滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

101:烏天狗(シガミー)、4シガミーのはやさ

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 がちゃり、がちゃがちゃぱきん!
 うごかない手甲てっこうと、ささえがない下駄げた

 ぼくはひろったソレを、さっそく手足てあしにつける。
身長しんちょうはほとんど、かわらないな」

 ちかくのいわを、なぐってみる――ガガゴン!
いたくない。かるくて頑丈がんじょうだ」

 くつにつけた下駄げたも、かるくて頑丈がんじょう――ゴパキャ!
 いわが割れた。

「よし。軽業かるわざには向かないけど、なにかを蹴りたおすのには、じゅうぶん使つかえる」

「おぉおぉいぃぃ――――」
 ぼくが落ちたことに気づいた、ルコルが引きかえしてきた。

 コツコツコツ――ルコルのほうあるきだす。
 下駄げたでも、ちゃんとあるける。
 スタタ――――トタタタタ……?
 けど、はしりだした途端とたんに――

「――あれ? からだが……おもい?」
 まるでさびた甲冑かっちゅうを着て、おも荷物にもつ背負せおったような。
 なんだ、このあしのおそさは?
「まさか、もう筋肉痛きんにくつう……けどいたくない?」

「――シガミー。日の本いぜん生活せいかつで、早馬はやうまに乗ったことはありましたか?――」
「(どうしたのきゅうに……うま? なんどか伝令でんれい護衛ごえいをするのに、だれかのうしろに乗ったことがあるな)」

「――では、そのあとうまを下りて自分じぶんあしであるいたときに、おそい・・・とかんじたことは?――」
「(おぼえてないけど、それがコレに・・・関係かんけいあるのかい?)」
 トタタ――トタトタタ――
 どれだけ手足てあしをはやくうごかしても――ぜんぜんまえにすすまない。
 まるでながれがきゅうからを、わたってるみたいだ。

「――はい、その現象げんしょうは〝のう可塑性かそせい〟によるものです――」
「(納涼歌僧失のうりょうかそうせ……わからないよ?)」
「――金剛力こんごうりきのはやさになれたせいで、自分じぶんあしあるくとおそくかんじる・・・・・・。のです――」
「(おそくかんじる・・・・・・・? けど実際じっさい金剛力こんごうりきがないと、ぼくはかなりおそいよね?)」

「――金剛力こんごウりき使用時しヨうじのノ平均時速へいきんじソくは86㎞/hキロパーアワーたいシて生身なまミのシガミーの速度そくドやく22㎞/hキロパーあワーです――」

「(こまかい数字すうじを聞かされても、わからないよ)」
「――いまのシガミーは、四分よんブんいち速度そクどしか出マせん。その状況じょうきょウに あたマがついていかないのデす――」

「(れいの言いかただと、〝4シガミー〟ってことだよね……そう聞くと、それほどじゃない気もしてくるな……金剛力こんごうりき)」
「――そうでスね。では金剛力こんごウりきにかワる――あしを手に入れルというのは?――」

 キュキキキキィィィィィッ――――!
「ごめんごめん、やっぱり二人乗ふたりのるのは無理むりがあったコォン」
 ギルドの椅子いすと、まるでおなじかたちの――魔法まほうつえ

「――アレなど手頃てゴろでハ、ありまセんか?――」
 アレはだめだ。
 あんな面白おもしろいもんに乗ってたら――かならずレイダにあわわれる。

 ゴツリ。岩土《いわつち》を下駄げた小突こづく。
「このかたつちっていうか、いわみたいな地面じめんを――はやくうごく乗りもの?」
 ゴツリ。そびえ立つ断崖絶壁だんがいぜっぺきを、駆けおりた一本歯いっぽんばの――

「――下駄げたの歯をよこにするアレなら・・・・――どうかな?」

 ぼくが椅子いすの背もたれをつかんで、からだを引っぱってもらうのだ。
「じゃぁ、いくコォン」
 ゴザザザザァ――――!

 こしをひねってよこにした下駄げたの歯。
 馬車ばしゃわだちみたいなあともつけずに――地面じめんをすべりだした。
 少しザザザーって引っかかるけど、そびえ立つ断崖絶壁だんがいぜっぺき全速力ぜんそくりょくで駆けおりるのを考えたら、ぜんぜん平気へいきだった。

   §

段差だんさになった……さきに……生えた木……」
 ここはたまご地図ちずに描かれたちいさなもり

「これかな?」
 狐耳ルコルを振りかえり、ぺちりとふとみきをたたく。

「うん、そのひだりに伸びた太枝ふとえだの、付け根あたりに巣があるコォン」
 少年しょうねんは、1パケタの地図ちずかぜに飛ばされないように、しっかりとつかんでいる。

 ガシリ、ガシリ!
 手甲てっこうについたかぎつめは、樹皮じゅひをしっかりとつかむことができた。
 ごん、ごごん、ごん!
 下駄げたの歯も突きたてると、木をのぼるのは簡単かんたんだった。

「よっと、あった!」
 えだに飛び乗ると、ぼくとルコルが、ごろ寝できるくらいのおおきな巣があった。

「(迅雷ジンライ、このたまご収納しゅうのうできるか?」
「――そうデすね、また落とシたら大変たイへんですかラね――」
 ヴ――すぽん♪

「おおきなたまごを、ひとつ回収かいしゅうしたよ」
 くるくる、すたん♪

「ココまでは順調じゅんちょうにいくのさ……問題もんだいはさ、このあとなんだコォン」

 上空うえ見上みあげると――――いた。

 クケケケェェェェェェェェッ――――――――!
 クケケケェェェェェェェェッ――――――――!

 四匹よんひき二首大鷲ふたくびおおわし
 つまり、八首やくび大鷲おおわしが、急降下きゅうこうか

 ガチガチガチガチガチガチガチガチ――――!
「うぉわっ――!?」
「コォォン――!」
 たしかにこの頭数の多さ・・・・・じゃ、さばききれない。
 ぼくたちは、岩土じめんにふせた。

われ帽子ぼうしがぁ――――!?」
 ゴッォウ――ばさばさばさっ――ルコルのつば付きの帽子ぼうしが、さらわれた!
 ん、大事だいじものなのか――ひっしだな?

「ぼ、帽子ぼうしをなくしただなんて知られたら――折檻せっかんされちゃうコォン!?」
 あのおびえよう……〝かぁふぇ〟の給仕きゅうじは――姫さんリカルル並みにこわいらしい。

 ヴッ――じゃりぃん♪
 ゴッゴッガッガンッ――――下駄げたの歯でかたい岩土いわつちをはしる。
 ぬぉりゃぁ――――(2秒)!
 定めなくても・・・・・・、あのおおきなまとうしろからねらうなら――はずさない。

 ごっひゅぅん――――かるく投げただけだから、あとから吹き飛ぶヤツ・・・・・・・・・・は出ない――――ばごん!
「ギャケッ――――!」

 フッ――じゃりぃん♪
 もどった錫杖しゃくじょうと、遅延回収かいしゅうしたものを取りだす。
 どさどさごろん――ぱさり。

「ほら、取りかえせたよ」
 回収かいしゅうしたものの中から、帽子ぼうしをひろってわたしてやる。

「あ、ありがとう――――コォン!?」
「ありゃりゃ、おっきなあながあいちゃったね……ごめんね?」
「――――コォン!?」
 帽子ぼうしにあいたあなの向こうから、コッチを見つめる貴族さまルコル
 そのつぶらなひとみから、なみだがこぼれた。

 装備品そうびひんきびしい……〝かぁふぇ〟の給仕きゅうじは――白いのリオレイニアみたいにしずかなこわさを秘めているのかもしれない。
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