滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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2:カブキーフェスタへの道

132:龍脈の棟梁(シガミー)、シシガニャンVS姫さん

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わーっにゃーごおれだにゃみゃおれっにゃにゃ! しがみーだぜっふにゃみゃみゃ-!」
 ――――――――ィィィィィィィィィィィィンッ!
 くそう、問答無用もんどうむようで切りつけんなっ!
 あっぶっねっえぇっだろーぉぉぉぉー!

 とたん♪
 四つあしになって、ギリギリ避ける。
 けどあたまがでかいから、これより〝した〟をねらわれたときは〝うえ〟に逃げるしかない。

 ――ィィィンッ――ィンッィンィィンッ――――――ィィィィィィィィィィィンッ!!!
 ばっ、ばばばばっ、すととぉぉん――くるんっすたん!
 うしろによこに、とんぼがえり。
 おおきく飛んで――受け身をとった。

 がけからどんどんはなれていくな。
 足場がけが無けりゃ、いくらたかく飛べても、限界きりがある。
 うえに行けなきゃ、よこに行くしかない。

 姫さんリカルルのぶった切りは、目で見える範囲はんい最大距離さいだい
 今日きょう遠見の仮面かめんなしだから、この大穴中おおあなじゅうを逃げなくて済むのはたすかったけど。

「――シガみィ――」
「このいそしいときに、なんだ?」
「――リカルルにハ、シガミーのこエとドいていないようデ――」

 ――――ィィィィィィィンッ!
 ぽっぎゅむん♪
 片腕かたうで地面じめんなぐった反動はんどうで、〝両断の気配せいけんぎり〟をなんなく避ける。
 位置取いちどりさえ間違まちがえなけりゃ、切られることはない。

こえとどいてねぇたぁ、どーいうこった――じゃねぇや……それは、どういうことだぁい?」
 まさかなかこえは、そとに聞こえねえのか?

 ふぉん♪
『>外部音声出力:正常に作動中』

「――その、とってつけたような〝ニゲル語〟やめない? すこしキモい……いいえ(キリ)、ちょうキモいわねっ(キッパリ)――」
 おれとニゲルが、けなされてるのは、ちゃんとわかるぞ。

「いーから、どーにかしろよ!」
「――外部がいぶスピーカー出力しゅつりょくがぁー、猫科共通語ねこかきょうつうごにー自動翻訳じどうほんやくーされてるからー、狐耳族きつねみみぞくのおひめさまにー言葉いみがつうじないのぉわぁ……自然しぜん摂理せつり(ドヤァァァッ!)――」

猫柿ねこかき腰痛ようつう言語ごんご?」

 ふぉん♪
『>猫頭たちのつかう、古代語――方言のような物とお考え下さい――』

「じゃ、それもとにもどせ! 立ち止まったら、切られちまう!」
「――もど……す? 外部音声かいぶおんせいは、その自動翻訳じどうほんやくchちゃんねるしかないけど?――」

「んあ? どういうこった?」
「――そトにシガミーのこエつタえルスべがありませン。ニャミカや猫頭青年ねこアたませいねんがいレば、翻訳ほンやくしてもらえたかもしれませン――」

「んだとぉー!? いったいなんだって、おれのこえそととどかないようにしやがったんだ!?」
「――えー、そんなの……し、しぃーらないよー? どろんっ――」
 ひらたい梅干うめぼしさまの野郎やろうが、ひらたい煙幕えんまくはなって、収納魔法ビードロからきえた。

「ちっ、にげやがった! あの惡神わるがみめ! 迅雷ジンライどーにかしろ!」
「――強化服きょウかふく……シシガニャン全体せんタいをはずすコとは可能かノうでスが、シガミーに金剛力こンごうりき装着そウちゃくするノに3秒必要びょうヒつようになルので、リカルルの〝不可視の剣戟ぶっタぎり〟にツかまりマす――」
 じゃ、一旦いったんうんととおくまで、退くか。

「――金剛力こんゴうりき使用中しヨうちゅうでモ、頭部防具あたマだケを、はずスことは可能かノうですガ――」
 なら、いますぐやれっ!

 ふぉふぉん♪
「――でハ、『>〝音声入力おんせいニゅうりょくハッチオープン〟ととナえてください』――」

「お、温泉おんせん入浴にゅうよく八町分はっちょうぶん!」
 なんにも、はずれねぇぞ?

 ふぉん♪
『>温泉入浴八町分を、頭部開放のショートカットとして登録しました』
「――もウ一度いちド、おねがいシます――」

温泉おんせん入浴にゅうりょく八町分はっちょうぶん!」
 ぷぴぽぽーん♪
『>〝頭部防具:シシガニャン・へっど〟を装備から外しました。
「ハッチ開放かいほうします、ハッチ開放かいほうします」
 五百乃大角いおのはらの声だ!
 まだ居やがんのか、アイツァ?
 ビードロのなかを見わたしたけど、目につくところには居なかった。

 ぶっつん――ビードロが消えて真っくらになる。
「ぅおわ?」
 とおもったら、ひゅぅぅぅぅっ!
 そとのかぜが、あごのしたから入り込んできた。

 ぷっしゅしゅしゅぅぅぅぅっ――――ごっぱぁ♪
 おおきな頭防具かぶとが、もちあがる。
 目のまえがひらけ、風音かざおとがきこえてき――

 ――――――――――――ィィィィィィィィィィィィィィィンッ!
 やべっ、〝ななめ・・・〟が来た。
 ごうを煮やした姫さんリカルルが、自分じぶんこしをひん曲げてはなつ――曲芸きょくげい……おくの手だ。
 切っさきが目に見えるわけじゃねーけど、このなんとなく・・・・・無視むしすると、ほんとうに切られる。

 カチャ――すぽん♪
 一秒いちびょうもかからずに、迅雷ジンライ機械腕かいながどこかから伸びてきて、耳栓みみせんをはめてくれた。
 チカッ――目尻めじりひかって普通ふつうの、いつものおおきさのビードロが、目のまえをおおう。

『▼』――――ぴ――ぴ――ぴぃ――――♪
 いちおう〝動く物を見もーしょんえる化するなんたら〟でも、とらえられてはいるけど、おおまかにしかわからないし――なによりおそくて使つかえない。

 右手みぎて左足ひだりあし
 いま地に着いてるのは、それしかなくて――

 ぬぅおっりゃぁぁっ――――――――ぽきゅぽきゅむっ!
 地面じめん必死ひっしたたきつけ、〝両断りょうだんされる気配けはい〟を飛び越えた!
 ななめのぶん、たかく逃げないといけなくて――
 しかも空中ちゅうでは、姿勢しせいを変えられない。

 無防備すきだらけになった――猫耳族ねこみみぞくのカワイイ魔物まもの
 姫さんあいつ見逃みのがすはずは――ねぇ。

 ヴッ――――じゃりぃぃん♪
 錫杖しゃくじょう(もう直刀かたな仕込しこまれていない、ただのてつぼう)を――
 ――――ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅっん!
 チカラのかぎりに・・・・・・・・振りまわしたら。

 おれ、ぼくのなが金色きんいろかみ視界しかいおおった。
 かぜに巻きこまれたかみで、まるで見えねえ!

降参こうさんだ、ひめさん! おれだ!」
 かぜにあおられたかみが、こんどはうしろにまわる。
 上下逆じょうげさかさまのてんと地。
 コッチを見上みあげげ、いままさに必殺ひっさつの〝聖剣切りぶったぎり〟をはなとうとしている伯爵ご令嬢リカルルと目があった。

「えっ!? 魔物まものじゃない? シガミーなのっ!?」
 つるぎを引く、伯爵令嬢リカルル

「そーだっ、おれだ、おれっ! シガミーだぜっ……じゃなかった、シガミーだよぜっ!」
 ひゅるるる――ごずん!
 錫杖しゃくじょうを地に突き刺し、着地するすたぁん

「っぎゃっ――食べられてる!?」
 いますぐぅーたすけぇだぁしぃーまぁすぅーわぁぁぁぁっ!
 ふたたびけんをかまえる、ご令嬢れいじょう――

「あー、食われてない食われてない。こりゃつくりモンだぜ……じゃなくって、つくもん
なんだよぜー。あぶなくなぁいよぜー」
 ジリジリと近寄ちかよる。

 そして、おれのかおを、よーくみせてやった。

「ほんとーに、シガミーですわね。もーおどかさないで、いただけませんこと? あやうく切ってしまうところでしたわ」
 そーだな、姫さんリカルルくびねらわれるのも、二回目にかいめだ。つぎは無しにしてくれ。
 やれやれと、ひめさんがいわにこしかけた。

 おれは、もう一度いちどひめさんのまえ片膝かたひざをつく。
 なにはさておき、まずはあやまらねぇと。
「どうしましたの、シガミー?」

「さっきは、手違てちがいで地面じめんを揺らしちまって、本当ほんとうにすまなかった!」
「あら、そんなことを気にするなんて、へんですわよ。魔物上等まものじょうとうのガムランちょうで、〝危険きけん非難ひなんする〟人間ひとなんてひとりもいませんわ」

「けど、さっき白目しろめむいてたじゃねーか」
「ソレは、いますぐおわすれになってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、いいわね?」
 目がわらってない。
 こくり、とうなづいておく。

「よろしい。それにたすけてくれたのも、シガミーでしょう? 故意こいに、計画的けいかくてきに、卑怯ひきょうな手をつかって人命じんめいねらったなら、糾弾きゅうだんされてしかるべきですけれど」
「もちろん、わざとじゃねーけど――」
「なら、このおはなしはおしまいですわ、いいわね?」
 そうだ、この領主りょうしゅむすめは、横柄おうへいところはあるけど――すじとおっててはなしがわかるヤツだった。

「わかったぜ」
 ぽきゅ♪
 立ち上がると、面白おもしろおとが鳴った。

「それで、その毛皮けがわのような装備よろいは、いったいなんですの?」
「これはなー、五百乃大角いおのはらとつくった〝つよふく〟だ」
 お、うしろあたまを手でさわったら、兜頭あたまが引っかかってる。

「つよい……ふく?」
「はイ、正式名称せいしきめいしょウハ〝極所作業きょくしょサぎょう用汎用ようはんよウ強化服きょうかフく〟でス。防具一式ぼうぐいっシきとシての名称めいシょうハ〝シシガニャン〟になりマす」

「シシガニャン……猪蟹屋シシガニャーみたいね」
 やっぱり、言われた。べつに良いけど。
「けど、よくみると、なんだか――かわいらしいですわぁー。うふふ」
 毛皮けがわみたいな布越ぬのごしに、はら執拗しつようになでられた。

   §

「コレは、工事こうじ予定よていには無かった、断裂だんれつですわね?」
 姫さんリカルルには、はらを割ってはなそう。
 おっかねぇところは有る。たしかにあるが、はなせばわかるヤツなのだ。

「じつわなぁ、この〝猪蟹屋ししがにやん〟を着たら……なんて言うか……おもしろいわざみたいなもんをおもいついちまって――ついこころのおもむくままはなったら、こんなんなっちまった――すまねぇな」

「え? いま、なんていったのかしらぁぁぁぁぁ――お、お、おおおお、おもしぃろぉいぃわぁざぁでぇすってぇぇぇっ――はぁはぁ、なにソレどんなわざ、おいしいの!?」
 うすぐらいかげぎわ。月影つきのひかりつよくしていくリカルルの双眸そうぼう

 つるぎに手を掛けて、ジリジリよってくるのは、やめよ?
 うっかりしてた。こいつははなしはわかるが、戦闘狂せんとうきょうだった。
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