上 下
114 / 735
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

114:伝説の職人(シガミー)、なぞの箱

しおりを挟む
「(――ん~? まてよ、コレは〝宛鋳符悪党アーティファクト〟なのか?)」
 巨大な山菜まほうつえ上級鑑定じょうきゅうかんていに、『魔法杖(アーティファクトあていふあくとう)』って書いてある。

「――そのようでスね、三世代前さんせだイまえAOSエーおーエス検出けんしュつしまシた――」
 たしか、迅雷ジンライたち〝宛鋳符悪党アーティファクト〟は、どうやっても壊せない・・・・って言ってたよねー?

「――はイ、シガみー。破壊ロストすることはありませんノで、時間切じかんギれと同時どうジに、強化きょうカされタ効果こウか消失しょうしツするだけでス――」
 なるほどな、〝宛鋳符悪党アーティファクトこわれない〟ってだけで価値かちがある。
 迅雷ジンライなら一瞬いっしゅんで〝うごかなくなったのをなおすこと〟もできるしな。

「(うーん。ならコレは)……修復しゅうふく念入ねんいりに」
 つえを――修復しゅうふく修復しゅうふく修復しゅうふく――三回さんかいひからせた。
 もとから綺麗きれいだったけど、みがき上げられたように、ピカピカにした。

「(コレで済まそう。あとはさわらない――なんかもう、こわい)」
「――はイ。でハ、AOSエーオーえス更新こうしンだけしておきマしょう――」
 あー、『再生品なんとか』って判子はんを押すヤツか。
 ヴッ――くろ手袋てぶくろみたいなのが、つくえうえに置かれる。

 手袋てぶくろをして――目だたないところに押そう。

 きゅっぽぉん――♪
 つえあしうら
 地面じめんに着いて見えなくなるところに、判子はんを押した。
 おもしろいおとに、ルコルたちがキョロキョロしてたけど、時間じかんないし放っとく。

「さー、つぎは――」

 ふぉん♪
『天角シリーズ一式【漆黒・付け焼き刃】
 全防御力1638(+675)。最強防具と謳われる甲冑一式。
 追加効果/STR+55/ATK+102/VIT+60
 /INT-48/DEF+1100/LUK-65
 条件効果/【付け焼き刃】上級職人による一時的な性能強化中。
     ただし、効果が切れる際に破壊される可能性あり。
     その確率はアイテムのレア度に比例。
     【強化残り時間 00:13:32】
 装備条件/STR45、DEF25』

「ギルドちょうのヤツだね。これはむずかしいことが書いてないから――」
 ぱっ――修繕しゅうぜんしてから、一時的いちじてき強化きょうかべつので上書き・・・してやれば良い。
「(迅雷ジンライクン――)」
 ことん――つくえに置かれた黒筆くろふでを、手に取った。

 ――さらさらさらさら――さらさらさらさらり。
 くつのかかと、ひざ当て、腰当て、胸当て、ひじ当て、肩当ての出っ張り。

「ふぅ、ひとつひとつに、字を入れてくのは、結構けっこうつかれるぞ?」
 ギルドの〝ギ〟をもじった『義』の文字もじ
 最後さいごに、かぶとひたいにいきおいよく書き入れて、終了しゅうりょう

「――達筆たっピつでス……が、少々しょうしょウやり過ぎデは?――」

 ふぉん♪
『天角シリーズ一式【漆黒・義】
 防御力1988(+970)。最強防具と謳われる甲冑一式。
 条件効果/【義】エリアボスとの戦闘時において、
     パーティーメンバー全員のHPが緑ゲージの時に、
     攻撃力と自然回復力が最大で300%UP』

「(んぅ~? エリアボスっていうのは、〝姫さんリカルル〟とか〝化けウサギ〟みたいなバカみたいにつよいヤツのことだろ?)」
「――まア、そうでスね――」
「(なら、いざってときに、これくらいつよ装備そうびがあってもいいんじゃない?」
 ぼくとか姫さんリカルルが、いつもその場に居るとはかぎらないんだしさ。

「――ふゥ、どのミち、その筆スタイラスで書きこんだ効果こうかを消すことは、むずしいですし、まァ、良いでしょウ――」
 そうそう、町が平和へいわじゃないとおちおち『猪蟹屋しょうばい』もできないわけで。

「ふぅー、つかれたな――」
 正直しょうじき強化きょうか加減かげんをするのはむずしくて、だんだん面倒めんどうになってきた。

「――これで終わりかな?」
 最後さいご一個いっこは、なんかちいさかった。

『双王の鎖箱【亡】☆:0/1
 詳細不明だが、希代の役立たず(アーティファクト)。
 装備条件/LV100』

詳細不明しょうさいふめい――? これはなんだろう?」
 くさりで巻かれた小箱こばこ

「あのぅ、コレはなんですか?」
 修繕しゅうぜんが終わった装備そうび確認かくにんをしてた、受付係長ウェレにたずねる。

見覚みおぼえのないはこね。どこからまぎれ込んだのかしら?」
 たおやかなゆびが、はこを持ちあげた。

 すかさず猫耳娘ニャミカが――持ってきてたらしい、〝上級鑑定箱じょうきゅうかんていはこ〟を向けた。
 ――――かしゃん♪
 はこうえ隙間すきまから、いたが飛びだす。

『双王の鎖箱【亡】
 詳細不明だが、希代の役立たず(アーティファクト)。
 装備条件/LV100』

「「「「「……装備条件そうびじょうけん――LVレベル100!?」」」ニャッ!?」コォン!?」」
 ルコルに受付係長ウェレちかくに居た受付嬢ルィノやギルドちょうまでもがくちをそろえた。

世界最高位せかいさいこうい冒険者ぼうけんしゃでもある〝央都おうと騎士団総長きしだんそうちょう〟ですら、LVレベル70だと聞いてるが?」
 やっぱり、LVレベル60越えの女将おかみさんは、普通ふつうじゃなかったっぽい。
「――LVレベる100に到達とウたつしたシガみーも、いマではトても普通ふつウでハないことをきモめイしてくだサい――」
「(うるさいよ?)」

「あははは、そんなアイテム、使つかえるひとが居るわけないコン♪」
 なにをかくそう、ぼくの本当ほんとうLVレベルは100だ。つまり使つかえる。

「しかも、希代きだい役立やくたたずって、ぷひひ……」
「あら、アーティファクトなのね? ちょっと納得なっとくしたわ、クスクス」
「ニャはは、コレはきっと〝のろいのアイテム〟にゃっ♪」
 全員ぜんいんがあとずさる。

 迅雷ジンライのビードロに見えている、この小箱こばこ鑑定結果かんていけっかを――よく見る。
『双王の鎖箱【亡】☆:0/1』

 上級鑑定じょうきゅうかんていはこから飛びでたいたを――よく見る。
『双王の鎖箱【亡】』

「ゴミだ、物好ものずきのわれにも、ゴミにしかおもえないコォン♪」
「ゴミニャ、カフェの仲介棚ちゅうかいだなにも置けないカスニャ♪」
 よほど面白おもしろかったのか、いつまでもころげまわる、獣人じゅうじんふたり。

「ルコル、たのしそうな所悪ところわるいんだけどさ――ねんのため上級鑑定じょうきゅうかんていしてみてくれない?」
「――えー、べつに良いけど――チーン♪」
「ええと、『そうおうの、くさり……ばこ?』。鑑定箱まほうぐ一字一句いちじいっくおなじコォン?」

「――シガみー――」
「(わかってる。この『かたち』は、ぼくたちにしか見えてない)」
 まちがいなく、五百乃大角いおのはらが言ってた〝百個集ひゃっこあつめるとほしに住める〟ってヤツがらみだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ@10シリーズ書籍化
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

遺跡に置き去りにされた奴隷、最強SSS級冒険者へ至る

柚木
ファンタジー
 幼い頃から奴隷として伯爵家に仕える、心優しい青年レイン。神獣の世話や、毒味役、与えられる日々の仕事を懸命にこなしていた。  ある時、伯爵家の息子と護衛の冒険者と共に遺跡へ魔物討伐に出掛ける。  そこで待ち受ける裏切り、絶望ーー。遺跡へ置き去りにされたレインが死に物狂いで辿り着いたのは、古びた洋館だった。  虐げられ無力だった青年が美しくも残酷な世界で最強の頂へ登る、異世界ダークファンタジー。  ※最強は20話以降・それまで胸糞、鬱注意  !6月3日に新四章の差し込みと、以降のお話の微修正のため工事を行いました。ご迷惑をお掛け致しました。おおよそのあらすじに変更はありません。  

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。 だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。 一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

処理中です...