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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

106:烏天狗(シガミー)、アーティファクト仲介所

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 ――――かしゃん♪
 はこうえ隙間すきまから、いたが飛びだした。

『狐の帽子【くすんだ■■色】
 防御力62。狐型獣人向けの頭部防具。
 伝説の職人による■■がされており、■の■で■■される■がない。
 追加効果/STR+10/ATK+10/VIT+10
 /INT+10/DEF+10/LUK+■■■
 ■■■■/STR30』

「――上級鑑定じょうきゅウかんていおナ機能きノうを持ツ、アーティファクトのようデす。HUDヘッドあップディスプレイ機構きこウが、数世代前すうせだいマえもノでスが――」
 上級鑑定じょうきゅうかんていばこには『非売品ひばいひん備品びひん』のかみが張ってある。

伝説でんせつ職人しょくにんっていうのは本当ほんとニャのね? ニャにこの、すごい数字すうじ……そして最後さいごのが、たぶん装備制限そうびせいげん。これじゃ店長マスターニャミカも、装備そうびできないニャ」
 かたを落とす猫耳娘ニャミカ狐耳ルコル
 帽子ぼうしけんは、わるいコトをしたなあ。

 せめて、なんかあかるい話題わだいを。
「そ、そのはこは、上級鑑定じょうきゅうかんていができるんだね。とても便利べんりだねぇ」

「あ、わかる? わかっちゃうコォン? 王都おうと競売市オークション仕入しいれた一品いっぴんコォン♪」
「ニャフッフゥーン♪ コレが有れば店長マスターがいないときでも、物々交換ぶつぶつこうかんのお仕事しごとができるニャ♪」
 機嫌きげんがなおった……ちょろすぎて、すこし面白おもしろい。
 レイダがふたり居るみたいだ。

物々交換ぶつぶつこうかん?」
「この喫茶店きっさてんは、もののトレード……とくにアーティファクトや魔法具まほうぐ鑑定かんてい仲介ちゅうかいもやってるんだコォン」

「――物々交換ぶつぶつこうかン仲介所ちゅうかイじょとしテも、営業中えいギょうちゅうのようデす――」
 店内てんないをよく見れば点在てんざいするたなのいくつかに、ちいさな看板かんばんが取りつけられている。
 たなには、いろとりどりの――たぶんアーティファクトがおあさめられていて、冊子さっしがぶら下がってた。

 ちかくの冊子さっしをペラペラとめくる。
『〇月〇日出品
 シジル氏型球形栽培魔法具/出品者:スレッドリー
  交換希望/刃物型のアーティファクト
  <受付中><成約済み>』
『〇月×日出品
 トコ山羊自動文鎮/出品者:ジルバーン六世
  交換希望/身につけられる小さな収納魔法具
  <受付中>』

「――いマは『トコ山羊やギ自動文鎮オーとウェイト』が出品しゅっぴンされていルと、いうわケですね……興味きょウみぶかイ――」
 やめろ。収納魔法具しゅうのうまほうぐならいくらでもつくれる迅雷おまえ参加さんかしたら、無茶苦茶むちゃくちゃになるだろ。

 『トコ山羊やぎ自動文鎮オートウェイト』をゆびさして、「これ、さわっても良ーい?」とたずねた。
「いいよいいよ、ぜひお手にとってみてコォン」

「ありがとう」
 そおっとつかんで、ソレをテーブルに置いた。
 金属製つくりもの山羊やぎが、うごくわけもない。

「しゃらあしゃらしてて、ちいさくて……えっと、〝かわいい〟って言うんだっけ?」
「カラテェーちゃん、はいニャ」
 猫耳娘ニャミカが寄こしたのは、ただのかみ
「おいてみてニャ」

 言われたとおりに、テーブルにのせた。
 ――――――――トコトコトコ。
「わ、うごいた!」
 ソコソコおもかった金属製きんぞくせい山羊やぎが、トコトコと旋回せんかいしてかみへ向かってあるきだした。
 トコトコトコ――――ピタリ。

「メェェ~♪」
 山羊やぎかみのうえで止まった。

「へぇー、おもしろいなぁ!」
 これはレイダもリオも、よろこびそうだ。
「まあね。いま出品しゅっぴんされてるのは……まったく実用性じつようせいは無いけど、良いしなばかりだコォン」

 なるほど。〝アーティファクトは趣味しゅみでやるもの〟なんて言われてるのは、こういうことか。
 ほかに変わる道具どうぐすでにあるから、あんまり必要ひつようとはされない。

 けど――上級鑑定じょうきゅうかんていばこみたいに、変わりのない・・・・・・価値かちを知られているものは、競売きょうばいに掛けられるほど高額こうがく取引とりひきされている――と。

 迅雷ジンライも、実際じっさい金剛力こんごうりき裏天狗うらてんぐ女神像めがみぞうとの会話かいわなんかを知られたら――うばわれかねないってことでもある。
「――わタし自分じぶンの身ヲ自分じブんで、まモれますヨ?――」
 それくらい、大事だいじだってことだよ。
「――わタしも、シガみーが大事だイじでス――」
 はいはい、それはありがたいね。

 ぽすん♪
 山羊やぎのうえから、芥子色からしいろものがかぶせられた。
 これは、狐耳ルコル帽子ぼうしだ。

「カラテェは体力増強たいりょくぞうきょうがあるから、われ帽子ぼうし装備そうびできるコォン?」
「そーニャ。カラテェーちゃんニャら、きっと装備そうびできるニャン」
 狐耳ルコルのひと手と猫耳娘ニャミカのネコ手が、どうぞどうぞと押しよせる。

「いやいや、これは大事だいじものなんだろう? 取られたときとかあなを空けたときに、おこられるって大騒おおさわぎしてたじゃ――」

大事だいじ装備品そうびひんを無くしたり、こわしたりしたら――おこられるのは当然とうぜんコォン」
「あたりまえニャ。そして、つかえない装備品そうびひんは――不良在庫デッドストックになるにゃ」

「「というわけで、カラテェにもらって欲しい……コォン」……ニャ」
 あれ、なんかなつかれてる?

「――こノ帽子ぼウし元々もとモと、なかナか良いもノのようデす――」
 とんでもなく幸運こううん特化とっかで、すごいらしい頭防具ぼうし
 たぶん防具店ぼうぐてんで買ったら、いい金額おかねになりそうだし、もらっておくのもわるくないけど――

「「けど、そのかわりにあたまにつけられるものを、なんでもイーからちょうーだい――コォン?」――ニャ?」
 あ、なつかれてるんじゃなくて、商魂しょうこんがたくましいやつだ、コレ。
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