー、ニゲルは。
 ソレはみせから、おつかれのニゲルに支給しきゅうしたヤツだろ。
 思い人リカルルの目のまえで、ほかのおんなにやさしく……するのは、わるいことではないけど。

「あ、ありがとう店員てんいんさん」
 ガムランちょうにながく住んでて、女将おかみさんの食堂みせを知らないやつはいない。
 そして、ニゲルはこう見えても、麒麟児スーパールーキーとして名をせたらしくて。
 そういうわけで、ニゲルが食堂しょくどうはたらいていたのは、みんな知っている。

 あーあー、手までつかんで起こしてあげちゃって。
 色恋沙汰いろこいざた五百乃大角いおのはらが居ないと、どうにもできない。
 いまは、このおんなひとに、一刻いっこくはや元気げんきになってもらおう。

「えーっと、真蒼しんそう……のローブ。吸血きゅうけつのろい……!?」
「「「「のろいのアイテム――――!?」」」」
 全員みんなつくえから逃げていく。
 持ちぬしまで、あおかおをして……顔色かおいろわるいのはもとからか。

のろわれたアイテムか。いままでに、何個なんこか見かけたことはあったけど――」
 迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらが居れば、たちどころにわるものはどうにかしちまってたからなぁ。
 「おいしいごはんのさまたげになるものわぁー、こうしてくれぇるぅわぁー!」ってなかんじで。

「ひとまず、この鑑定結果かんていけっかを、みんなにも見せたいな」
 ひめさんは仮面かめんしてないから、見せられないし。
 予備よび耳栓みみせんはあるけど、そもそも迅雷ジンライとおさねぇと、このスキル画面がめんは――画面がめんうつせねぇのか。
 便利べんり不便ふべんで――本当ほんとうにややこしい。

 ニャミカが使つかってた上級鑑定箱じょうきゅうかんていばこは、こういうときに便利べんりだ。
 このスキル画面がめんかみに書きうつ魔法具どうぐを、迅雷ジンライつくらせよう。
 けどまずは、この場を乗り切って、一時間いちじかんでも良いから寝るぞ。

 この場は、ぼくにしか見えない鑑定結果かんていけっかを、この黒板くろいたにでもうつせれば良いんだけど。
 ――わかるかい、そんなややこしいこと。
 っていうか、やっぱり迅雷ジンライ視線ねんわつうじ場所ところまで、移動いどうするか?
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