滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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2:カブキーフェスタへの道

126:カブキ者(シガミー)、カブキーフェスタ中止のおしらせ

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『ヒーノモトー国からの来訪者はガムラン町内において、
 戦闘特化型呪文の使用を全面的に禁止する。
 コントゥル領領主代理 リカルル・リ・コントゥル■
 コントゥル家名代 ルリーロ・イナリィ・コントゥル■』

 がぁんがぁん、ごごごぉん――――!
 まちの入りぐちとギルド支部跡地しぶあとちに、早速さっそくそんな看板かんばんが立てられてる。

 良く滑る下駄ゲタスベールと、オルコトリアの豪腕ごうわん
 そして、気やすめ程度ていどのはずの〝めっせよ!〟。
 このみっつを混ぜると――ギルドの建物たてものほろぶ。
 ココまでの威力いりょくになった理由りゆうは、わからないけど――町中まちなか使つかったら駄目だめなのは、わかった。

「だ、大丈夫だいじょうぶ……コン?」
 狐耳ルコルが、物陰ものかげかくれてる。
 コントゥル家のひとたち(とくに狐耳母娘リカルルおやこ)には、あんまり会いたくないらしい。

相当そうとうおこられそうだけど……が、頑張がんばるよ」
 巻き込まれた人々ひとびと治療ちりょうのために、手持てもちの蘇生薬エリクサーだけでなくまちに有った在庫ざいこの、ほぼすべてを使つかった。
 いろんな意味いみ頑張がんばらないと――猪蟹屋ししがにやつづけられなくなる。

「ルコル……ココもそろそろあぶないニャ? とっととずらかるのが、きちミャ!」
 そうだね。今回こんかいのことに君ら・・も、一枚いちまい二枚にまいもかんじゃったからね。

 この世界せかいにも、吉凶きっきょうかんがかたがある。
「――はイ。世界せかイのベースとなるノは、イオノファラーや神々かミがみくニ言葉ことバ様式ようシきですノで――」
 ならば、この場は――〝逃げるが勝ち〟だ。
 彼等かれらには隣町となりまちで、ほとぼりが冷めるのを待ってもらおう。

「ごめんね、まさかこんなことになるとは……」
 まちのほぼ中央まんなか、かなり大きな存在感たたずまいだった冒険者ぼうけんしゃギルドが、いまはもうない。

 〝烏天狗からすてんぐ〟――VS――〝おにむすめ〟。
 そのかる手合てあわせ――が厄災やくさいをもたらしてから、やく30ふん
 ギルドちょう妖狐ようこルリーロの、的確てきかく判断はんだんこうそうし――巻き込まれた人々ひとびとは、即座そくざ救出きゅうしゅつされた。
 けがにんは、すでに蘇生薬エリクサー僧侶そうりょにより治療ちりょうされている。

「死んだひとが、居なければ上出来じょうできニャ。落ちついたら、またおみせにくるミャ?」
 どすん――すとん――ルコルが取りだした椅子まほうつえに飛びのる、猫耳娘ニャミカ

「また、会おうコォォォン――!」
 ひざうえかかえられた、狐耳のルコル少年しょうねん
 その姿すがたが見えなくなったころ――ぼくは行動こうどう開始かいしした。

   §

 試合の舞台ぼうけんしゃギルドは、ぽっかりと更地さらちになっている。
「いやぁ、なんにもなくなっちゃったねー」

 迅雷ジンライ収納魔法しゅうのうまほう大活躍だいかつやくしたのは、言うまでもない。
 それでもあのおおきさの建物ものを、まるごと収納しゅうのうしてもう一回取いっかいとり出す――つまり〝なおすこと〟は残念ざんねんながら出来できないみたいだった。
 そんなのが出来できるのは、せいぜい物置小屋うちのいえサイズまでなんだそう。

 それは仕方しかたがない。迅雷ジンライ収納魔法しゅうのうまほう本来ほんらい、いろんな種類しゅるいものを詰め込めるようにはなっていなかったのだし。

 けど問題もんだいは、ココからだ・・・・・
 しんじられないことに、どういうわけか御神体いおのはらまでもが、とてもやくに立ったのだ。
 神々かみがみ世界くに知恵ちえは、ぼくにもまち連中れんちゅうにもサッパリだったけど、その指示しじどおりにうごいた迅雷ジンライは、まるで神々かみがみ使つかゆめ道具どうぐで――ちょっとびっくりした。

 一瞬いっしゅんで、くすれ落ちた瓦礫がれき撤去てっきょし、必要ひつようなものと要らないものを分類ぶんるい
 こまかい備品びひん調度品ちょうどひんや、すべての家具かぐを〝和菓子の箱フォルダ〟ごとに、わけて収納しゅうのう
 しかも、個人こじんの持ちものなんかは、迅雷ジンライせいふくろに入れて、もう返却済へんきゃくずみ。

 ギルドの仕事しごと関連かんれん書類しょるいたば書籍しょせきいたっては、数百個すうひゃっこ迅雷ジンライ製の軽箱かるばこ整頓せいとんされ――かり移転先いてんさきである〝リカルルてい〟に、はこびこまれた。
 なんと受付業務うけつけぎょうむ一部いちぶは、明日あすにも再開さいかいされるそうだ。

 もとにも仕事しごとができるヤツはいたが、あんなのは見たことがない。
 五百乃大角いおのはら手際の良さしごとには、とても驚《おどろ》いた。
 それと同時どうじに、すこし恥ずかしくもなった。
 ぼくに、あの采配さいはいがとれるなら――いつでもあのチカラを、使つかえたってことだからだ。

五百乃大角いおのはらのマネは……とてもできない」
「――まア、そう落ちコまずに――」
 むぅ? 迅雷ジンライのその物言ものいいには、なんか引っかかった。

 迅雷ジンライ正真正銘しょうしんしょうめい神々かみがみ使つか道具どうぐだけど――〝かみによる采配さいはい〟がなければ――迅雷ジンライだけでは、あのチカラは使つかえないってことでもある。

「……実際じっさい迅雷おまえは、どこか抜けたところがあるしな」
 言ってやった。
「――ハはハ。ご挨拶あいさツでスね、シガみー? そろソろ休憩キゅうけいは……おわりにしましょウか――」
 そーだなー、よっこらせっと。

 ガムランちょう中央ちゅうおう巨大きょだい更地横さらちよこ
 ぼくたちは、五百乃大角いおのはらに言われた作業さぎょうを、すすめていく。

 置かれた女神像めがみぞうと、その背中側せなかがわから伸びるふと導線どうせん
 その行きさきを目でたどると、なんだかよくわからないはこが、たくさん積みあがっていた。

「――あノハこたチは、女神像めがミぞう構成こうせイスる、システム筐体きょうタいでス――」
 女神像めがみぞう背中せなかに付いてたはこが、解体ばらされてるのはわかるけど――説明せつめー

「――基本的きほんてきには、イオノファラー本人ほんにん背中せなか搭載とうさいされていたものと、おなじです――」
 説明せつめー
「――箱群はコ最終的さいしゅうテきに、いチばんおオきナハこでアる〝ブラックボックス〟へとつナがっていマす――――」

 積みあがったちいさいはこや、それをたばねるちゅうくらいのはこ
 ぜんぶまとめて、女神像一式ひとそろえてのは、わかった。

 空中ちゅうに浮いた迅雷ジンライが、ルガ蜂の動きふるえた
 ヴヴヴヴヴルルルッ――――――――ドッズズズズズゥゥゥゥンッ!
 地中ちちゅうから掘り出したのは――――たぶんだけど、ギルドの金庫きんこだ。

 シガミー邸ものおきごやなら6けんはいるほどの、巨大きょだい大箱おおばこ
 ぐらぐらぐららっ――――まだ揺れてる。
 れい収納魔法しゅうのうまほう応用おうようで、どろひとつ付いてない。
 ピカピカと、ひかりかがや金属製きんぞくせい

「いやぁー、綺麗きれいななものねー♪」
 今回こんかい大騒動おおそうどう実行犯じっこうはんのひとりが、呑気のんきかおでやってきた。

呑気のんきなことを言ってる場合ばあいでは……ないのではありませんか?」
 実行犯オルコトリアのあとからあらわれたのは、白い給仕服リオレイニア
 そのこえに、嘲笑ちょうしょういろはない。
 リオレイニアは、純粋じゅんすいにオルコトリアの〝すえ〟をあんじていた。

「まったく、シガミーがトイレに行ってるあいだに、と、とんでもないことになっちゃったじゃないの!」
 小さいのレイダが、ぶつかってきた!
 たしかに、ギルド支部しぶ建物たてものは――レイダと父上めがね住み処いえでもあり、それがなくなってしまったことは、どうつぐなってもつぐないきれるものではない。

 なんてこえを掛けたら良いかわからなくて、レイダを見つめてたら――――大きなカバンを、ひとつわたされた。

「レイダ……大荷物これなんだい?」
なにって、わたしの荷物にもつに決まってるでしょ?」
 レイダの手には、べつのカバンがもうひとつ。

「どういうコトだい?」
 おなじく大荷物おおにもつたずえた、リオにたずねる。

「ギルド建物たてもの再建さいけんされるまでレイダとわたくしは、シガミーていにご厄介やっかいになります。うふふ」
「な、なんだとぉうっ――!?」
「そうっ♪ おとうさんは、ギルドのりょうに泊めてもらうって言ってた♪」
 なんで二人ふたりとも、たのししそうなんだ?

 まったく、折角せっかくリオが監視役かんしやくでウチに来るのを、まぬがれられたのに。
「――ハはハ……危惧きグしテいたのと、おナじ結果ケっかになってしまいましタね――」
 なにわらってんだ、ちきしょー!

 けど、もうひとりの実行犯じっこうはんである、烏天狗からすてんぐ正体しょうたいは――ぼく《シガミー》だ。
 無下むげにはできない。

「あ、そうそう、お嬢様じょうさまからお手紙てがみあずかってきました」
 かるく折られた、簡素かんそ手紙てがみをひらく。

『カブキーフェスタ中止のお知らせ』
 そりゃそーだなー……あれ? いちばんしたにも、なんか書いてあるぞ?
 ぺらり。
『カブキーフェスタ改め、ギルド再建フェスタ開催決定!』
 ぼくは、リオのかおをみる。

「ふぅ。開催規模かいさいきぼ当初とうしょの……30ばいになりました」
 口元くちもとに、あきらめのいろが浮かんでいた。
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