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2:カブキーフェスタへの道
154:龍脈の棟梁(シガミー)、大女神像アップデート中
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「こ~ん~ど~わぁ~、ちゃ~んとぉ~大人し~く~し~て~ん~の~よぉ~?」
おれは腰を落として、尻尾を――がちりっ♪
大女神像の足下にある、小さな二ツ穴に尻尾の突起を刺した。
「へへぇーい」
モサモサが仕掛けてきたんだから、仕方がねぇんだけど――素直に返事をしとく。
ぽきゅ♪
ゴゴゴリ、バキバキ♪
膝をかかえる、おれたち。
ふぉん♪
『>女神像とのリンクが確立されました』
「(女神像と再接続しました。AOS累積アップデート、再開します)」
わからんが、しばらくジッとしてねぇとならねぇらしい。
ふぉん♪
『>女神像端末#1
アップデート中………………*
適応済み 654/513438』
左側の数字が、どんどん増えていく。
たぶん右側の数字と同じくなったら、女神像が元どおりになる。
開いた大扉の向こうで、モサモサしてない神官どもが右往左往してる。
「それで、けっきょく何だったんだ、あのモサモサの僧兵どもわぁ?」
〝モサモサ連中〟は〝大女神像さま〟に散々、ひれ伏したあと、どこかに連れて行かれた。
そのときに来た〝白い給仕服〟の、何人かがのこって――割れた床石とか、関節がバキバキにひび割れた大女神像なんかを――検分してる。
修理費用を請求されるまえに、迅雷に直させねぇと……やべぇかも。
「ちょ~っと~待~ってぇ~、い~ま~内線~にぃ~切~り~替ぁ~え~るぅ~かぁ~らぁ~――――」
おそくて太い声。〝大女神像〟が話すと、こんな感じになる。
「ぷるるるるっ――♪ ぷるるるるっ――♪」
なんだ? いままでに聞いたことのない、小鳥の鳴き声。
「はい、もしもし。迅雷です」
がちゃりっ――――プププピプッ、ブツゥン、ピーガーゴワリャギュリュリャルァ――――!
うるせぇっ!?
迅雷は時々こんな、大根みたいな騒音を出す。うるせえ。
――――ぽこん♪
ビードロ(大)の中。
収納魔法に収められてる、〝物の塊〟をあらわす、和菓子みたいな形。
その一番端に追加されたのは――五百乃大角の中身の、火鼠る……?
「(物理ファイリングシステムのフォルダアイコンと、マルチカーソルです)」
わからん。とにかく平たい和菓子は、分け身……分身のようなものだ。
〝ガムラン町〟と〝迅雷の収納魔法の中〟の二カ所に、同時に居るらしい。
五百乃大角は、腐っても神だからな。
そんなことも出来るし、そのおかげでこうして〝神域〟から脱出できた。
ガムラン町に戻れなかったのは面倒だけど、この際、ソレでもありがたい。
平たい五百乃大角が来なかったら、おれと姫さんはあのまま〝神域〟のなかに居るしか無かったからな。
「――ふぅ、もどりましぃたぁーよぉぉぅ♪――」
それにしても、自分の商売道具を、こんなボロボロにしやがって。
この大きな女神像はイオノファラー教やこの世界にとって、そうとう大事な物だろうに。
ソレを無理矢理うごかしてまで〝反撃〟したのには、正直おどろいた。
おれが殺られたと思って、怒ったってことは。
シガミーを〝大事に思ってる〟ってことだからだ。
たとえ、うまい飯を食べる都合だとしても――まえから見たら、すいぶん打ち解けたもんだ。
なんせ、うまい飯が出てこねぇなら、この世界を終わりにするって脅して来やがったからなぁ。
「ふぃー。それで、モサモサは何で仕掛けて来やがったんだ?」
伯爵夫人の差し金らしいけど。
そもそも、神域に吹っ飛ばされたのも、あの牝狐のせいだ。
その辺りのことに関して、五百乃大角は「ルリーロちゃんに聞いてぇー」の一点張りで、肝心なことを話さねえし――
張本人に、くわしい話を聞くしかねぇなら――とっととガムラン町に戻りてぇ。
「――ソレには、私たちがお答えいたしますわっ、シガミー!」
大扉の向こうから、凜とした声がとどろいた。
「姫さんか?」
白い給仕服に着替えた彼女の腰には、いつもの豪奢な剣。
給仕服姿でも、ひとりだけ勇ましい。
と思ったら、うしろからもう一人あらわれた。
給仕服の上に、橙色の布を巻いている。
腰には――鉄砲のような武器が二本さげられていて――
背中には、巨大な大筒が背負われている。
スルスルと、音もなく近づいてくる物騒な二人組。
姫さんと物騒なソイツは、平たい箱に乗っていた。
その箱には小さな車が付いていて――――「こりゃぁ、猫車か?」
「にゃにゃ、みゃみゃにゃぁみゃぁんにゃ。にゃにゃみゃみゃふにゃーにゃぁーごぉぅ♪」
ソイツは、猫頭をしていて――猪蟹屋の手伝いを、いつもかってでてくれる猫頭青年にソックリだった。
ーーー
鉄砲/初期の火器(火砲)。マッチロック(火縄)式の遠距離武器。種子島より伝播したため種子島とも呼ばれた。
大筒/大砲。城や船の構造を破壊するのに用いられた。
おれは腰を落として、尻尾を――がちりっ♪
大女神像の足下にある、小さな二ツ穴に尻尾の突起を刺した。
「へへぇーい」
モサモサが仕掛けてきたんだから、仕方がねぇんだけど――素直に返事をしとく。
ぽきゅ♪
ゴゴゴリ、バキバキ♪
膝をかかえる、おれたち。
ふぉん♪
『>女神像とのリンクが確立されました』
「(女神像と再接続しました。AOS累積アップデート、再開します)」
わからんが、しばらくジッとしてねぇとならねぇらしい。
ふぉん♪
『>女神像端末#1
アップデート中………………*
適応済み 654/513438』
左側の数字が、どんどん増えていく。
たぶん右側の数字と同じくなったら、女神像が元どおりになる。
開いた大扉の向こうで、モサモサしてない神官どもが右往左往してる。
「それで、けっきょく何だったんだ、あのモサモサの僧兵どもわぁ?」
〝モサモサ連中〟は〝大女神像さま〟に散々、ひれ伏したあと、どこかに連れて行かれた。
そのときに来た〝白い給仕服〟の、何人かがのこって――割れた床石とか、関節がバキバキにひび割れた大女神像なんかを――検分してる。
修理費用を請求されるまえに、迅雷に直させねぇと……やべぇかも。
「ちょ~っと~待~ってぇ~、い~ま~内線~にぃ~切~り~替ぁ~え~るぅ~かぁ~らぁ~――――」
おそくて太い声。〝大女神像〟が話すと、こんな感じになる。
「ぷるるるるっ――♪ ぷるるるるっ――♪」
なんだ? いままでに聞いたことのない、小鳥の鳴き声。
「はい、もしもし。迅雷です」
がちゃりっ――――プププピプッ、ブツゥン、ピーガーゴワリャギュリュリャルァ――――!
うるせぇっ!?
迅雷は時々こんな、大根みたいな騒音を出す。うるせえ。
――――ぽこん♪
ビードロ(大)の中。
収納魔法に収められてる、〝物の塊〟をあらわす、和菓子みたいな形。
その一番端に追加されたのは――五百乃大角の中身の、火鼠る……?
「(物理ファイリングシステムのフォルダアイコンと、マルチカーソルです)」
わからん。とにかく平たい和菓子は、分け身……分身のようなものだ。
〝ガムラン町〟と〝迅雷の収納魔法の中〟の二カ所に、同時に居るらしい。
五百乃大角は、腐っても神だからな。
そんなことも出来るし、そのおかげでこうして〝神域〟から脱出できた。
ガムラン町に戻れなかったのは面倒だけど、この際、ソレでもありがたい。
平たい五百乃大角が来なかったら、おれと姫さんはあのまま〝神域〟のなかに居るしか無かったからな。
「――ふぅ、もどりましぃたぁーよぉぉぅ♪――」
それにしても、自分の商売道具を、こんなボロボロにしやがって。
この大きな女神像はイオノファラー教やこの世界にとって、そうとう大事な物だろうに。
ソレを無理矢理うごかしてまで〝反撃〟したのには、正直おどろいた。
おれが殺られたと思って、怒ったってことは。
シガミーを〝大事に思ってる〟ってことだからだ。
たとえ、うまい飯を食べる都合だとしても――まえから見たら、すいぶん打ち解けたもんだ。
なんせ、うまい飯が出てこねぇなら、この世界を終わりにするって脅して来やがったからなぁ。
「ふぃー。それで、モサモサは何で仕掛けて来やがったんだ?」
伯爵夫人の差し金らしいけど。
そもそも、神域に吹っ飛ばされたのも、あの牝狐のせいだ。
その辺りのことに関して、五百乃大角は「ルリーロちゃんに聞いてぇー」の一点張りで、肝心なことを話さねえし――
張本人に、くわしい話を聞くしかねぇなら――とっととガムラン町に戻りてぇ。
「――ソレには、私たちがお答えいたしますわっ、シガミー!」
大扉の向こうから、凜とした声がとどろいた。
「姫さんか?」
白い給仕服に着替えた彼女の腰には、いつもの豪奢な剣。
給仕服姿でも、ひとりだけ勇ましい。
と思ったら、うしろからもう一人あらわれた。
給仕服の上に、橙色の布を巻いている。
腰には――鉄砲のような武器が二本さげられていて――
背中には、巨大な大筒が背負われている。
スルスルと、音もなく近づいてくる物騒な二人組。
姫さんと物騒なソイツは、平たい箱に乗っていた。
その箱には小さな車が付いていて――――「こりゃぁ、猫車か?」
「にゃにゃ、みゃみゃにゃぁみゃぁんにゃ。にゃにゃみゃみゃふにゃーにゃぁーごぉぅ♪」
ソイツは、猫頭をしていて――猪蟹屋の手伝いを、いつもかってでてくれる猫頭青年にソックリだった。
ーーー
鉄砲/初期の火器(火砲)。マッチロック(火縄)式の遠距離武器。種子島より伝播したため種子島とも呼ばれた。
大筒/大砲。城や船の構造を破壊するのに用いられた。
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