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2:カブキーフェスタへの道

195:龍脈の棟梁(シガミー)、ここ掘れニャニャァーン♪

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 がごん♪
 一号いちごうの手が、なん変哲へんてつもない壁石かべいしさぐり当てた。
 それを押し込むと――ずごごごぉぉん。

 木陰こかげうら一人分ひとりぶんくらいのおおきさの隙間すきまがあらわれる。
「にゃにゃがみゃ?」
 なにかを言って、あたまから飛びこむ一号いちごう
 あたまがつっかえて、じたばたじたばた、ぽきゅぽきゅむむん♪

 あーもー、ぽきゅぽきゅうるさい。
 ひとあつまってきたら、ぼくとレイダの狩り場が見つかっちゃうだろ。
 ここは、ちかくにまばらに生えてる木のうえ

 むっぎゅぎゅーーーーっぐぽんみゅむん♪
 へんおと
 むぎゅぎゅぎゅぅぅぅっ――――すぽぉん♪
 あたまはいったシシガニャン一号いちごうが、いつくばり――おくすすんでいった。

「(好きにさせてみたけど……なにがしたいんだろ?」
「(わかりませんが、明確めいかく一点いってん目指めざしているようです)」
なか通路つうろで、詰まらないかアイツ?)」
「(ギリギリですが大丈夫だいじょうぶです。あたまのサイズには、多少たしょう融通ゆうづうもきくので)」
 ふうん。レイダのご立派りっぱさま……豪華ごうかしりにあわせて、通路つうろを広げておいて良かった。

 ごそごそ、ぐみゅみゅみゅ――――ぽきゅすぽん♪
 あとを付いていく。
 なかには、格子こうしがはめられて、そとには出られない縦穴たてあながあるだけだけど。

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
 縦穴たてあなに出ると――――真剣しんけんかお(?)の一号いちごうが、地面じめんあなゆびさしてた。

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
なんだみゃぁ? 貝釣りでもしてみゃみゃぎにゃ食材にしろっみゃぁあぁやーにゃて言うのかみゃうにゃみゃ?」

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
 迅雷ジンライやくして?

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
「(ココを、ひたすら真下ましたに掘りつづけて欲しいニャ? ――だそうです)」
 そうすると、どうなる?
 すくなくとも、ぼくたちの大事だいじな狩り場がなくなるけど?

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
「その代わりに、あたしいメニューと、ルコラコルのおみせと、筋肉痛きんにくつうのなやみ――そのすべてが解決かいけつするそうです」

   §

「(そういや、たしかに――〝全部ぜんぶをどうにか出来でき図面ずめんを引いてくれ〟って冗談じょうだんで言ったら、一号アイツは飛び出して行ったんだった)」
 ぎゅぽぽん♪
 城壁じょうへきなかまるく空いた縦穴たてあな
 その天辺てっぺんに付けられた十字じゅうじ格子こうし
 ソコに二号にごうあしを引っかけて、ぶら下がる。
 まるで蝙蝠こうもりだ。

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
 やっぱり、貝釣かいつあなゆびさす一号いちごう
 「危ねえからみゃみやーう退いてろにゃごみゃ」っていくら言っても聞きゃぁしねぇから、もうっとく。

「(確認かくにんしますがゆかが抜けるので、地下ちか水路すいろに彫り込まれた魔方陣まほうじん機能停止きのうていしします)」
 かまわない。うでの良い大工だいくが〝掘れ〟って言うんだから――こわれたところは、あとでなおさせる。

「――二の構えみゃにゃぅ。」
 錫杖しゃくじょうあたまについた輪を持ち、かるくぶらさげて垂直すいちょくを取る。
 二のかた三割増さんわりましではなつ。

 引っかけてた、つまさきを伸ばし――――ひゅるるるりゅっ♪
 一号いちごうが立つ地面じめんせまる。
 手のひらでつかんだ錫杖しゃくじょうあたまを、おもいきり突き出した!

 二の型こいつは〝なんにでもあな穿うがつ〟わざだ。
 ズゴッ――――貝釣かいつあなに突き刺さる錫杖しゃくじょう

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご?」
 あなに消えた錫杖ぼうながさは、せいぜい1シガミーだ。
 ゴゴッ――――とどかねぇか。
 なら二号にごううでも、あなに突き込む――
 出っ張りにでも当たりゃ、衝撃いきおい伝播するつたわる

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご――――?」
 ゴズむンッ――――ぽっきゅきゅきゅきゅきゅムムんっ!!!
 よし、手応てごたえが――――ゴズズムゥゥゥン!

 ながさで言うなら、二の型以上かたいじょうわざはない。
 しちかたはあるにはあるが――街一個分まちいっこぶん大穴おおあなここに開けるつもりはないからだ。

「にゃみゃにゃ、にゃあやーご――――?」
 そういわれても、これ以上奥いじょうおくに突き込むわざがないぞ。
 地面じめんいつくばる二号ぼくと、かたわらにたたずみゆびを差す一号SDK
 その視線しせん交差こうさして――――一分いっぷんくらい過ぎた。
不発かにゃみゃご?」

 ふぉん♪
 『▲――ピピピッ♪』 
「(いいえ、直下ちょっかより熱源来ねつげんきます。退避たいひしてください!)」

 ビキバキゴバドゴヴァァァァァァァァァァァッ――――――

 狩り場をこわしたって言ったら、間違まちがいなくレイダになぐられるな、ひょろながいあの魔法杖つえで。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴオゴゴゴゴゴゴゴごっごどっぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ――――――――――――――――!!!
 うわっちゃちゃちゃちゃちゃ――――っつ!
 右手みぎて右足みぎあしから、あつさをかんじる。

「(一体成形いったいせいけいしなおさないと、強化服きょうかふくとしての性能せいのうを100パーセント発揮はっきすることは出来できないようですね)」
 あわてて、通路つうろに引っ込む二号ぼく

 しかしこりゃぁ…………でたぞ。
「――温泉おんせんだ」

「はイ。水温すいおんハ98℃。泉質せんしつ炭酸水素たんさンすいそ塩泉えんせんでス」
「みゃにゃゆーにゃ、みゃご――――♪」

「おい一号いちごう火傷やけどするぞ!? おまえもコッチに避難ひなんしろ」
 通路つうろをさがって、隙間すきまを空けてやる。

「そレは大丈夫だいジょうぶでス。一号いチごうはイオノファラーにヨる設計せっケいそのままですノで、本式ほンしきにハイエンドスペックを維持いジしていマす」
「わからん」
二号にごうはローエンドスペック……廉価版れんかばんですし、つぎはぎした部分・・・・・・・・構造上こうぞうじょう脆弱性ぜいじゃくせいが――」
 わからんが、ニゲルのせいなのはわかった。

「みゃにゃゆーにゃ、みゃご――――♪」
 だからおまえ火傷やけど……はしないのか。
「はい、一号かれ中身はありません・・・・・・・・
 そーだった。

「みゃにゃ、ゆーにゃ、みゃご――――♪」
 吹きあがる熱湯ねっとうが降りそそなかを――小躍こおどりしつづけるシシガニャン一号いちごう
 あいかわらず、なんか言ってる。

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