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2:カブキーフェスタへの道

157:龍脈の棟梁(シガミー)、ギ術開発部へようこそ

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「ザザザザッ――――まぁさぁかぁー、あたしのぉー魔法杖つえなかがぁー、そぉんなぁー、きり世界せかいになってるだなぁんてぇー、しらなかったんだものぉー。ごぉめぇんーねぇー♪」
 相変あいかわらず要領ようりょうを得ないけど、ルリーロてきには〝強敵きょうてきシガミー〟を最大最強さいだいさいきょう封印魔術ふういんまじゅつ一時的いちじてき拘束こうそくしたつもりだったらしい。

 ふぉん♪
『>解析はすでに終了しています。術式としては基本的なものでした。
 >真言を唱え、標的の身体感覚をハックする、
 >リカルルを撃破した際の我々と、同様の手口を試みたと思われます』

 いのちけず狐火ほのお
 布陣ならびもとのソレだったのも、なにかに関係かんけいしてるんだろうが。
 よし――五百乃大角いおのはら、呼び出しとけ。

 ふぉんふぉふぉん♪
『>FATSシステム内線#10286を呼び出しています
 >呼び出しています』

たのしそうに言うな。あと、リカルルむすめにもちゃんとあやまったんだろーな?」
 たまたま、ウチの五百乃大角いおのはらに〝女神像めがみぞうの持ち合わせ〟がなかったら、まだもどって来られなかったはずだ。
「ザザザザッ――――あー、そぉうねぇー、ごっめーんねぇー,リカルルちゃぁぁぁぁん♪ クスクス、ケッタケタケタッ♪」

「ひぃぃっ、と、とんでもございませんわ。だ、大丈夫だいじょうぶですので、お気になっさらずっ!」
 必死ひっしけんに手をまわそうともがく、ご令嬢れいじょう
 戦闘狂けんかずきもほどほどにさせねえと、火の粉が毎回まいかいコッチに降りかかるし――
 領民りょうみんのおれ……ぼくが、コントゥル家のことに口をはさむわけにはいかないけど――あとで、リオにでもさぐりを入れてみてもいいかもな。

「じゃ、ひとまずコレで手打てうちってことでいいか?」
 どうなんだ迅雷ジンライ

 ふぉん♪
『>ルリーロの所持する杖が、イオノファラーの兄が作成した、未設定ワールドへと通じていたことへの説明が欲しいですね――イオノファラーから』 
 ふぉんふぉふぉん♪
『>呼び出しています
 >呼び出しています
 >通話が出来ませんでした』

「(ちっ、出やがらねぇ。兄神あにがみさんは……あにハラーだっけ?)」
 ふぉん♪
『>〝オノハラレン〟です」

「キツイにゃ。ま、まだまだ未解決みかいけつ未解消みかいしょう問題もんだい山積やまづみですにゃ……」
「そぉうでぇすわぁー。そろそろ、ほどいていただけませんこと? もうシガミーを見ても魔物まもの見間違みまちがえませんわよぉっ――」
 やかましいな。

 ヴッ――ぱしん♪
 シュカッン、シュッカァァン!

 ばらばらら、ガチャガキィィン!
「いけねっ、錫杖しゃくじょうまで切っちまった」
 この服シシガニャンは、使つかいどころをかんがえねぇと、まずい。

 ふぉん♪
『>そうですね。女神像へのアップデートが終了次第、収納してしまいましょう』

   §

「ほんとうに、このままで良いのか?」
 給仕服きゅうじふく革鎧かわよろい
 いつもの格好かっこうもどった。

「これでいいにゃ。だって――――」
 あしを伸ばした白馬椅子はくばいすで、大女神像だいめがみぞうひざのぼる――橙布だいだいぬのつきの猫頭ミャんとか
 いま、大女神像だいめがみぞう姿勢しせいは、五百乃大角いおのはらうごかしたかたちで止まってる。
 ひざかかえるその姿すがたは、思慮深しりょぶかいようにも――ひまを持てあましているようにも見えた。

「――すべって――ヒャフォーイ♪ あそべるにゃぁー♪」
 するするするるりぃ――――っ!
 子供こどもか。
 すっげー、たのしそうだなおい。
 レイダなら一日中いちにちじゅう、やってるぞこりゃ。

 大女神像だいめがみぞう床石ゆかいしのひび割れは、迅雷ジンライとおれがなおした。

 10かいくらいすべって、気が済んだのか、〝白椅子しろいす〟を目のまえに呼びよせる〝猫頭ミャんとか〟。
 なにかに似てるとおもってたけど、このしろはこけん馬椅子うまいすはルコルの魔法杖ギルドいすにソックリだった。

 空いた女神像めがみぞうひめさんが手を掛けたとき、しゃらあしゃらした連中れんちゅうがゾロゾロと、〝大女神像だいめがみぞう〟に入ってきた。

「じゃあ別室べっしつで、はなしのつづきをしようかにゃぁ?」
 残念ざんねんそうなご令嬢れいじょうをひっぺがし、大扉おおとびらじゃない――なにもないかべのまえに立つ。
 もう良いのか? 女神像あれ中身・・をあたらしくするのは、ちゃんと終わったんだな?

 ふぉふぉん♪
『>はい
 >女神像端末#1へのアップデートはありません
  適応済み 513438/513438』

 ヴォゥォワァン♪
 おも水音おとがして、かべあなが空いた。

「コッチにゃ♪」
 しろはこにもどった乗りものに、うながされるまま乗った。

「うぉわっ!? けっこうはえぇな♪」
 ひろくはない通路つうろを、おともなくすすむ。
 そしてリカルルは、おれのあたまをうしろから執拗しつようになでるな。

「――こノ数日すうじツデ、急速きゅうそクニ打ち解けましタね――」
 よせやい。
 さっき耳栓みみせんかえしてもらったから、この迅雷ジンライこえはおれ……ぼくにしか聞こえない。

   §

 ゴガッチャリン♪
 なんだこの、にぶおと
 そしてこの、おおきさ。

 それは革袋かわぶくろで。
 おれのカラダくらい、有るんじゃねーか?

 だいに乗せてソレを持ってきてくれたのは、全身ぜんしん橙色だいだい制服ふく
 これはあれだな。
 ひめさんところにも居た、〝宛鋳符悪党アーティファクト〟をよーく調しらべたりする連中れんちゅうの――スゴイ・・・やつだ。
 なんせうえからしたまで、橙色だいだいいろだからな。

「このたびの〝身代みがわりふだ耐久試験たいきゅうテストたいする、規定きてい報酬ほうしゅう全撃破ぜんげきはボーナスです。ご確認かくにんくださいませ」
 猫頭ねこあたまでも猫耳族ねこみみぞくでもない、〝ひと〟の女性じょせいがそんなことを言って、部屋へやから出ていった。

 そして立派りっぱ長机ながつくえのむこうには、白馬椅子のりものすわった……〝猫耳族の猫頭ミャんとか〟。
 ちいさな立てふだが、つくえうえに置いてあった。
『ギ術開発部顧問/Myanilsted Grigori.』
 書きかた混ざってる・・・・・と、まだ一息ひといきには読めん。

「えっと、ギ……ミャー……?」
「――ミャニラスてッド・グリごリーでス――」
 そうだ、ミャなんたら栗石伏魚ぐりごりだ。

「〝ミャッド〟と呼んでくれると、うれしいニャ」
 だいぶみじかくなった。
「じゃぁ、ミャッド。神官しんかんたおして、なんでかねがもらえるんだ?」

てきではにゃく、味方みかたやぶれるにゃら――いのちも取られず、有効ゆうこうな対策たいさくまで安全に練ることが出来るからだにゃーっ♪」
 それにしたって、こりゃ。
 猪蟹屋みせの売り上げの、何日分なんにちぶんだ?
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