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2:カブキーフェスタへの道

118:カブキ者(シガミー)、コントゥル伯爵夫人

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「レディ、コントゥル――おたわむれれが過ぎます」

 リオレイニアが姫さんリカルル付きの、白っぽい・・・・筆頭ひっとうなら――
 この甲冑かっちゅうを着た、黒っぽい・・・・護衛ごえい筆頭ひっとうである――すっごいいかついのがかれだ。
 いままではなしたことはないけど、姫さんリカルルがなんかしたときに、絶えず矢表やおもてに立っていた。
 もちろん、そのときかれ正対たいするのは、姫さん・・・だけど。

 姫さんリカルルから・・周囲しゅういをまもる細身ほそみ長大ちょうだいたては、名誉めいよきずで埋め尽くされている。
 アレそのうち、なおしてあげたいな。装備そうびをなんでも、なおせるようになったし。

「――そうでスね。かレにハ何度命なんドいのチすクわれタか、わかりマせん――」
 えー、ソコまでじゃないよね?
 草原そうげん姫さんリカルルおそわれたときに、たすけてくれなかったし?

「――あのときはリカルルが強引ごういんに、おそらく甲冑かっちゅう機能きのうをつかい、全力ぜんりょくかれをまいたのでしょう――」
 『聖剣切りの閃光ヴォルトカッター』の一員《パーティーメンバー》でもある、かれをまいたってことは――やっぱりあのとき本気ほんき首を取りに・・・・・(生きかえるけど)来てたんだな。

「――はイ。そしテかレ行動こうどウには一定いっテい誠実せいじつさ――騎士道きしドう……武士道精神ぶしどうせイしんかンじラれ、それヲ間近まジかで見てイたリカルルの人格形成じんかくけイせいに、すくなかラぬ影響えイきょうをヲ与《あた》えていタとかんがえマす――」
 そういうはなしか。あのとき、いさぎよく負けをみとめられた姫さんリカルルは、すこし立派りっぱだったからな。

「エクレア・トルティーヤ!」
 伯爵夫人おくがたに飛びつかれる、くろいの筆頭ひっとう
 ざわめく周囲しゅうい

 落ちる『ルードホルドの魔法杖まほうつえ』――ごどん――ぷぎゅるりっ!
 結構けっこうおもさがあったからな――下敷したじきの姫さんリカルル大丈夫だいじょうぶか?

「いつものように、なまえでよんで♡」
 伯爵令嬢むすめを踏みつぶし、その護衛ごえいに――あいをささやく伯爵夫人はくしゃくふじん
 どよめく周囲しゅうい
「……いまのわたしは、リカルルさま付きの護衛ごえいです。それに、ご自分じぶんのお立場たちばというものを、おかんがえください――」
 カパリとめんを跳ねあげる――柄繰レアえくれあ

 きゃぁぁぁぁぁっ――――周囲しゅうい女供おんなども……女性じょせい方々かたがたが、あまったるい金切かなきごえを張りあげた。
「うるっせぇ!? なんだ、なにが起きた?」
「――かレのイケメンぶり……優形やさがタ容姿ようシと、伯爵夫人はくしゃくフじんとの関係性けんけいせイ感銘けんめイを受けているとおモわれます――」
 んぅ? まあ、〝前世まえのおれ〟とくらべりゃたしかにつらは良いが、あいつやべぇーだ……やばいよね?

 ココの領主りょうしゅは、はなしがわかる名君めいくんだ。
 それでも、越えたらいけねぇ、身分せんってもんがある。

「レディ、コントゥル――」
 見かけすがただけは、立派りっぱ町娘まちむすめ伯爵令嬢おくがたに、ひっ付かれた黒甲冑くろかっちゅうが――微動びどうだにしなくなった。

「ちゃんと、名前なまえで呼んでくれないと――一生離いっしょうはなれてあげません♡」
 きゃぁぁぁぁぁぁぁ――――♡
 湧く、女性じょせい方々かたがた
 このかんじなら――柄繰レアやさおとこいのちまでは取られないで、済むのかもしれない。
 そもそも公爵夫人かのじょはどう見ても、公爵令嬢リカルルお付き筆頭リオレイニアとおなじ年頃としごろにしか見えない。
 なんか、おかしい。

 長机まわり面々めんめんをみわたす――――あわててるヤツは、ひとりもいなかった。
 いや、ひとりあわててるのが居るな。
 ニゲルがひめさんに駆けよって、魔法杖まほうつえを退かそうとしてる。

「ルリーロ・イナリィ・コントゥル! ――いくらもとパーティーメンバーでも、これはいただけません。なによりわたしにはあいする――――婚約者こんやくしゃがいるのですから――――っ!」

 あれ? 禁断きんだんこいじゃないっぽいよ?
 えー、あの護衛ごえいひと折角せっかくすっごいイケメンて発覚はっかくしたのに――お手つきじゃん。
 あー、解散解散かいさんかいさんー。
 いまいままで、湧きに湧いてた女供おんなども……女性じょせい方々かたがたが散り散りに、散っていった。

「ひょっとして、まえにお手紙おてがみに書いてた、央都おうとのギルドの受付嬢うけつけじょうちゃん――?」
「いえ、まー、そうです。つぎやすみにも彼女かのじょいえに、挨拶あいさつに行くつもりです」
「それは、それは――盛大せいだい派手はでなおしきを――――」

 ふわぁっさぁり。
 夫人ふじんのうしろに、なんかいる・・・・・
 それに、さっき――〝稲荷いなり〟って言ったか?

「(おい迅雷ジンライクン、こいつぁ――――!?)」
 いつまでもとしを取らず――
 稲荷けんぞくを名のり――
 そして――ふっさふさの尻尾しっぽ

 おれはコイツを知ってるぞ・・・・・・・・・
「――シ――」
 迅雷ジンライ返事へんじを――――できなかった。

 目のまえに――ぼぉうわっ♪
 青白あおじろほのおともる。

 ソレは――灯りの魔法ひかりのたま炎の魔法かえんのたまとは、べつのことわりによるものだと――わかる・・・
 かつて前世ひのもとで、何度なんどもやりあったことのある――ぞくに言う、狐狸妖怪こりようかいたぐいだ。

 ぼぉうぼぉうぼぉうぼぉうぼぉう――――!!!
 おれの周囲しゅういに、次々つぎつぎともる――つめたい。

「まちがいねぇ――――こりゃ、狐火きつねびだ!」
 もとの生まれなら、この〝つめたい火〟がなんなのか――わかる。
 おれの真言マントラと、本質的ほんしつてきにはおなもんだ。

 ソレは――いのち灯火ともしびと言っても良いもんで。
 ソレは――自分じぶんいのちとはかぎらない。

 青白あおじろほのおが、あたりのあかるさを打ち消していく。
 だらだらだらだら――――イヤなあせが、からだのしんまでこおりりつかせる。

「リカルルちゃぁぁん!? その子わぁ、だぁれぇ?」
 昼中ひるなかには、見ることのできないはずの、つきひかりをたたえたひとみ
 伯爵夫人おくがたくびだけを、こっちに向けていた。

 あたりは薄暗うすぐらく、ココには〝■■■■■■■■■■■■■■■■■■眷属けんぞく〟と、〝おれ〟の二人ふたりしかいない。

 町娘まちむすめのようなふく
 そのそでが持ちあがり――――〝ほむらいん〟をむすんだ。
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