上 下
78 / 735
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

78:天狗(シガミー)、スキルおばけシガミー

しおりを挟む
「シガミーは異常発生いじょうはっせいしたゴーブリンの群れを、26分前ぷんまえ殲滅せんめつしました。そのコンボボーナスと殲滅せんめつ貢献こうけんボーナスで46よんまんろくせん557ごひゃくごじゅうななポイントのSPスキルポイント獲得かくとくしています。」

 おれからがれた迅雷ジンライが、女神いおのはら説明せつめーに行く。
 かみさんがそばにいるから、ちょっとくれぇ金剛力こんごうりきいちまってもかまわねーが。
 ただ迅雷おまえソレ・・おれも初耳はつみみだぞ。

 ぶったおれてまで、小鬼こおにのほとんどをたおしたかい・・があったのはいいが――女神かみさんよか〝なんたら・・・・〟がおおいってのは、やべえんじゃねーか?
 ごそごそ――銀板カードをひっぱりだす。

『シガミー LV:22
 薬草師★★★★★ /状態異常無効/生産数最大/女神に加護/七天抜刀根術免許皆伝
 追加スキル /遅延回収/自動回収
 ――所属:シガミー御一行様』

 いつのまにかLVレベルがすこしがってたが、別段べつだんかわってねえ。
 ふう、おどかすんじゃねえぜ、まったく。

 おれはガムランちょうでおもしろおかしく、猪蟹屋ししがにやをやるって決めたんでな。
 あんまり悪目立わるめだちするわけには、いかねえんだよ。
 リオレイニアとならんでも恥ずかしくねぇくらいにはLVレベルを上げる予定よていだが、それはいそがなくても良い。

   §

「ふーん、スキルのかず種類しゅるいひと優劣ゆうれつかならず決まるわけじゃないから、ぜんぜんまったくこれっぽちも気にすることないわよ。もー、シガミーはきもたまがちっさいわねぇー♪」

「そうですね。シガミーには、そういう所・・・・・がありますね。」
 そういう所・・・・・ってのはどういう所・・・・・だぁ、やい迅雷ジンライてめぇ。

「けど、あたしは美を体現たいげんする――このかりからだになんの不満ふまんもないから、そんなにスキル取ってないけど――シガミーは、いまなんのスキルを持ってるの?」
 不満ふまんがねえ? その下っ腹いおのはらはいいのか?

 ――――ひゅひゅんっ♪
 ずざっ――――あっぶねぇー!
 めしを食うための小刀こがたなが、眉間みけんをかすめた!

 いくらLVレベルが上がっても、金剛力こんごうりきがなけりゃ、おれはただの子供ガキだ。
 こころを読むかみさんの相手あいてをするときには、細心さいしん注意ちゅういをはらわねえと――死ぬ。

 りんぴょうとうしゃ女神めがみ
 かいじんれつざい五百乃大角いおのはら

「よっと」
 とんでった小刀こがたなを――すぽん。
 突き刺さった枯れ木から、ひっこぬく。

「まあ、女神かみさん問題もんだいねえって言うなら……気にしなくても良いか」
 〝なんたら〟……えーっと〝スキルポイント〟とかいうのは、あとでゆっくりかんがえて使つかえばいいだろ。

「シガミーが、いま収得しゅうとくしている追加ついかスキルは、〝遅延回収ちえんかいしゅう〟と〝自動回収じどうかいしゅう〟です。」

「んぇ!? それしかスキル取ってないのに、ゴーブリンの異常発生いじょうはっせい単身ソロで食い止めるって――――それどんなチート……あ、まさか開発キットエスディーケー使つかった? ひょっとして使つかっちゃった!?」
 あわてた様子ようす光る板びーどろを、何枚なんまいも引っ張りだす――女神めがみ

 む? 酢蛸すだぁーこ使つかっちゃいかんのか?
使用許可しようきょかは出ています。なんの問題もんだいもありません。」

「えーっと、量子演算りょうしえんざん単位レートわぁー? 14っかと17にち……大丈夫おっけー日本円にほんえんで30えんくらいなら、バンバン使ってかまわないわぁよぉー♪」
 光る板びーどろには、魔物まものHPいのちMPまなみてぇな、『ぼう』がいくつもあらわれては消えていく。

 使つかっても良いんだな?
「はい。問題もんだいありません。」
 ひと安心あんしんだぜ――酢蛸すだぁーこは、猪蟹屋ししがにやの売りもんをつくるのに居るからな。

「けどあきれるわね~。ほとんどなにも取ってない状態じょうたいで、こんなもりふかくまで来るなんて。〝女神めがみ加護かご〟も万能ばんのうじゃないんだからね!」
 バカなの? シガミーも迅雷ジンライもおバカなの?
 なんか、〝はぁーやれやれ、まったくもー、しょうがないわねー〟っていうかおつき。

「じゃ、いますぐ、〝即死回避そくしかいひ〟と〝自動回復じどうかいふく〟と〝体力増強たいりょくぞうきょう〟と〝上級鑑定じょうきゅうかんてい〟と〝薬物耐性やくぶつたいせい〟と〝毒物耐性どくぶつたいせい〟を取って! あと〝自爆耐性じばくたいせい〟と〝上級解体じょうきゅうかいたい〟もっ!」

 はなしはそれからよ、とすごまれたので、スキルポイントなんたらをつかって、言われたやつを全部ぜんぶ取った。

 薬草師やくそうしに〝状態異常無効じょうたいいじょうむこう〟てのがもとからあるから、〝薬物耐性やくぶつたいせい〟と〝毒物耐性どくぶつたいせい〟は取れなかった。
 よくわからんが、使つかったSPなんたらはぜんぶで106。

のこりのスキルポイントは46よんまんろくせん500ごひゃくになりました。」
 まるで減らねぇーじゃねぇか。

「もう、銀板カードに書き切れねえぞ?」
 スキルのかずだけなら、リオレイニアとおなじくれえだ。

ゆびで〝追加ついかスキル〟のところを、押してみてください。」
 ぺたり――ふぉふぉふぉふぉん♪
 銀板カードから光の板びーどろが生えた。
 いまおれは迅雷かんざしをうしろあたまに刺してねぇから、こいつはだれにでも見えるやつらしい。

 いちばんうえれつだけが埋まってて、したにはかられつ何十行なんじゅうぎょうもある。

「いくらでも取れんだな……けどこれじゃ駄目だめだ。持ってるやつをかくことができねぇんじゃ……」
 レイダとリオレイニアになら、見られてもかまわねぇが。

「えーっと、ソレはぁ~……ペラペラペラッ……あった! 〝スキル隠蔽いんぺい〟で、ちゃーんとスキルをか・く・せ・ま・すぅー! シガミーはおくれてるなぁー♪」
  なんか、〝はぁーやれやれ、まったくもー、そぉんなことも知らないなんてぇー〟っていうかおつき。

 五百乃大角おめえさまだって、そのとらまきみてぇのをペラペラめくって、言ってるだけじゃねーかよ。

「え? なんか言った? あと〝LV詐称レベルさしょう〟でLVレベルをごまかせて、〝人名詐称じんめいさしょう〟で名前なまえもごまかせるんだけど、シガミーにはこれ以上いじょうわぁーお・し・え・て・あ・げ・ま・っせぇ~ん♪」

 おい、美の女神いおのはらをむいて、したをだすな。
 迅雷ジンライ――いまのスキルやつ全部取ぜんぶとっとけ。すぐ必要ひつようになる。

「ん? なんか言った!?」
 ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅんっ――――トストストストス、ストトトトトタタタタッ!

 空中ちゅうにあらわれた無数むすうの、一本箸いっぽんばし小刀こがたな
 それがテーブル次々つぎつぎと、突き刺さる。
 収納魔法具うりもん中身なかみを出すんじゃねーよ。
 かたづけんの大変てーへんだろうが。

 ぐっきゅるるるるるるるるりゅりゅりゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ――――――――ぐぅわぁおぉぉぉっぅぅぅぅっ――――!
 間髪はつをいれずにとどろくのは、化けウサギの雷鳴らいめいじゃなく――――はらむしか!?

 やべぇ! 五百乃大角いおのはらはらのなかに、白虎びゃっこでも飼ってやがるぜ!

「もぉー、むり! おなかいた! これ以上いじょうたせるなら――――べつあたしいワールドつくって、ごはん食べるっ!」
 輪或弩わあるどってのは、たしか天地あめつちのことだ――こりゃほんとうにやべぇ!?

 美の女神こいつはやっぱり、中身なかみ子供ガキだ。

「わ、わるかった! あとすこし待てっ! あのまるまるふとったおおウサギを、おれが取ってきてやるからっ!」

ーーー
あめつち/天地。宇宙。世界のこと。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アシュレイの桜

梨香
ファンタジー
『魔法学校の落ちこぼれ』のフィンの祖先、アシュレイの物語。  流行り病で両親を亡くしたアシュレイは山裾のマディソン村の祖父母に引き取られる。  ある冬、祖母が病に罹り、アシュレイは山に薬草を取りに行き、年老いた竜から卵を託される。  この竜の卵を孵す為にアシュレイは魔法使いの道を歩んでいく。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

中二病ドラゴンさんは暗黒破壊神になりたい

禎祥
ファンタジー
俺様は暗黒破壊神ルッスクーリタ! え? 何で笑うの? 高校生活第一日目にして「中二病乙w」なんて笑われ避けられボッチな俺様。暗黒破壊神は孤高で高貴な存在なのだ! だから友達……コホン、下僕など要らんのだ! なんて一匹狼を気取っていた俺様。 ある朝気づけばドラゴンになっていた――おおおおっ! 俺様、格好いいではないか! やはりドラゴンに生まれたからには、最強を目指さねばなっ!! そんでもって、今度こそ本当の暗黒破壊神に……え? 暗黒破壊神もういるの? 誰だそいつは!? 俺様を差し置いて暗黒破壊神を名乗るなど、許せん!! 俺様こそ真の暗黒破壊神! 偽物の暗黒破壊神など俺様が倒してやる! ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 中二病気取りの転生者が織りなす痛い系コメディです。ニヤっと笑っていただけたら嬉しいです。 最初からグロ表現あるので耐性のない方は回れ右して下さい。 二話目に挿入したイラストは皆鈴さん(Twitter→@minarin_narou)さんが描いてくださいましたヾ(=゚ω゚=)ノシ

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

ごはん食べよっ!

久保 倫
ファンタジー
 ガルブレイス伯爵家の新当主デクスターは、爵位継承後に真っ先に、ウィンスレット伯爵家の女当主、ヴィヴィアンとの婚約破棄に赴く。  婚約破棄を告げられたヴィヴィアンの第一声は……。

処理中です...