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2:カブキーフェスタへの道

186:龍脈の棟梁(シガミー)、アンチチート対策たいさく

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「ココォォン――――?」
 周囲しゅうい警戒けいかいする、狐耳少年ルコラコル

「どーしたミャッ?」
 おなじく周囲しゅういを(以下略いかりゃく)。

「――わるいことしたわねぇ……ひそひそ……ごめんごっめぇん――」
 耳栓越みみせんごしに〝こえ〟をひそめても、意味いみはない。
 ルコルがかんじ取ってるのは〝アーティファクト迅雷ジンライ〟と、〝アーティファクトもどき五百乃大角いおのはら〟がはっする――〝念話ねんわ〟だ。

 このコントゥル家への対策たいさくも、そのうちやっときたい。
 念話ねんわ使つかったときの……とくに〝周囲しゅういおそくなる効果こうか〟は、制限せいげんなしに使つかいたいのだ。
 この世で一番強いちばんつよいとされていた〝魔王まおうという生きもの〟は、すでに死んでいる。
 けど、また第二第三だいにだいさん魔王まおうが出てこない保証ほしょうもないらしくて。

 そういうわけで、刹那せつなの斬り合いの最中さなか迅雷ジンライ相談そうだんできるってのは……まさに生死せいしを分ける――如何様イカサマだけど、使つかえるようにしときたい。

「――そレで、イオノファラー。女神像めがみゾうアクセスポイントノ拡充かくジゅうけンでスが、なニ問題もんダいデも――」

「――結論けつろんから言うとぉー、央都おうとのぉー大女神像だいめがみぞう経由けいゆした場合ばあいぃー、女神像めがみぞうへのアクセス解除かいじょ出来できませぇんかっこキッパかっことじ――」
 どーいう?
「――FATSファッツ……神々かみがみふねのぉー仕様しようでぇーす――」
 どーいう?

「――ガムランちょウかラ徒歩とホで、女神像めがミぞう到達とウたつしナいと――版図はンとひロげられナいと言うことでスか――」
「――そーうーなーるーわーねー♪ 参拝アクセスしてぇー同期どうきすることわぁー可能かのうだけどもぉー、転移陣てんいじんのロック解除かいじょ出来できないって言う謎仕様なぞしようわぁー、誰得だれとくぅなぁのぉー――」
 どーなの?

「(あるきでってのは、二号シシガニャン使つかったらダメなのか?)」
「――それなら問題もんだいないわよー。けど、あたくしさま謹製きんせい卵酒たまござけは、もう在庫ざいこないからぁ注意ちゅういしてねぇーん――」
 は? そりゃこまる。金剛力こんごうりき女神像まちあいだをカッ飛んだら、かならず筋肉痛きんにくつうで死ぬ。
「(卵酒たまござけつくりゃ良いんじゃ?)」

「――透明とうめいなおさけわぁ、シガミーのぉー管轄かんかつでしょぉぉう? あたくしさまに聞かれましてもぉー、おこたえできかねまぁーすぅ♪ じゃあ、おいしいオヤツ期待きたいしてるからねj☆fj∮んkぇb、ッブッツン――」
 いって、うるせえな!
 こえをいきなり、切りやがった・・・・・・

 みみいてぇ――ぽっきゅ♪
 へっど邪魔じゃまで、みみを押さえられない。

「どうしたコ――ォン?」
 遊び・・かとおもったのか、自分じぶんのこめかみに手のひらを押し当ててる。
元気げんきだすミ――ャッ?」
 おなじく遊び・・かと(以下略いかりゃく)。
 きみらのみみは、横に付いてない・・・・・・・だろ。

「ココ――ォォン?」
「ミャ――ァァッ?」
 途方とほうに暮れるぼくを、二人ひたり心配しんぱいしてくれる……のか?
 ふざけてるだけな、気もするけど。

 ぽきゅ♪
 再びテーブルに、あごを乗せた。
 そういや、このところ立て込んでて、酒瓶さかびんから中身を回収・・・・・してなかったな。

 おれと一緒いっしょに〝前世ひのもとから来た酒瓶さかびん〟は、割る・・つぎの日に満杯・・になって元どおりになる。
 ただし、中身なかみ醤油しょうゆやらゴマやらが出ることもおおい。
 出るものすべてがめずらしいから、シガミーてい台所だいどころや、迅雷ジンライ収納魔法しゅうのうまほうに溜めてあるけど――
 澄んださけにごりのない〝澄みざけ〟は出づらい。
 そして五百乃大角いおのはら卵酒たまござけは、ほんとうに五百乃大角いおのはらつくってたらしくて、澄んださけがないと――

「――連日夜通れんジつよどおはシりつヅけ、女神像めがミぞう参拝アくセスするこトが、不可能ふかノうになりマす――」
 だよな。あの筋肉痛きんにくつうひどくて、僧兵そうへいのおれ……ぼくですらをあげる。

 ガムランちょうで、透明とうめいなさけつくれりゃ良いんだが。
「――央都おウとデも果実酒かジつしゅと、麦芽酒《エール》シか見かけませんでシた――」

 なんか、うまいやりかたはないのか?
 澄んだとうめいなさけつくかたを、攻略本とらのまき調しらべてもらうべきだったか?
 けどいま、オヤツ一個いっこと……まえのツケ――『ムシュルがいのドラゴ-ラ焼き(うり切れ)』が二個にこも溜まってるからなー。

ふぅぅぃふにゃー……」
 やることと、かんがえなきゃいけないことが、どんどん積みかさなっていく。

 ごろんごろろん♪
 へっど左右さゆうに、なんとなくころがした。
 そういや、シシガニャン一号いちごyかんがえごとをするときに、へっどを振ってたっけなぁ~。

 いっそのこと――――一号いちごう丸投まるなげしてやろうか。
 ふとあのSDK(おにぎり)が、脳裏のうりにうかんだ。

「――ソレは、妙案みょうアんかもしれませン――」
 は?

 ふぉふぉぉん♪
『1)オルコトリアVS一号
  >負けた場合の、天狗VSオルコトリア
 2)新メニュー
  >甘くてかわいくて、栄養の有る物
 3)ルコラコル新店舗賃貸契約
  >女神像転移網拡充
   >卵酒増産
 4)コントゥル家対策』
 画面めのまえ――へっど裏側うらがわに、いまあたまなやませている一覧いちらんが出た。

 1)は一号おにぎり天狗わしが、たたかってやれば済むことだ。
 一号いちごうは、ひょっとしたら、こじ開けられて折角せっかくおぼえたことが、お釈迦しゃかになるかもしれないけど――またぞだてりゃすむ。

 そして、一号いちごうたおすほどに本気ほんき鬼娘オルコ相手あいてだと、天狗てんぐのわしでも相手オルコころさないのはほねが折れる。
 けど、蘇生薬エリクサー在庫ざいこ満杯まんぱいで――ひと呼吸いきできりゃ、死なせずに済む。
 不測くそく事態じたいおちいったとしても、ひめさんにもらったひもが、まだ切れてない・・・・・・・から、天狗コッチが死ぬことはないとおもう。

 のこる問題もんだいは、2と3と4。

「(……大工仕事だいくしごと図面ずめんを引くような、キッチリした正解こたえのない、ややこしいことばかりだぞ?)」
 生まれてから日があさい、黄緑色いちごうにそれが出来できるわけが――

「――でスが、たとえバ甲乙こうおつつけがたい、ふたツのしンメニューがあルとして――そレを一号いちごうに、選ばせること・・・・・・なら可能かのウでハ?――」
 ぬ?
 それは……「どっちがたくさん売れる?」って聞いたら……こともなげに片方かたほうゆびさしそうだ。

 ごろろんごろろろぉん♪
 へっど左右さゆうに、おおきくころがした。

 じゃあ、女神像参拝めがみぞうさんぱいはどーするんだ?
 ここにない女神像めがみぞうは――ならべるわけにはいかないだろ。

「――なラべれバ良いのでス――」
 は?
 どーやって?

「――モニタ画面がめン経由けいユすルと結果けっカが、画一的かくいつテきになるおそれがあるので……部屋一面へやいちめんおおきな地図チず用意ようイしテ、女神像めがみゾう模型もけイなラべまス――」
 そーれで?

 ごろんごろごろごろろろん♪
 へっど左右さゆうに、小刻こきざみにころがした。
 ごろんごろろん♪
 ごろんごろろん♪
 なんか、ほかのあたま真似まねしてころがり出した。
 おれ……ぼくがあそんでるとおもったらしい。

「――一号いチごうフでを持タせ順路問題じゅんろモんだい……一筆書ひトふでがキで女神像めがミぞうをツなぐ順番じゅンばんヲ、描かせルことが出来でキまス――」
 ふぅん? けど本当ほんとうに行き来するのには、結局時間けっきょくじかんが掛かるだろう?

 ごごろんごろごごん♪
 へっど左右さゆうに、乱雑らんざつころがした。
「――コォン♪」
 ごごろんごろごごん♪
「――ミャァー♪」
 ごごろんごろごごん♪
 合いの手が加わった。

「――ソの解法かイほうにハ、問題もンだい一度いチど、切りわけます――」
 きりわける?

 ごろんごろろん♪
「――コォン♪」
 ごろんごろごろごろろろん♪
「――ミャァー♪」
 ごごろんごろごごん♪

 テーブルのうえみっつのあたまがゴロゴロと行き来して、うるさくなった。
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