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2:カブキーフェスタへの道

200:神域探訪、ニゲル専用恋愛相談所

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「あのー? だれかいますかー?」
 ココは、超女神像ちょうめがみぞう地下ちか

 央都おうとからの転移者てんいしゃが、到着とうちゃくする階層かいそうだ。
 ゆかとややひくめの天井てんじょうに、全体ぜんたい見渡みわたせないほどおおきな魔方陣まほうじんきざまれている。

たわ」「来たなにゃみゃ」「来ましタ
 あさ午後一ごごいち定期便以外ていきびんいがいは、まだほとんど利用者りようしゃはいない。

「来るには来たけど、ボクは央都おうとにはいかないよ?」
 つまり、ここに居るのはげんスーパールーキーと、もとスーパールーキーのふたりだけだ。

にゃ? ……腰の剣にみゃん手をかけるほどにゃんみゃみゃ行きたくないのにゃぁぁんにゃ?」
 きゅほん♪
『>【腰の剣に手をかけるほど、央都に行きたくないの?】』
 文字板いたに、日本語にほんごで書いてあげる。
 食堂しょくどう見慣みなれたお品書きメニュー以外いがいは、それほど読めないみたいだからな。

「あぁごめん! ちょっとわけがあってさ、央都おうとにはあんまり良いおもい出がなくて……つい」
 まあ、人畜無害じんちくむがいなニゲルだってひとの子だしな。いろいろあるんだろう。
 ガムラン最強さいきょううたがいはあるし、日本ひのもとまれじゃ――なんかみょうなスキルを持ってそうだし……あんまり人畜無害じんちくむがいでもないな。

いじょうぶよ。いまから行くのは本邦初公開ほんぽうはつこうかいの〝神域惑星しんいきわくせい〟つまり――あたくしさまのほしですからぁ――きゃっきゃうぇっへぇぇぇっ
 五百乃大角いおのはらの素っ頓狂とんきょうこえが、転移陣てんいじん木魂こだまする。

「ええっ――あのギルドのうえに浮かんでる、地球ちきゅうみたいなヤツに――っていうか、さっきからだれはなしてるんだい?」
 勇者ゆうしゃニゲルが、あたりを見渡みわたす。

あ、それはね。コレよコレ
 ヴォヴォン――――ヴォヴォヴォッ!
 浮かんでるときの、迅雷ジンライみたいなうなりをあげて――――まるたま颯爽さっそうとあらわれた。

 ちょうど御神体本体ごしんたいほんたいの、あたまみたいなおおきさとかたち
 その表面ひょうめんに――『(Θ_Θ)』
 かおが張りついてる。

 カシャ――『(迅)』
 かおじん文字もじにかわり――
「ニゲル青年せいねんが来るマで、ひまだったノで作製さくせいしマし
 迅雷ジンライの落ち着いた、ビリビリするこえが聞こえた。

「へー、なんだかスマートスピーカーとかIPアイピーフォンみたいだね」
 わからん。
「(ょっと迅雷ジンライ、聞いたいま)」
「(はい、イオノファラー。やはりニゲル青年せいねん相当未来そうとうみらい日本にほんから来たとおもわれます)」
 わからん。

 きゅふぉん♪
『>【とにかく、おれたちはニゲルの
  恋愛相談に乗ることに決めたよ。
  くわしい話は、向こうへ行ってからだ】』

 カシャ――『(Θ_Θ)』
ゃあ、いきましょぉう

 ヴォン――――おれたちのまえ
 空中ちゅうにあらわれる画像がぞう

『現在、白線の内側にいます
 しばらくお待ちください。』
 書いてある意味いみは分かるが、わからん。

「これ知ってる! ぼくわぁ、にげるよ! また・・へん世界せかいに飛ばされたりしたら、かなわないからね!」
 逃げ出そうときびすをかえす、勇者ゆうしゃニゲル。

ってる? この神域惑星しんいきわくせいがらみの表示ひょうじはあたくしさまだって、はじめて見たのに……ぶつぶつ……ぱらぱらり……どこに載ってんのかしら
 攻略本とらのまきをめくってやがる。
 そうなると、本当ほんとうにニゲルは……おれよか、五百乃大角いおのはらに……神々かみがみ近いところ・・・・・から来たのかも知れない。

「ニゲル、心配有しんぱいアりマせん。神域惑星しんいキわくせいにハ、リカルル・リ・コントゥルも一度いちドおトずれていますノで」
「えっ、そーなのかい?」
 あしを止める勇者ニゲル

ーねー♪ 向こうに行ったのわぁ、まだシガミーとおひめちゃんだぁけぇだぁくわぁるぁー、かえってきてぇそのはなしをしたるぁーとぉーってぇもぉー、もりあがるんじゃないくわぁとぉー、お・も・う・のぉー
 カシャ――『(Θ_<ばちーん♪)』
 また片目かためを閉じやがる、だからむしが目にはいったんならはらって……むしじゃねーのか?
 生きたもの収納魔法そのなかに、はいれないからな。

「よし、ボクもおとこだ。スグ行こう!」
 勇者ニゲルの手にひぎられたのは――たぶん、くだんの〝一日いちにちなんたらけん〟。

『リカルル・リ・コントゥル様との一日デート券
 有効期限/カブキーフェスタ開催中のみ有効
 【※恋の相談も下記の場所にて、別途受け付けます(但しニゲルに限る)
 恋愛受付相談所:お気軽に超女神像転移陣の間まで、お越しください】』

「ポポポォオーーーーン♪ 乙種セカンドクラス物理検索フィジカルサーチ終了しゅうりょう異常値いじょうち検出けんしゅつされませんでした。論理封鎖態勢ロジカルブロッケード解除かいじょ。繰りかえします、乙種セカンドクラス物理検索フィジカルサーチ終了しゅうりょう異常値いじょうちけん――ブツッ」
 うるせえ!
 封僧ほうそうとかいうわからんのが、またがなり立てやがった。
 ほんと、うるせえ。

 ふぉん♪
『FATS>女神像端末#778から女神像案末#3313への、
 ファストトラベルを開始します  実行しますか? Y/N』
 ひかった牡丹ボタンがかってに押され――『Y』てのがえらばれた。

 プププポプポォォーーン♪
『名称未設定ワールド改め神域惑星(女神像端末#3313)への
 ファストトラベル開始まで――――00:00:59』

 したうえ魔方陣まほうじんがやっとひかりはじめた。
 仕来しきたりがおおくて、かなわねえけど――やっと神域むこうに行けるみたいだ。
 ひとまず向こうへ行っちまえば、ニゲルとの内緒話ないしょばなしくちはさむやつがいなくなる。

 ヴォン♪
『白線からお出にならないよう、ご注意ねがいます。
 ファストトラベル開始まで――――00:00:24』
 大女神像だいめがみぞうのときとちがって、へんなふしがついたこえは聞こえない。
 あれ、イラッとするから、無くてたすかった。

 キラキラキラキラキラキラ――――ひかり奔流ほんりゅう
「うわぉわひゃ――また、このひかりっ!?」
 ニゲルがおどろく。転移陣ファストトラベルはじめてじゃないんだろうに。
 魔法まほう神髄しんずいが、カラダを幾重いくえにも縁取ふちどっていく。

 ピロロロロロロロロ――――▼▼♪
 けたたましい。今度こんどはなんだぁ!?
 全員ぜんいんが、画面がめんしめしたさんかくの方を見る。
 とおくの階段口かいだんぐちから、何か・・物凄ものすごいきおいではしってくる。

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅきゅきゅむん――――♪
 ぽきゅぽきゅうるさいヤツは、見なくてもなんだか分かる。
 おおかた、終わった仕事しごとめてもらいたくて、来たんだろう。

「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――♪」
 けど、もうひとりうるさいヤツがいて――「リオレイニアにゃにゃーご――!?」
 一号いちごうくび簡単かんたんには開かないように、応急処置やっつけで巻いてやった青色あおいろぬの
 その止め金具かなぐに引っかかった給仕服きゅうじふくそでを、引っ張られているのは――
「――じゃねぇにゃゆっ?」

「シ、シガミィーちゃぁぁぁぁん! 止まってぇぇぇぇぇっ――!!!」
 まだ名前なまえも聞いていない、姫さんリカルル付きの魔術まじゅつ得意とくい侍女じじょだった。

 白線はくせん外周がいしゅうからあらわれ、一号いちごうたちを追いかけるようにせまってくる。
 ヴォン♪
『ファストトラベル開始します』
 超女神像ちょうめがみぞうが――――消えた。
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