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2:カブキーフェスタへの道

150:龍脈の棟梁(シガミー)、VSモサモサ神官

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「来る――――!」
 モサモサがモサモサァしながら、おおきく踏みこんできた!

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――キャッツ、ニュー、ワールドぉ、ヘェイ♪♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 うるっせえ!

「――ぎゃははははははははははははははははっ、なにそれぇっ、ひょっとしてうらぁ!? ゲラゲラゲーラゲラ、ウケケケケケケケケッ――」
「(だまれ妖怪ようかい。ありゃ、おまえのうただろーがっ!」

 錫杖しゃくじょうを突き込む!
 モサスササササァァ――――一斉いっせいにさがられ、攻撃こうげきとどかねぇ。

 ――――ぉんぉんぉぉんぉおぉんっ!
 数十人すうじゅうにんからはっせせられた歌声こえが、いつまでも残響するのこる

 このモサモサが神官しんかんってぇんなら、前世ぜんせのおれと、ご同業どうぎょうだ。
 このとんちきな歌声うたわぁ、〝呪言じゅごん〟かもしれねぇ。
 そのど真んなかに、いつまでも居るのはまずい。

「――あたくしさまのうたぁ!? こんなへんうた、聞いたことも無いわっよ!?――」

「――イオノファラー、こノ楽曲がっキょくはイオノふァラーの所持しょジすル楽曲がっきょク参考さんコうニ、自動生成じどウせいせいしたものデ――」
 ガムランこうのお披露目ひろめに、小太刀かたなつくったときの御囃子おはやしなのは間違まちがいねぇ。
 こんな、ふざけたうたわぁ――五百乃大角いおのはらがらみに決まってる。

 錫杖しゃくじょうを突っ込む!
 モサスササササァァ――――また一斉いっせいにさがられ、攻撃こうげきとどかねぇ。
 引きなみにあわせて、踏み込む――ぽきゅ♪

 全力ぜんりょくをだすと、隊列モサモサの向こうに連れてかれちまった、リカルルたちに当たりかねねぇ。
 相当加減そうとうかげんしねぇと――ぽきゅん♪

 よし、張りついた。
 やつらのうたが止まり、目のまえにはてき
 モサモサのぬのには、読めねぇ文字もじが書いてあった。
 こりゃ、タダのぬのじゃねぇぞ?

 錫杖しゃくじょうを――突っ――込む!
 モサ――ササァッ――ねらったてきのカラダが、とおのいていく。

 みぎに居るモサモサから、背中せなかを引っ張られてる!?
 あのなたみたいなけんを、かたまで引いてたのは――コレをするためか!

「(投げるぞっ! 一秒いちびょう!)」
 一秒いちびょうってのは、投げた錫杖しゃくじょう手元てもど回収されるもどるまでの時間じかんだ。
 はやくもどせば、とおくまでとどかなくなるから、ひめさんたちに当たることも無いだろ。
 ぎゅりっ――錫杖しゃくじょうかるめに投げ……

「――あーあぁっ、演算単位えんざんたんいっのぉー明細めいさいにー、そぉんなっ項目こうもくがっあったぁ気もぉすっるっわねぇ!――」
 おい、やめろっ。
 頓狂とんきょうこえを、だすんじゃねぇー!!!

 〝はな〟をまちがえた、ジンライ鋼製の錫杖ぼうが――――がぎゅごごっん!
 敷きつめられた綺麗きれい石床いしゆかを割って、突き刺さった!

 一秒いちびょうたったが、突き刺さった錫杖しゃくじょうは、そのまま。
 手元てもとにある場合ばあいは、回収かいしゅうされないらしい。

やべぇにゃ突き刺さっちまったにゃみゃにゃにゃー
 ずぼりと引っこ抜く。

 ――――――――――――!?
 やつらがいきをのむおとが聞こえた。
 距離きょりをとりふたた綺麗きれいなな弧をえがく、モサモサの陣形じんけい

 石床いしゆかは見るも無惨むざんに割れ、おおきく亀裂きれつはいってる。

 綺麗きれいものは、ただのいしでも値がはるのが世のつねで――やべぇ!
「――シガミー、ココの床材ゆかざいにつなぎ目は有りません――」
 そしておおきなものも、値がはるに決まってる。

 よしスグなおせ、いまなおせ!

「――修復しゅうふくする対象たいしょう一時的いちじてき格納かくのうするさいに、数秒すうびょう時間じかん必要ひつようになります。それと、念話ねんわ使用しよう許可きょかしてください。戦闘速度せんとうそくど支障ししょうしょうじています――」

「(言ってるなおせ! それと、狐耳族リカルルたちの姿すがたは見えねぇ――存分ぞんぶん念話ねんわもつかえ!)――おらぁにゃっ来やがれふぎゃー!」
 錫杖しゃくじょうを、ひゅひゅひゅひゅひゅんっ――くるくる、ぱしん♪
 おもいきり振りまわすと、カラダが浮いちまうから加減かげんがむずかしい。

 威嚇いかくになれば良い――――じゃりぃぃぃぃん♪
 モサスササササァァ――――さがる陣形なみ

 ヴッ――――ヒュパパァァッ!
 きらめく床面ゆかおおきな亀裂きれつが、ふた呼吸こきゅうもとどおりになる。
 ひかり格子こうしおどろいたモサモサが、さらに距離きょりをひろげ――陣形じんけい隙間すきまができた。

 ぴ、ぴ♪
 『▼――リカルル・リ・コントゥル』
 『▼――ラウラル・ジーン・コントゥル』
 二人ふたり一緒いっしょに居るな――いつの間にか大扉おおとびらの向こうに連れてかれてたけど、かえって好都合こうつごうだ。
 巻きこむ心配しんぱいが、完全かんぜんになくなった。

 ふぉふぉん♪
『イオノ>ルリ-ロちゃんと協議の結果、ソコに居る全員、死なない程度に殲滅してかまわないことになりました♪』
 五百乃大角いおのはらがそんなことを、ビードロに書いて寄こした。

「(どうおも迅雷ジンライ?)」
「(蘇生薬エリクサー在庫ざいこもありますので――ご存分ぞんぶん)」

 きゅぽぽきゅむ――――くるくるくるくるるるっ、じゃりりりりっりりんっ♪
 まばたきよりも刹那せつな

 一瞬いっしゅん
 やはすぎてねらいをさだめるのに、錫杖しゃくじょう五回ごかいも回転かいてんさせなきゃならなかった。

 〝猪蟹屋んシシガニヤン〟のあしは〝はやさ〟を足す・・のも引く・・のも、お手のもので。
 このなめらかな石敷いしじきゆかうえなら――分け身のじゅつすらつかえそうだ。

 ごっ――――――!?
 モサモサのよこぱらに、錫杖しゃくじょうがめり込む。

 モサモサが――こっちを向き、なたを振るう。
 あれ? まるで効いてねぇ?
 そこそこのチカラで、はなったんだが?
 きゅっ♪
 紙一重かみひとえで避け、もう一度いちど――いや、もう三度さんど――錫杖こいつをたたき込む。

 きゅ――ごつん♪
 死角しかくまわり、背中せなか一撃いちげき
 ぽきゅ――ごつん♪
 次いで膝裏ひざうらを突いて、姿勢しせいくずした。
 ぽゅききゅ――ごつんっ♪
 最後さいごに、降りてきたうしろあたまに――かなり全力ぜんりょくで。

 なのに――よろめいただけで、やっぱり効いてない。
「(どういうこったぁ、迅雷ジンライ!?)」

 ふぉん♪
『>胸元の護符による防壁と思われます』
 この世界せかいのおまもりは、やたらと御利益ごりやくがあるぜ。

 なたを振りあげるモサモサを、蹴り飛ばし――包囲陣形かこみから抜ける。

 ぴぴぴぴぴっ♪
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』
『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

 わらわらとすべるように、おしよせるなみ
 目のまえのモサモサにあしを止めると、一番いちばんとおくのモサモサが背後はいごを取ろうと猛然もうぜんはしりだす。

「(なんだか、やりづれぇなぁ?)」
「(はい。確立かくりつされた戦術せんじゅつのっとった行動こうどうのようで)」
 じゃあ、おつぎは――一番いちばんとおくのやつに、錫杖しゃくじょうを投げつけた。
 避けられた錫杖ぼうが――がらんっ――すぽん♪
 ゆかころがり格納かくのうされた。

「(この〝極所作業用きょくしょさぎょうよう汎用強化服はんようきょうかふく〟を着用中ちゃくようちゅうならロックオン……ねらいいをさだめればかなら命中めいちゅうさせることも可能かのうですが)」
「(そんなことも、できんのか。けど、いまはいらねぇ)」
 ヴヴッ――♪

 ぱし、ぱしん!
 両手りょうてに小太刀こだちを取り出した。
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