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2:カブキーフェスタへの道

175:龍脈の棟梁(シガミー)、シシガニャンがんばる

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 ヴォヴォォォォォォンッ!
 うなる巨大杖きょだいつえ
「はぁはぁはぁはぁ――――あら燃えない?」
 いきを切らせ、一瞬いっしゅんもどってきたルリーロ。

式神しきかとおもったらぁ、ちがぁいまぁすぅのぉねぇぇぇぇぇ! なまぃーーーーーーーーっ!!!」
 つえの先端《さき》が、また山菜さんさいみたいに巻戻まきもどってる。

 画面がめんあかいのも、もともどった。
「またれよっ! たばかった、わしがわるかった!(わしゃぁ、修験しゅげんなかばでいのちを落とした、ただの老人ろうじんじゃわい!)」
 天狗わし正体しょうたいがシガミーと言うことは、ややこしくなるから伏せておくとしても。
 これ以上いじょうは、いけねぇ。シガミーわしもオルコトリアも、前途ぜんとある若者わかものだ。

 なにがどうでも、もう降参こうさん
 いのちを懸けるにあたいすることなんざ、ひとの世にはひとつもねぇ!
 おれ猪蟹ししがには、ソレを前世ひのもとまなんだ。
 そのスグあとに、酔ってころんで、おっんじまったが。

「なにをおっしゃってますのぉー? 人の身ただのご老人ろうじんにぃー、〝護り鬼まもりがみ〟がしたがうはずがぁーないでしょぉぉうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 ぼっごぉぉぉぉぉ――――!

「(やい、五百乃大角いおのはら! おまえら仲良なかいいんだろっ、取りなしてくれっ!)」
 ふぉん♪
『イオノ>えーやだ、怖い。それにシガミーは現・美の女神であらせられる、このあたくしさまの眷属と言うことを、お忘れかしら?』
 あーぁ? 五百乃大角おまえさまが〝うまいめしを食うためなら、神様かみさまだってころせる〟ってヤツかぁ!?
 よせやい狐鍋・・なんぞ、食えたもんじゃねぇやぁ!

「そぉしぃてぇ~、天狗てんぐわぁ、ひとで有りながらぁ不老ふろうへといたったぁ、修験者のなれの果て・・・・・・・・・――――そんなアナタがぁ、〝老体ろうたい〟などとくちにするはずがぁ、ありぃまぁせぇんーでぇしぃーてぇよぉぉぉぉぉぉうっ!!!???」
 ガガンッ――――巨大杖きょだいつえに立つ小柄こがら体躯たいく、その眼光がんこう

 おかしい。
 おれの真言しんごんおなじく、自前てめえ活力いのち使つかうはずの、妖狐ようこルリーロのほとばしり。
 双眸りょうめからはなたれる月光つきかげが、なにも無いあたりの〝空気くうき〟を染めていく。
 それは、止めどなくながれ出る、血のようで――

 な――ん――だ――?
 五百乃大角いおのはらの〝ありがたい言葉ことば〟をみてから――なんか。
 ヴッ――――じゃりぃぃっぃん♪
 直刀しこみあり・・の、錫杖しゃくじょうを取り出す。
 なんでか――勝てねぇにしても、負けねぇ気がしてきた。

「(迅雷ジンライ。ひとまず、オルコトリアが割った、この草原そうげんなおせるか?)」
 直径ながさは、100メートルいかないくらいか。
 収納魔法箱しゅうのうまほうばこは、シシガニャンに使つかっちまったから、一度いちど全部ぜんぶ無理むりかもしれんが。

「――シガみー。シガミーのバイタルさインに、ギルド倒壊時とうかいジとオなじ波形はけイガ、微弱びじゃクながらあらわれていま――」 
 んーぅん?
「(どーいうこった?)」
「――加減かゲんしてくダさい。ガムランちょウ壊滅かいめツしないトもカギらなイ、と言うことデ――」

 ん?
 仕込しこ錫杖しゃくじょうを?
 それとも、草原そうげんを?
「――どちラもで――」

「あれぇ、でぇもぉー? ご自身じしんの、お名前なまえおぉーおぼえていらっしゃいましたしぃ――やっぱりぃー天狗てんぐぅなのぉー?」
 ごきり――――つえうえ
 曲がるくび。こええな。
 よく見れば、今日きょう巫女装束みこしょうぞくに身をつつんでいる。
 魔法まほうの掛かった甲冑かっちゅうや、アーティファクトじゃないなら――――勝てるかもしれねぇ。

 ヴヴヴヴヴヴヴヴッ――――――ズズズムンッ!
 地面じめんをあらかた、たいらにもどした。
 下草したくさしか生えてない地面じめんには、鬼娘オルコトリア天狗審議中)と猫耳頭シシガニャン

「いやそれはぁ、五百乃いおの……イオノファラーさまのぉ、お告げでじゃなぁ――――!」
「――――そうよぉーねぇぇ、やっぱりあなたわぁー天狗てんぐぅー♪」
 くそう、聞く狐耳みみはねぇっぽい。

「――――なーにーよーりーぃもぉぉー、その若草色わかくさいろのが動かぬ・・・証拠しょうこですわぁぁぁぁぁぁっ!」
 そうだ、あの猫耳頭おにぎり――――ケンカの仕方しかたは、まだおしえてねぇのに、あの妖狐ルリーロ一発入いっぱついれやがった。

 ぽきゅぽきゅ♪ と歩いていた猫耳頭わかくさいろ
 はなたれる狐火きつね――――ごぉわぁ!

 若草色の魔物シシガニャンが、ポッキュムン♪ と構えへんじをする。
 狐火きつねびれいの〝構えひとつ〟で、かき消す。

「よぉーく見んかぁー! ちゃんと、動いとる・・・・ぞぉー?」
 おれわしのこの減らず口ひとことが、決め手になった。

「うふふふっ、くすくすくす、クツクツクツクツ、往生おうじょうぉ~しぃまぁしょおぉおぉ――――コォONおぉん!」
 ぎちり――――――――シュッボゥ!
 ごぉぉぉぉぉぉぉっぉぉわわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――!!!

 燃えあがる、いのちほのお
 その青白あおじろ濁流だくりゅうてんを焦がし――天狗おれを飲みこむほどにふくれあがる!
 っちぃっ――――今度こんどまやかし・・・・じゃねぇ、本当ほんとう真言マントラとなえやがった!

おにむすめよー! わしは平気へいきじゃから、この場は逃げろー、まもり切れぬっ!」
 一瞬いっしゅん逡巡しゅんじゅん
 援護たすけのつもりか、長剣以外ちょうけんいがいけんをぜんぶ置いて、ガムランちょうへ逃げていった。

 ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ。ぼごぅわ――――神域しんいきひらいたときの数倍すうばい

 負けない気持きもちが、きゅうにしぼんで――――からだしんが冷えていく。

「(じゃから、白状はくじょうするというのじゃ! わしゃぁ天狗てんぐじゃぁ無い!)」
 何本なんぼんものほのおが立ち昇り――――!?

姿形かたちがぁ、変わっちゃったとぉしてもぉー……ご自分じぶん屠った相手の・・・・・・、おかおくらいわぁぁ――――おぼえていてもぉ、よろしいのでぇわぁなくってぇぇぇぇぇっ――!」
 狐火きつねびが、草原そうげんすべてをおおいつくし――――

 ぽこきゃっ♪
 黄緑色シシガニャンこぶしを突きあげ、巨大杖ルリーロたたいた。
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