滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

110:伝説の職人(シガミー)、包囲される

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「では、まことにもうわけございませんが、何箱用意なんはこよういできるか、いまいちどギルドちょう確認かくにんしてきますので――」
「――あ、じゃ、そのあいだに、女神像めがみぞう参拝さんぱいしたいんだけど」

「はい。ではコチラにどうぞ」
 ぱたん――長机カウンター一部いちぶを押しあげ広間フロアに出てきた受付嬢ルィノが、ほそい路地ろじ案内あんないしてくれた。

「ではコチラに、なりますぅ」
 したぱらが出ていない、女神像めがみぞうまえまで来た。

「スキルの収得しゅうとくもしたいので、すこし時間じかんがかかっても良いですか?」

「えっ、あんなにレアスキルだらけなのに、まだスキルを取るポイントがおありなのですか!?」
「いえまあ、はい」
 コレは嘘ではないあるのだから、仕方しかたがない。

「で、でででで、っでででは、わたぁしわ、ギルドちょう確認かくにんしたいことがございますのででで、ごゆっくりどうぞ」
 〝で〟がおおいな。
 かおを引きつらせた受付嬢ルィノが、ほそい廊下ろうかをもどっていった。

   §

迅雷ジンライクン」
「――なンですか、シガみー――」
「いろいろ――やらかした気がしない?」
「――はイ。でスが、はじメておトずれルまチですシ、仕方しかタがありませン。次回じかイに活かしまシょう――」

「だよね。よーし、じゃあ迅雷キミ女神像コイツでやらなきゃいけないことをヤッてくれ」
 うしろがみに刺さってたぼうが、しゅるるるるっとかみをほどいてフワリと出てきた。

 女神像めがみぞう背中うしろはこを開け、なかにとびこむ迅雷ジンライ

 ふぉん♪
『女神像端末#3312
 城塞都市オルァグラム内エリア統括データベース、
 ならびにライブラリ更新を開始します。
 更新終了まで 00:05:00』

「終わるまで、5ふんもかかるのか」
 チチチィーッ、カリカリカリッ――――ビュパァン♪

 返事へんじはなく、はこなかからまえにも聞いた騒音そうおんが聞こえてきた。

「(やっぱりソレうるさくない? 受付嬢ルィノが居ないから良かったけどさ)」
 ふぉんふぉふぉん、シシシシッ。
 ふぉふぉふぉふぉふぉふぉっふぉ――――ビードロになんかの羅列られつが――はやくて読めない。

「ふう、(今夜こんやはもうつかれたよ。いますぐかえりたい)」
 迅雷ジンライあいづちがないと、超暇ちょうひまだな……そとも見えないし。

 この通路つうろには、まどのたぐいは一切無いっさいなかった。
 ギルドの建物たてものが、ガムランちょうばいはあるひろさなので、似た構造かたちをしていても、通路つうろの向こうはそとではなくべつ部屋へやがあるんだろな。

「まあいいや。おとなしく、めだたないようにして、売れるだけでいいからゴーブリンいしを売ろう。そしてすぐかえろう」
「――そうでスね。イオノファラーの食費しょクひカせがなイといけませんからね――」
 迅雷ジンライがしゃべったとおもったら――――五百乃大角いおのはらのことをすっかりわすれてた!

「――なニか、重要事項じゅうようジこうでスかシガミみー?――」
 ある意味いみ――重要じゅうようだ。
 コレをわすれて五百乃大角いおのはらにへそを曲げられたら、また女将おかみのさじ食堂しょくどうまるごとぜんぶ・・・・・・・食いつぶさないとは言い切れない。

「(名物めいぶつだ。屋台やたいがやってるから、なんでも良いから、みつくろって買っていかないとな)」
「――そうデした。あジ吟味ぎンみしないといけませンね――」
「(いーや。このさいあじは二のつぎだ。むしろまずいほどたすかる)」
「――それデはイオノふァラーの機嫌きゲんそコねるのデは?――」

「(いや、かんがえてもみろ。まんがいちうまいモンを買っていったらどーなる?)」
「――確実かクじつに……〝おかワり〟を要求よウきゅうされマすね。。それほどオいしくなくて、かツおコらせない程度てイどのギリギリのサじ加減かげン……納得なっトくしまシた――」

『更新終了まで 00:02:32』
 あと半分はんぶん

「けっこう、かかるんだね?」
「――女神像めがミぞうのシスてムOSが二世代前にせダいまえもノなノで、そノ対応たいオう時間じかンが取られていマす――」

 ふぉふぉん♪
『動体検出 武器反応あり』
 んぁ!? なんかくるぞ?

 ほそい通路つうろになだれ込む、大勢おおぜい人影ひとかげ
 かべとおしてみえる、その縁取ふちどりがちかづいてくる。

 どかどかどかっ――――曲がりかどの向こうから大勢が詰めかける音。


「(なんだろ、ゴーブリンいしを売るときの作法さほうに、ひどい手ちがいでも有ったかな)」
「――エリあ統括とうかツデーたベースの更新こうしン中断ちゅうだンしまス――」
 あ、女神像めがみぞうわるさしてるのがバレたんじゃ――

『更新終了まで 00:01:04
  >更新作業ーーーー中断しました』
 減っていた数字すうじが止まって消えた。
 女神像めがみぞう背中せなか
 はこなかから迅雷ジンライが飛びだし――

 ヴォウォォーゥン、くるくるくるくるん、ザッシュ!
 ――うしろあたまにもどった。

「――いいエ、すべテのデーたベースの更新こうシんは、〝女神めがミ食事しょクじさマたげナい〟ことにもつナがる不文律ふブんりつでス……アクセス作業さギょうジか発見はっケんされなケれば察知さっチさレるこトはアりません――」


「――ギルドちょう相手あいて子供こどもです!」
 受付嬢ルィノの声が聞こえる。
「そんなことを、言っている場合ばあいではない!」

 どかどかどかっ!

 通路つうろのの向こうからあらわれたのは、筋骨隆々きんこつりゅうりゅう甲冑姿かっちゅうすがた
 夜襲やしゅうも掛けられる、にぶいろ甲冑かっちゅう

「(あのくろよろいひとが、ここのギルドちょうみたいだ)」

貴殿きでんが、伝説でんせつ職人しょくにんスキル所持者しょじしゃというのは、本当ほんとうかっ!?」

「――金剛力こんごうりキがつかえナいのが致命的ちめいテきでス。〝神力棒しんりょくボう〟ヲ解放かイほうすレば、一個師団いっこシだん無力化むりょクかすルことが可能かノうでスが、この距離きョりダとギルドの設備せツびでアる女神像めがみゾうこワすこトになります――」

 背後はいご女神像めがみぞう。目のまえには冒険者ぼうけんしゃたちと、そのおさ
 まどもなく、せま通路つうろに逃げ場はない。

「(お手あげか!?)」
 耳栓みみせんごしに迅雷ジンライに、はなしかけるのが精一杯せいいっぱい
「――現状げっbじょう打開だかイすル試案しアん……ありマせん――」
 なにもできない。

「はーい! 不肖ふしょう、カラテェー。逃げもかくれもしませーん!」
 ぼくは観念かんねんして、両手りょうてたかく上げた。
 ごねてシガミーとして連れもどされるよりは、カラテェーとして不手際ふてぎわ謝罪しゃざいした方が被害ひがいがすくないと、おもったからだ。

 スラァァァリ――――ジャキィィィンッ――――ガチャガチャガチャッ――――ブゥォォォォォン、ゴドガッシャン!
 抜きはなたれる、長剣ロングソード大剣グレートソードランス戦斧バトルアックス

「――シガみー、わタしをつかいマすか!?――」
 うしろあたまがふるえる。
 破壊はかいされることのないアーティファクトである迅雷じんらいが、自分じぶん使つかうかと聞いてきた。

 〝七天抜刀根術おれのわざ〟でたたかえって言ってるんだろうが――
「――だめだ。根術おれが〝突き・・〟をはなてば、よろい簡単かんたんとおしちまう」

「(この場は、ルコルにあいだはいってもらうしかない)ルコルー、たすけてー!」
 必至ひっし渾身こんしん大声おおごえを出した。

 すずの音のようなこえしか出ないが、なんとか広間ホールまではとどいたはず。
 領主コントゥルの名を出してもらえば、ひどい事《こと》にもなるまい。

   §

 追いつめた覆面幼女カラテェきぬを裂くような――「ルコルー、たすけてー!」。

 おどろいたギルドちょう抜刀済ばっとうずみ)ならびに冒険者一同ぼうけんしゃいちどう抜刀済ばっとうずみ)が、背後はいごをを振りかえった。
 背後はいごなにもないのを確認かくにんしたギルドちょう冒険者一同ぼうけんしゃいちどう受付嬢ルィノが、ふたた覆面幼女おれほうを向いた。

「(こ、こりゃぁ、どういうこったぁ!? もう神頼かみだのみくれぇしか、手がのこってねぇ!)」
「――シガみー、イま神の名・・・を出しテは事態じタいが、より・・複雑化ふくザつかすルおそれがアり、たいへン危険きケんでス――」

「(よ、ようやく迅雷ジンライクンにも、五百乃大角いおのはら危険性きけんせいが、わ、わかってきたようだね?)」
「――じョ、上位権限じょういケんげんにヨり、ヒ、非公開ひこウかいでス――」

   §

 そのころ、ひとっこひとり居なくなった、詰め所広間ギルドホール

「クカァー、いまなんか聞こえた気がするニャ――むニャむニャ」
「スピィー、むにゃ? なにも聞こえなかったコン。ひますぎてねむいコン――これじゃ深夜の昼寝ノォトノーナノルンコン――むにゃ」

 獣人族じゅうじんぞく二人組ふたりぐみ長椅子ながいすすわったまま、ねごとを言っていた。
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