滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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2:カブキーフェスタへの道

204:神域探訪、ニゲルの由来

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 ふぉふぉん♪
『恋愛相談契約書
 相談者署名欄 氏名/西計にしかず 三十六みとむ
 生年月日/甲仁38年11月20日生 17歳
 携帯電話/030ーXXXXーXXXX
 住所/ガムラン町 南西通り
 勤務先/木さじ食堂

 恋愛対象者署名欄 氏名/リカルル・リ・コントゥル
 生年月日/光陣暦113年4月4日生 18歳
 住所/ガムラン町 領主邸
 勤務先/ガムラン町代表、
     S級冒険者パーティーヴォルトカッター隊長

 恋愛相談指定事項/
 最初に出会ってから好きになるまでの期間/0日
 特記事項/央都ならびに、王族関係は全てNG』

 なんだこの、やたらとながいのはぁ?
「(ニゲル青年せいねん調書ちょうしょかと)」
「(ーいうこと、さっき書いてもらったのよん♪ 恋愛相談れんあいそうだんにかこつけて、日本人にほんじんニゲルくんのくわしいところを聞きかじろうって寸法すんぽうです。ふふふ、おかわり)」

 いまおれとタターは、一号おにぎりがすっ飛んでいった方角ほうへ向かっている。
 おれひとりなら金剛力パワーアシストでかっ飛べば、いくらも掛からないだろうが――

「(まあ、そっちはそっちで、うまいこと手がかりを聞き出してくれ――あの神速しんそくはともかく、ヤバイのは切れ味・・・だ)」
「(れはお約束やくそくできないけど、ひとつだけわかったことがあるわっ)」
「(それは――!?)」
「(それハ――!?)」

「(んと石狩鍋いしかりなべには、〝お豆腐とーふ〟と〝お味噌みそ〟と〝おバター〟が、お必要ひつよーみたいなのよ)」
「――ソレはこマりました――」
「――なんだ、食いもんのはなしか」

「食べもののおはなし? ひょっとしておなかすいた、シガミーちゃん?」
「あ、いや、コッチのはなしだぜ。はらぁまだ減ってねぇやな、へっへへへっへっ」
 ヴ――ぱし。
 草木くさきはらうのに、包丁ほうちょうを取りだす。
 迅雷ジンライは、タターに付けてあるからな――錫杖しゃくじょう小太刀こだちを振りまわすのも、なんか物騒ぶっそうだし。

「じとり……前々まえまえからおもっていたのですが――」
 がしり――首根くびねっこをつかまれ、マジマジと見つめられる。

「な、なぁんでぇい?」
「あの元侍女長もとじじょちょうをまえにして、よくもそんな冒険者ぼうけんしゃよりもガサツな会話かいわができたものですね?」
 まだ日はあさいがリオの、人となりはわかったつもりだ。
 礼儀作法れいぎさほうにとてもきびしく、生活魔法せいかつまほう修行しゅぎょうにもとてもきびしい。

「いやじつは、女性客じょせいきゃくが逃げるからって、すでにおこられてる」
「あらまぁ……けどそれはそうでしょ? シガミーちゃんは、そんなにかわいらしいのに、女を磨かない・・・・・・なんて――人類じんるい損失そんしつだとおもうものっ!」

「うん、わからない。なに言ってるかわからない」
「なんていったらいいのかしら……」
 そっとあたまを撫で、生活魔法せいかつまほうかわかしっぱなしのみだれたかみを、ととのえてくれる。

「――じゃぁ、シガミーちゃんは、侍女長じじょちょう……リオレイニアさんの、おかおを見たことは有る?」
「おう、あるぞ! どえらい美人べっぴんさんだった。美の女神めがみって言うのわぁ、ああいうヤツのことを言うんだと、しみじみおもったね♪」
「そう、それなのよ!」
「ど、どれでぇい!?」

「もしも、リオレイニアさんが――「あ、いや、コッチのはなしだぜ。はらぁまだ減ってねぇやな、へっへへへっへっ」――なんて、がさつなはなかたをしたら、どうおもう?」
 っていうか、その台詞せりふわぁおれがいま言ったやつだ。
「そうだなぁ、魔物まものにでも取り憑かれたんじゃないかとおもって、大慌おおあわてするな」
「そういうことよ」
「どういうことでぇい!?」

 わからん。
 一号おにぎりをさがすを止めて、テーブル一式いっしきを取りだす。
 ヴッ――どごどん、カタカタン。

「どっこいしょ、ふぅ♪」
 椅子いす腰掛こしかけ、両手りょうてをテーブルに投げだす少女タター
 起伏きふくはげしい野山のやまを、ちょっとはあるいたから、それなりにつかれた様子ようすだ。
 「どっこいしょ」も――だらしない仕草しぐさも――リオに見られたら……おこられそうだけど、だまっておこう。

「もしも、リカルルさままで――「あ、いや、コッチのはなしだぜ。はらぁまだ減ってねぇやな、へっへへへっへっ」――なんて、がさつなはなかたをしたら、どうおもう?」
「やっぱり大慌おおあわてはするけど……リオレイニアが言ったときから見たら、そこまでじゃぁないかもしれない?」

「それです」
 パチリとゆびを鳴らし、得意とくいげなかお
「だかぁらぁー、どれだって言うんだ?」
「シガミーちゃんわぁー、リカルルさまより――リオレイニアさんタイプ・・・だってことよ」
「たいぷぅ? ――台風だいふうか!? たしかにおこると、ちょうおっかねぇからなっ!」

「……リオレイニアさんがおこるとおっかないのには同意どういしますけど、ちがうわ。台風たいふうじゃなくって、タ・イ・プ」
「タイプとハ、類型化るいけいかされた様式ようしきめいのことデす」
「わからん」

「リカルルさまは、こう、はなやかなかんじで――リオレイニアさんは、こう、しとやかなかんじで」
「リカルル……さまの豪華絢爛ごうかけんらんかんじよか、リオのしゃらあしゃらしたのに、おれが似てるってことか?」
「そう! そして、そうねー。たとえばレイダちゃんはリカルルさま寄りでー、わたしはどっちだろ? やっぱり、リオレイニアさん寄りかなぁ……おむねのあたりとかがとくに」
 レイダのご立派さましりは、たしかに将来しょうらい、リカルルみたいになりそうだ。

「まあ、なんとなくわかったよ。豪華ごうかちちしりもねぇなら――中身なかみを身につけといてそんはねぇってことはさ」

「ちょっと意味いみはちがうんだけど、すこしでもわかってくれたならうれしいわ♪ ぜったいシガミーちゃんは将来しょうらい、イオノファラーさまみたいな素敵すてき女性じょせいになるから、マナーをおぼえていれば自分じぶんまも武器ぶきにもなるとおもうの」
 タターこいつは、シガミーおれ将来しょうらい気遣きづかってくれているのだ。
 それはとても、ありがたいことで。

「ところでさ。おにぎりちゃんのなかにはだれはいってるの? カラテェーくん?」

「(おい、五百乃大角いおのはら)」
「(によ、シガミ)」
「(いまの話聞はなしきいてたか? 一号いちごう中身なかみだれか聞かれてる!)」

「(ゃぁーちょっと待ってもらってくれるー? いまおもしろところでさぁ、ぷっげっらっ)」
 適当てきとうに、ごまかせってことだな。

一号いちごう……おにぎりはイオノファラーが連れてきたから、おれ……ぼくにはわからん。結局けっきょくのところ、神々かみがみのやることは、なにひとつわからん」

 ふぉん♪
『イオノ>相談者のガムラン町での名前〝ニゲル〟は、
     〝三十六計逃げるに如かず〟から来ているそうです』
 ふぅん。〝ニゲル〟は〝逃げる〟から来てるのか。
 たしかにあの神速しんそくなら、どこまでも逃げられそうだ。
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