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1:輪廻転生、おいでませガムラン町
87:猪蟹屋店主(シガミー)、鑑定スキルのつかいかた
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「昨年のコントゥル領の、年間予算の10%に匹敵しますが……」
リオレイニアが仮面に手をそえ、木箱の中をじっと見た。
やがて、チーンというかるい鐘の音。
ギュギュギュギュギュッィィィイィン――――ギュギュギュギュギュギュギュギュュィィィィィィンッ!
眼鏡がうなりを上げて、チーン♪
やっぱり、なんか鐘の音がなった。
「うむ。昨年の冒険者ギルドの歳費と、ほぼ同額ですねぇ」
ふたりとも、顔にくっつけたやつで、みられるんじゃねぇーか。
「(ううん、つかったのは〝鑑定〟スキルよ。メイドちゃんにわ〝魅了の神眼〟に含まれてるわね……中級だけど。そしてギルド長さんわぁ〝上級鑑定〟を持ってるっぽい、すごぉい♪」
ん、おれぁたしか上級鑑定とったよな――あれ?
じゃあなんでギルド長は、わざわざ迅雷に聞きにきたんでぃ?
「(そこなのよねぇ~♪ このアイテムはこの世界で、おそらくはじめて発見されたお宝なのよっ♪)」
はじめて?
――だから、そういうときにこそ鑑定をつかうもんじゃねぇの?
「ふっふぅーん。発見例が無いものは、正確な名前を知らないと、いっさい鑑定できないのよねぇ~♪」
あーーーーーーぁ、いまわかるようになったのは、おれが名前を教えたからかっ!
「(ご明察っ……けど、シガミーは本当に――戦国時代の人間とは思えないわね。なにその理解力、すごぉい♪)」
「(おれぁ坊主だからな、多少の知恵はまわるぜ)」
迅雷や女神さんにゃ、及びもつかねぇが。
「(うふふのふ♪ 上級鑑定があれば、市場価格や正確な名前だけじゃなくて、物のくわしい情報もわかって便利よん)」
「(鑑定てのは、どうやるんだ?)」
「(ただ、見れば良いのよ――「これはいくらするのかなー」って考えながら。そーすると〝チーン♪〟って音が鳴るわ)」
さっきみてぇな鐘の音わぁ、はじめて聞いたぜ?
「(えぇーっと……上級鑑定につく機能で、だれかが近くで鑑定をつかった時に、音が鳴るって……書いてあるわね)」
まさか五百乃大角――まだ虎の巻持ってんのか?
「(あるわよ。バージョンアップまえの初版だけど……)」
馬鯵四……諸般? 迅雷が居ねぇと、さすがにわからねぇか。
「(だいじょーぶよ。ちょっと古いだけで、ぜんぜん同じだからぁー……じゃあねぇー、攻略本……虎の巻の情報わぁ――おいしいごはんと交換で、どーぉう?)」
「(おう、つかえるならそれでいい。なんとか、うまい飯が食えるようになったら、またなんか教えてくれ)」
よぉーし。おれも〝鑑定〟スキルをつかうぜ。
えーっと、こいつわぁ、いくらするってぇんだぁ――――木箱を見た。
「きゃっ――な、なんで急に、そんな悪い顔をしているのですか……シガミー?」
おれはただ、「しめしめ、こいつぁーいくらになるってぇんだぁー? ぐぅぇへへへっ」って考えただけだぜ?
チーン♪
どこかで鐘の音がなった。
びーどろの中。
並んだ和菓子が、隅によけられ――
ふぉん♪
『マナ宝石【超特選】/
非常に希少かつ巨大な、活力の塊。
女神像を凌駕するほどの活力を、蓄えている。
価格/31500000パケタ』
迅雷のとはすこしちがうが、なんかでた。
鑑定スキルのつかい方がわかった。
迅雷に聞けねぇときは、これで調べられる。
「しかし、すげぇなあ。おれなら何百年も食っていけるぜー♪」
「どうやらこれは、女神像に使われている〝神力結晶〟に似た物のようですね。ただ、その直径が10倍以上もある、希少な物です。テェーング殿に確認はするが、このまま御神体として奉ることも視野にいれたいと思います」
ギュギギュギューィィン――――ギュギュィィィィーーーーンッ!
「それなら有効な使いみちが見つかるまでの間、観光資源にもなりますね」
ひとまずは、御神体を見せ物にするって……わけだな。
§
トントントトトンッ♪
かちゃかちゃかちゃ♪
じゅわわぁー、かたたん♪
腹の虫がなったおれのために、リオが飯をつくってくれている。
迅雷は、まだ考えの最中だ。
ころがる梅干し。
この梅干しは外にだしても、せいぜい五分で消えちまう。
「(おい、梅干し。そこで、食材を取りだせるか?)」
「えぇ-、これぇー? あ、出せた。おもしろーいぃ♪」
梅干しの横に和菓子が、何個かならんだ。
これが肉で、こっちが野菜か?
おい、このやさいなら生でも食えるだろ?
「(その緑のやつ、ちょっと囓ってみろ)」
「(えー、生野菜あんまりー、好きくないよ?)」
好き嫌いをするんじゃねーよ。
「(いーから、ためしだ。囓れ!)」
「(がぶり――まずい、まずい)……もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ、ごくん……(まずい!)」
まずいのはわかった。
うまい飯を食わねえとだめなんだから、やっぱり料理をしねぇとだめか。
「(じゃこんどは、そこにある道具をつかって、肉を切ってみろ」
切って焼くだけでも、うまい飯は食える。
そうすりゃ――おまえもこの世も、ガムラン町のみんなも、一生安泰だろ?
机をびーどろの空いた所において、まな板をのせる。
肉の塊の中から、米粒大のひとつをとりだす。
小さすぎておれには見えねえが、包丁を振りまわす梅干し。
「(切れた!)」
よし。
「(五百乃大角は、魔法はつかえるのか?)」
「(つかえるわよ。生活魔法もつかえるし、ひとつだけど高位の土魔法もつかえるもんねぇ~♪)」
梅干しが、鍋に手をかざす。
「(ひのたま! あれ、でないよ?)」
出ねえじゃねーか……まあむりか。
じゃあ出来てる飯を、格納すりゃ良いってこったな。
§
「おまちどうさま。できましたよ、シガミー」
ギルド長は、レイダと夕飯を食べるからと、かえっていった。
〝マナ宝石〟はひとまず、ギルドの地下金庫に保管するらしい。
天狗にあったら、どうしたいか聞いておいてくれと頼まれた。
「よいしょ」
机がわりの木箱。並べられる、ふたりぶんの皿。
リオレイニアが作ってくれたのは、魚と野菜を焼いて塩をふっただけの料理だ。
迅雷、考えてる所わるいが一皿、格納してくれ。
ヴッ――すぽん♪
梅干しが、焼き魚の和菓子に飛びついた。
焼き魚には『New』がくっ付いてるが、おれにはわからねえ。
『New』ごと食らいつく、美の女神(梅干し大)。
「どうだ、うめぇか?」
リオレイニアの料理の腕はたしかで、ただ塩をふっただけの料理でも十分、女神の舌をうならせるはず。
リオレイニアが仮面に手をそえ、木箱の中をじっと見た。
やがて、チーンというかるい鐘の音。
ギュギュギュギュギュッィィィイィン――――ギュギュギュギュギュギュギュギュュィィィィィィンッ!
眼鏡がうなりを上げて、チーン♪
やっぱり、なんか鐘の音がなった。
「うむ。昨年の冒険者ギルドの歳費と、ほぼ同額ですねぇ」
ふたりとも、顔にくっつけたやつで、みられるんじゃねぇーか。
「(ううん、つかったのは〝鑑定〟スキルよ。メイドちゃんにわ〝魅了の神眼〟に含まれてるわね……中級だけど。そしてギルド長さんわぁ〝上級鑑定〟を持ってるっぽい、すごぉい♪」
ん、おれぁたしか上級鑑定とったよな――あれ?
じゃあなんでギルド長は、わざわざ迅雷に聞きにきたんでぃ?
「(そこなのよねぇ~♪ このアイテムはこの世界で、おそらくはじめて発見されたお宝なのよっ♪)」
はじめて?
――だから、そういうときにこそ鑑定をつかうもんじゃねぇの?
「ふっふぅーん。発見例が無いものは、正確な名前を知らないと、いっさい鑑定できないのよねぇ~♪」
あーーーーーーぁ、いまわかるようになったのは、おれが名前を教えたからかっ!
「(ご明察っ……けど、シガミーは本当に――戦国時代の人間とは思えないわね。なにその理解力、すごぉい♪)」
「(おれぁ坊主だからな、多少の知恵はまわるぜ)」
迅雷や女神さんにゃ、及びもつかねぇが。
「(うふふのふ♪ 上級鑑定があれば、市場価格や正確な名前だけじゃなくて、物のくわしい情報もわかって便利よん)」
「(鑑定てのは、どうやるんだ?)」
「(ただ、見れば良いのよ――「これはいくらするのかなー」って考えながら。そーすると〝チーン♪〟って音が鳴るわ)」
さっきみてぇな鐘の音わぁ、はじめて聞いたぜ?
「(えぇーっと……上級鑑定につく機能で、だれかが近くで鑑定をつかった時に、音が鳴るって……書いてあるわね)」
まさか五百乃大角――まだ虎の巻持ってんのか?
「(あるわよ。バージョンアップまえの初版だけど……)」
馬鯵四……諸般? 迅雷が居ねぇと、さすがにわからねぇか。
「(だいじょーぶよ。ちょっと古いだけで、ぜんぜん同じだからぁー……じゃあねぇー、攻略本……虎の巻の情報わぁ――おいしいごはんと交換で、どーぉう?)」
「(おう、つかえるならそれでいい。なんとか、うまい飯が食えるようになったら、またなんか教えてくれ)」
よぉーし。おれも〝鑑定〟スキルをつかうぜ。
えーっと、こいつわぁ、いくらするってぇんだぁ――――木箱を見た。
「きゃっ――な、なんで急に、そんな悪い顔をしているのですか……シガミー?」
おれはただ、「しめしめ、こいつぁーいくらになるってぇんだぁー? ぐぅぇへへへっ」って考えただけだぜ?
チーン♪
どこかで鐘の音がなった。
びーどろの中。
並んだ和菓子が、隅によけられ――
ふぉん♪
『マナ宝石【超特選】/
非常に希少かつ巨大な、活力の塊。
女神像を凌駕するほどの活力を、蓄えている。
価格/31500000パケタ』
迅雷のとはすこしちがうが、なんかでた。
鑑定スキルのつかい方がわかった。
迅雷に聞けねぇときは、これで調べられる。
「しかし、すげぇなあ。おれなら何百年も食っていけるぜー♪」
「どうやらこれは、女神像に使われている〝神力結晶〟に似た物のようですね。ただ、その直径が10倍以上もある、希少な物です。テェーング殿に確認はするが、このまま御神体として奉ることも視野にいれたいと思います」
ギュギギュギューィィン――――ギュギュィィィィーーーーンッ!
「それなら有効な使いみちが見つかるまでの間、観光資源にもなりますね」
ひとまずは、御神体を見せ物にするって……わけだな。
§
トントントトトンッ♪
かちゃかちゃかちゃ♪
じゅわわぁー、かたたん♪
腹の虫がなったおれのために、リオが飯をつくってくれている。
迅雷は、まだ考えの最中だ。
ころがる梅干し。
この梅干しは外にだしても、せいぜい五分で消えちまう。
「(おい、梅干し。そこで、食材を取りだせるか?)」
「えぇ-、これぇー? あ、出せた。おもしろーいぃ♪」
梅干しの横に和菓子が、何個かならんだ。
これが肉で、こっちが野菜か?
おい、このやさいなら生でも食えるだろ?
「(その緑のやつ、ちょっと囓ってみろ)」
「(えー、生野菜あんまりー、好きくないよ?)」
好き嫌いをするんじゃねーよ。
「(いーから、ためしだ。囓れ!)」
「(がぶり――まずい、まずい)……もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ、ごくん……(まずい!)」
まずいのはわかった。
うまい飯を食わねえとだめなんだから、やっぱり料理をしねぇとだめか。
「(じゃこんどは、そこにある道具をつかって、肉を切ってみろ」
切って焼くだけでも、うまい飯は食える。
そうすりゃ――おまえもこの世も、ガムラン町のみんなも、一生安泰だろ?
机をびーどろの空いた所において、まな板をのせる。
肉の塊の中から、米粒大のひとつをとりだす。
小さすぎておれには見えねえが、包丁を振りまわす梅干し。
「(切れた!)」
よし。
「(五百乃大角は、魔法はつかえるのか?)」
「(つかえるわよ。生活魔法もつかえるし、ひとつだけど高位の土魔法もつかえるもんねぇ~♪)」
梅干しが、鍋に手をかざす。
「(ひのたま! あれ、でないよ?)」
出ねえじゃねーか……まあむりか。
じゃあ出来てる飯を、格納すりゃ良いってこったな。
§
「おまちどうさま。できましたよ、シガミー」
ギルド長は、レイダと夕飯を食べるからと、かえっていった。
〝マナ宝石〟はひとまず、ギルドの地下金庫に保管するらしい。
天狗にあったら、どうしたいか聞いておいてくれと頼まれた。
「よいしょ」
机がわりの木箱。並べられる、ふたりぶんの皿。
リオレイニアが作ってくれたのは、魚と野菜を焼いて塩をふっただけの料理だ。
迅雷、考えてる所わるいが一皿、格納してくれ。
ヴッ――すぽん♪
梅干しが、焼き魚の和菓子に飛びついた。
焼き魚には『New』がくっ付いてるが、おれにはわからねえ。
『New』ごと食らいつく、美の女神(梅干し大)。
「どうだ、うめぇか?」
リオレイニアの料理の腕はたしかで、ただ塩をふっただけの料理でも十分、女神の舌をうならせるはず。
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