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2:カブキーフェスタへの道

166:龍脈の棟梁(シガミー)、オルコトリアと逆立ち

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鬼娘オルコトリア魔法まほうは、かなり強力きょうりょくだけど……大丈夫だいじょうぶか?」
 オルコトリアのつのからほとばしる青白あおじろ稲光らいこうが、つよくなってる。

「――だから〝全能ぜんのうバリア〟の〝全能ぜんのう〟わぁ、ダテじゃのわぁいのよ――ん? ひょっとして、まちへの被害ひがい心配しんぱいしてんの――」

「――バリアーに接触せっしょくした魔法まほう効果こうかが、キャンセルされています。その減衰率げんすいりつは89パーセン――」
 ふぉふぉん♪
『ヒント>キャンセル/解除、取り消し
 ヒント>減衰率/目減り、そぎ落とされる割合』

「そっか。ならオルコトリアが魔法まほう外さなけりゃ・・・・・・あぶなくねえわけだな……ならすこしは放っとくか。へたに近寄ちかよって魔法まほうをあさっての方向ほうこうに飛ばされたら、まち壊滅かいめつしかねん」

 それで、あの雨樋あまどいはどのくらいの高さまで、とどいてんだ?
 いまだって、相当そうとうなたかさで……もうくびいてぇ。

 ふぉん♪
『イオノ>ギルドの建物と、その先端に取り付ける〝変異種角ウサギの角〟の長さまでよ』
 じゃあ、とんでもねぇたかさの建物たてものになるぞ?
 そのほとんどを、シガミーと天狗一門てんぐいちもん……つまりおれひとりで・・・・・・、建てることになる。

「よいせっ♪」
 ごろりん――ゆかに寝っころがった。
 すっかりひとが居なくなったから、踏まれることもないだろ。
 五百乃大角いおのはらが敷いた、なんとか言うゆかかたわり寝心地ねごこちわるくないし――――むぎゅりっ♪

いてぇよ、ひめさん」
 かるくあしを踏まれた。
「あら、ごめんなさい。そんな地面じめんとおなじいろ外套がいとうまとっているから、わるいのですわぁ♪」
 ごろりん――高貴こうきなご令嬢れいじょうゆかに寝そべるなんて、いつものことだ。

「アレ、どうにかしてくれ」
 魔法まほう出所でどころを、アゴで指ししめす。
「アレは完全かんぜんにキレてますので、近寄ちかよりりたくないですわ♪」

「おまえら、同僚どうりょう友達ともだち冒険者ぼうけんしゃパーティーの仲間なかまじゃねーのか?」
「だからですわ。もうそろそろ打ち止めになるのでそうしたら、わたくし回収かいしゅうしてあげないとね♪」
 ばちーん♪

 おうどうした、きゅう片目かためを閉じたりして?
 いつだかの五百乃大角いおのはらみてぇに、目にむしでもはいったか?
 おれが、はらってやろうか?
 かおに手を伸ばしかけると――はずみをつけてあしを振り上げた。

「――ふんっ♪」
 そのまま、からだをうしろに持ち上げて逆立さかだち。
「なんだそれ、おもしれぇな」
 色々いろいろめくれて、ほそいフンドシが見えてるけど。

「――ぬぉりゃ♪」
 見よう見まねで真似まねしたら、出来できた。このシガミーのカラダに出来できないうごきはない。
 しゃらあしゃらしたのは、まだまだだけどまるで出来できないわけじゃねぇしな。

「あ、アレ、オルコトリアが攻撃こうげきしてるまるいわは、お、落ちてきたりはしないんですわよね?」
「それは、だ、大丈夫だいじょうぶだ。おれたちが飛ばされた〝神域しんいき〟の様子ようすをを見られるようにしたってだけの――え、絵だ」

「え、絵なんですのね。りょ、りょうかいですわぁ――ぐぬぬ!」
 え、まだつづけんの?
 おれも、しゃらあしゃらしたふくが落っこちて、ほそいフンドシが見えちまってる。

「い、イオノファラーさまは、さっきレーニアがかたに乗せてましたけど――コチラにも・・・・・い、いらっしゃる?」
「――はぁい、いますよぉー♪ おひめちゃぁん――」
 いま、耳栓渡みみせんわたしてねぇから、怒鳴どなっても聞こえんぞ?
「――い、いるぞ?」
 あたまに血がのぼってきた。

「じ、じゃあ、聞いてくださる? おかあさま……コントゥル家名代けみょうだいは、い、いまどこにいるのかっ」
 横目よこめで見たら、姫さんリカルルかおがまっかだ。

 ぽこん♪
『▼――――ルリーロ・イナリィ・コントゥル』
 ガムランちょう地図ちず中央ちゅうおうさんかくが出た。
『◆――――超女神像』
 女神像めがみぞうかさなってる。

「そ、それならわかるぞ。女神像めがみぞうの……真上まうえ真下ましたに、い、居るぞっ」
 うえ大爆発中だいばくはつちゅうだから、たぶんしたに居るんじゃねぇか?
 さっき跳んできた・・・・・広間ひろまに、したに降りる階段かいだんは無かった――おい、どこから降りるんだ?
 おれも、そろそろ仕事しごともどる――――んぎぎぎぎっ!!!

「――転移陣以外てんいじんいがいつかずだから、階段かいだんつくりながら降りてもらえる? いりぐちは、所々ところどころに空いたあなの、どれでもいいわよん――」
 建設予定地けんせつよていち大穴おおあなは、超女神像ちょうめがみぞう土台どだい綺麗きれいにふさがれてた。
 なんしょはいれないようにさくが置かれてたから、そこにしたに抜けられるあなが空いてるんだろう、たぶん――

「んぎぎぎぎっ――――シ、シガミーは、そ、そろそろ逆立さかだちが、お~つらくなってきたのではなくってえぇ!?」
 は?
 なんだ、なんか張り合われてる?

「な、なんでぇい。こんなのぁ、まだまだ~平気へいきだっぜぇっ!!」
 うでを曲げ、あたま地面じめんに付きそうなくらいにまで、下げて見せた。
「ふんふんっ、ふんふんっ――――ど、どうでぇい!」
 ソレを4かいやってみせた。

「な、なんてこしゃくな、お子さまなのかしらっ!?」
「お、おうよ。お子さまなめんなよ! そ、そっちこそ、丸見まるみえだけどかまわねぇのか!?」

「あ、あたりにひとは居ませんし、シ、シガミーだって、お、お可愛かわいいのが、ぜ、ぜんぶ見えてますわよ!?」
「だ、だから、お子さまなめんなよ! こ、こちとらひめさんの豪華絢爛ごうかけんらんちちしりとちがって、真ったいらだからなっ! い、いくら見られてもこまりようがねぇ――がははっ!」

 ひゅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――きゅうかぜが吹いてきた。
 な、なんか底冷そこびええが。
「な、な、なんだかさむくなってきましたわ――――ぐぐぬぬつ!」
「お、おい、迅雷ジンライ――どうなってる!?」

 ぽこん♪
『▼――――』
 ガムランちょう地図ちず猪蟹屋ししがにやがあるとおりからさんかくが近づいてきてる。
 よこに伸びた〝名前表示なまえひょうじ〟は見なくてもわかる。
 ピキパキピキパキョ――――ガキィィン♪
 この冷てぇ魔法まほうの、冴えわたり。

二人ふたりとも……わたくししつけでは、足りなかったようですわね? クスクスクスクスクスクスクスクス――――」

「シガミー、リカルルさまぁー逃げてぇー!」
 なんかこえが聞こえてきたけど分厚ぶあつ氷越しだから・・・・・・、よく聞き取れなかった。

 どごがぁぁん!
 ――――「オルコトリアの旦那だんながぁ、落ちたぁぞぉー!?」
 だから、聞き取れないんだってぇの。
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