滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
214 / 740
2:カブキーフェスタへの道

214:ギルド住まいの聖女(研修中)、オルコトリア(つよい)があらわれた

しおりを挟む
問題山積もんだいやまづみで――SDK代わりになるアーティファクトをさがしに行く……どころじゃねぇーなー」
「(ですが、ルコルの仲介所ちゅうかいじょ盛況せいきょうになれば、出向でむかずともあつまってくる可能性かのうせいも――)」
 それもなくはないので、こうしてる・・・・・

 スタタタタァァン――――ストトォォォン――――――――!
 ガムランちょう城塞都市じょうさいとしのあいだ。
 沼地を走る黒装束カラテェー――つまりおれ。
 アーティファクト仲介所用ちゅうかいじょようのガラクタ……つぶぞろいの珍品ちんぴん……名品めいひんたちを、城塞都市じょうさいとし不要品置ふようひんお……倉庫そうこから深夜しんやはこんでる。

「にゃやーご、みゃがごーみゅ?」
 あとを付いてくるのは、若草色おにぎり
 あの背中せなかはこには、ギルドの地下ちかを掘るのにくりぬいたつちとか、かさばるながさの材木ざいもく巨大きょだいいわとか、一号いちごうがこれまで食べたものとかが押し込まれている。

「いまアイツ、なんていった?」
 ふぉん♪
『ヒント>自動翻訳:あの二つの月、おいしいのはどっち?』

 見上みあげればあかいのとあおいの、ふたつのまるが浮かんでる。

「はぁ、大工仕事だいくしごと荷物持にもつもち、いざってとき護身ごしんにと大活躍だいかつやくだが――どうにも、ひとはなすみたいにはいかないもんだな」
「(おにぎりは生後せいごまだ、二週間にしゅうかんです。ながい目で見てあげてください)」
 そーだなー、あるかたからおしえてやってたことをかんがえたら、そうとう頑張がんばってる。

「もしも、迅雷ジンライ……おまえみたいなのが、ポンポンつくれるようにでもなったら、ニゲルにも一匹作いっぴきつくってやりたかったんだがなぁ」
「(自動翻訳じどうほんやく機能付きのうつききのヘッドセット……耳栓みみせん支給しきゅうしたので、当面とうめん生活せいかつには十分じゅうぶんおもいますが)」
 ニゲルが出来できなかったのは、別種族べつしゅぞくの読み書きと、人種族ひとしゅぞくの込み入った読み書きだ。
 たしかに耳栓みみせんが有れば、そうそうこまることもないか。

「(女神像めがみぞうちかくにないときようの、充電棒じゅうでんぼうたん)を二本にほんこわれたときよう予備よびわたしました)」
 そもそも、これまでちゃんと生きてきたわけで、おれよかよっぽどちゃんと出来できてる。
 おれが生きてこられたのは、ほぼ迅雷ジンライ五百乃大角いおのはらのチカラだ。

 スタタタタァァァァン、ストトトォォォォォン――――――――♪
 すたたたたぁぁぁぁん、すととぽきゅきゅむん――――――――♪

 沼地ぬまちがふかくなって、足場あしば途切とぎれた。
 高下駄たかげたの歯をよこそろえて、おもいきり突きだす。
 ズザザザザザザザザザザァァァァァァァァァァァァァッ――――なんでかしずまずに、高下駄たかげたが持ちあがっていく。

 いちおうおにぎりシシガニャン様子ようすを――振りかえる。

「にゃみゃっ!? ふにゃにゃやぅ――!?」
 ジタバタしつつも沼地ぬまちうえ器用きようにすべっている。

「あいつはしずめようったって、しずまないだろ?」
「――はイ。防汚加工ダートぷルーフ……よゴれナい仕組しクミが、毛皮けがワほどこされていますノで――」

 ギルド屋舎おくしゃを建てなおしてからコッチ――本当ほんとうにいろいろあった。
 鬼娘おにむすめからの決闘申けっとうもうし込み。
 温泉おんせんがでたり。
 神域惑星しんいきわくせい饅頭まんじゅうつくったり。
 青年ニゲル温泉饅頭おんせんまんじゅう製造販売所せいぞうはんばいじょ店主てんしゅ就任しゅうにんして。
 姫さんリカルル狐火きつねび体得たいとく

「――まサに目白押めじロおし……スしめでシ――」
寿司すしか……紙箱かみばこに詰めりゃ、饅頭まんじゅう一緒いっしょに売れそうだな」
 べつに猪蟹屋ししがにやを切り盛りするために、来世ガムランに来たわけじゃない。
 けど、レイダやリオレイニア、ギルドの連中れんちゅうや、喫茶店組ルコルたち
 それにくわえてニゲルの生活せいかつまで、背負せおうことになっちまったからなぁ。

「――良いかンがえです。無人工房むじンこうぼうデはポテトカツの量産りょうサん開始かイししたノで、長椅子ながイすナがテーブルヲ設置せっチしテ、明日アす開店かイてんにそなえマしょ――」
 販売所みせかねをだした猪蟹屋ししがにや2号店・・・でもあるけど、ルコルたちのアーティファクト仲介所ちゅうかいじょでもある。

「ニゲルはさじ食堂しょくどう仕込しこまれてるから、食い物屋ものやの切り盛りにはうってつけだ」
「――はイ。ルコルたチも茶店ちゃミせ仕切シきってキた実績じっせキが有ルので、意見いケんを出してもらいましょ――」
 食いもの、飲みものかんしては、二号店裏にごうてんうらのとんでもなくひろい無人むじん板場いたばに任せておけば良い。

 ひとつ気になるのは、ニゲル青年せいねんにアーティファクトの管理かんりつとまるのかどうか……くらいか?
 ルコルたち以外いがいにも、ひとりだけ当て・・はある…………けどなー。

 ズザザザザァァァァァァッ――――――――ゴッ、ドドンッ!
 沼地ぬまちが終わり――とおくにガムランちょうが見えてきた。

「(通用門つうようもんからはいると面倒めんどうだから、城壁じょうへきを越える)」
「(岩場側いわばがわは、温泉警護おんせんけいご人員じんいん配置はいちされているので、反対はんたい荒地側あれちがわから侵入しんにゅうしましょ)」
 おう。荒地側あっち巨大きょだいいわやくぼみが、うっそうとしげった高草たかくさかくれてるから、あまりとおりたくはない。
 ぎゃくに言えば、見渡みわたすかぎりの自然しぜんわなが張りめぐらされている。

 ガサガサガサガサッ――――ドドン――――しげみを突っ切り、倒木とうぼくを蹴って飛んだ。
 ガッガッガッ――――くるくるくるくるるん――――がしっ!
 点在てんざいするいわを蹴りすすんで、城壁じょうへきへりに取りついた。

 いきなりまちなかへ、飛びこんだりはしない。
 シュワシュワとはじける温泉おんせんを、ガムランちょうの8区画くかくすべてに分配ぶんぱいしたから、その警備けいび衛兵えいへいがかり出されているかもしれないのだ。

 そっとあたまを出す。
 ひとあたたかさやうごきを〝縁取る形モーショントラッカー〟は見えないから、だれも居ない。
 けどはじめてとおる道筋みちには気をつけろと、前世ぜんせ師匠ししょうにあたるヤツが言ってたから――
 一応いちおう、気を付ける。

 昼日中ひるひなかのように見える視界がめんうつるのは、きゅうシガミーてい物置小屋ものおきごやくらいだ。
 一応名義いちおうめいぎは、まだおれのものではあるけど、もうここに来ることもないだろう。

 スタタタァァン、ストトォォッォォォン――――――物置小屋ものおきごやからみちなりに立ちならぶ建物たてもの屋根やねにあがる。
 そしてこのまま、距離ながさで言ったら……40シガミーくらいを、いきおいにまかせて飛ぶ。

 ひゅぉぉぉぉぉぉお――――――――――――――――がしっ!
 しんギルド屋舎おくしゃ二階にかい三階さんかいあいさ。出っぱった石柱せきちゅうに取りつく。
 このすぐうえは、しんシガミーていまえの通路つうろにつながってる。

「(通路つうろまどは開かないはずだが、どーすんだ?)」
 ふぉん♪
『>合い言葉を設定済みです。頭巾の中で小さく、
  〝温泉入浴罰苦戸蒼分〟と唱えてください』
「(〝音声入力おんせいにゅうりょく:バックドアオープン〟です)」

「(えっと)、〝温泉入浴おんせんにゅうよく罰苦戸蒼分ばっくどあおぷん〟?」
 画面がめんにあらわれる、ひかり縁取ふちどり。
 ぷっしゅるるるうるる――ガタァン!
 ひらくようにたおれたかべを、踏んでなかはいる。
 あたりにひとは居ないから、平気へいきだったけど――結構けっこう騒々そうぞうしさだ。

「にゃみゃぁーご、にゃんにゃんみゃん。やんみゃにゃにゅ♪」
 通路つうろにころがりでた一号おにぎりが……なんだって?

 ふぉん♪
『>要約すると――あとで音がしないように作り替えておく――だそうです』
 一号いちごう仕事しごとかんしては、迅雷ジンライよかキッチリしてるかもしれない。

 へっどを撫でてやるかと、背後うしろを振りかえる。
 どかっ――ぽっきゅむむん♪
 すすんできたへっどにぶつかった!
 うるせえ。
 通路つうろ尻餅しりもちをつく、おれと……いやぼくと一号おにぎり

「んぁ? だれかいるのか!?」
 やべぇ、ひとが居たのか!?
「(断熱だんねつならびに遮蔽性しゃへいせいすぐれた新屋舎しんおくしゃは、そとから熱源探知ねつげんたんち動体検知どうたいけんちをするのには向いていません)」
 わからんが、外壁そとかべ五百乃大角いおのはら仕事しごとだ。

 ダッダッダッダッ――――ズザザァ!
 曲がりかどから姿すがたをあらわす――たぶん、衛兵えいへいさん。
 とにかくいまは、この場を取りつくろわないと。

夜回よまわりですか、ごくろうさ……ま」
 愛想良あいそよこえを掛けたけど、ソコに立っていたのは。

「お・や・あ? カラテェーくんじゃん。ココで会ったが4日よっかぶり、にがさなぁいぃーわぁよーぅ、ふっしゅるるるるるるうぅ――――!!!」
 なんで、こんな通路つうろおにが出るんだ。
 あと、なんでそんなきばをむいて、うなってるんだい?
 決闘けっとうはあさってだし、相手あいてはコッチでしょ!?

 ぼくは、うしろに居た一号おにぎりを立ちあがらせ、青鬼あおおにに突きだした――
 ――くるん♪
 ぐいっ!
 ぼくの手をつかみ、からだを入れ替え、ぼくの背中せなかかくれる黄緑色きみどりいろ

「ふみゃぁーご♪」
 やい、おにぎり。
 これはあそんでるんじゃねーって。

「(ほらいけ、鬼娘オルコばんはオマエの仕事しごとだろ)」
 くるん――ぐいっ!

「ふみゃぁーごぉ♪」
 くるん――ぐいっ!
 何度なんども入れ替わって、まえにすすんだもんだから、いつのまにか――

 ――――ごきり!
 おにの二のうでが、目のまえにあった!
 普段ふだんひめさんをたしなめることがおおい、名物めいぶつ受付嬢うけつけじょうおにほう
 そのうであしは、自前じまえ金剛力こんごうりきばいに――いや、三倍さんばいふくれあがっている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗
ファンタジー
Cランクの平凡な錬金術師・カイリは、宮廷錬金術師に憧れていた。 技術を磨くために大手ギルドに所属。 半年経つとギルドマスターから追放を言い渡された。 理由は、ポーションがまずくて回復力がないからだった。 孤独になったカイリは絶望の中で三毛猫・ヴァルハラと出会う。人語を話す不思議な猫だった。力を与えられ闇の錬金術師に生まれ変わった。 全種類のポーションが製造可能になってしまったのだ。 その力を活かしてお店を開くと、最高のポーションだと国中に広まった。ポーションは飛ぶように売れ、いつの間にかお金持ちに……! その噂を聞きつけた元ギルドも、もう一度やり直さないかとやって来るが――もう遅かった。 カイリは様々なポーションを製造して成り上がっていくのだった。 三毛猫と共に人生の勝ち組へ...!

処理中です...