滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
64 / 740
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

64:シガミー(元破戒僧)、救出クエスト開始

しおりを挟む
緊急きんきゅうコールも、伝令でんれいもまだない!」
 ギルドの制服せいふくを着たヤツが、大声おおごえを張りあげる。

 魔物境界線まものきょうかいせん手前てまえ
 先鋒せんぽうとりで到着とうちゃくすると、よこすはずの連絡れんらくがねえらしい。

 がやがやがや、どやどやどや、ざわざわざわ。
 ここは冒険者ぼうけんしゃギルド一階いっかい

「レイダ、うえいくぞ!」
 どたどた、はい、ちょいとごめんなすってよ!
 ごめんなさぁい、とおりま――むぎゅ!

 冒険者ぼうけんしゃれにみこまれたレイダを、つかんで引っぱりだした。
 がやどやざわわ、がやどやざわわ。
 一度いちどあつまると、冒険者ぼうけんしゃってのはこんなに沢山たくさんいたんだな。
 こりゃだめだ。

「つかまってろ!」
 はしらあがり、あかりの魔法具まぼうぐにとびつく。
 レイダを背中せなかにぶら下げたおれは――よっはっとぉっ!

 むぎゅ、むぎゅ、どかり――すたっ!
 うぉ!? きゃぁ!? って――!

「ガキども、なにしやがるっ!?」
 できるだけ背負せおってるものや、かたなんかをんだつもりだったが。
 あまりにもちょうどたかさにあったもんだから、おっさんのあたまんづけちまった。

「わりい! おれは『猪蟹屋ししがにや』のシガミーだ。みせにきたらけてやるから、勘弁かんべんしてくれ~!」
 ごめぇんなさぁいぃ――――

「ししがにゃー?」
「ししがにゃーって、あの……」
「リオレイニアが店番みせばんしてる……」

 レイダのさけごえ喧噪けんそうに、かき消された。
 おれたちは掲示板けいじばんよこの、ドアにけこむ。

「まてこらぁ――いねえ!?」
 どこいったぁ――!?
 なんか聞こえるが、いまはそれどころじゃねえ!

   §

迅雷ジンライ――レイダのおめしり」――ごちん!
 ってーな、あたまなぐるんじゃねー!

「――ご立派りっぱさま」――ごちん!
 ……さっきの冒険者おっさんのおいかりは、ごもっともだぜ。
 もし来たときゃ盛大せいだいに、もてなしてやらねえと。
 リオに茶菓子ちゃがしも、だしてもらおう。

「よっと――――!」
 冒険者ぼうけんしゃギルドの建物たてものは、通路つうろがひろくつくられてる。
 けどそれは、冒険者ぼうけんしゃのでけぇたて武器ぶきを、とおすためだ。

 せまくきゅう階段かいだんを、一気いっきにのぼっていくが――
 ブブブブッキャチャギシシッ――カチャキャチャギュシリ!?

 背負せおってたレイダごと・・・・・巻きついちまったから、金剛力こんごうりき全力ぜんりょくを出せねえ!

迅雷ジンライ――これでどうだ!?」
 レイダのしりをつかんで、持ちあげる。

「っきゃふぁ~~!?」
「な、なんてこえ、出しやがんだ! ええい――」
 両手りょうてしっかりつかんで・・・・・・・・、ひきよせた。

「っにぅ~~!?」
 カチャキャチャギュシリ――ギュシリッキャチャカチャキャチャ――ぱしゃん!

 よし入った(レイダのしりが)!
 ――――ストトォン!

「もーばか! シガミーのばかーっ!!」
 うるっせー!
 遭難そうなんはわかったときに、すぐうごかねえと、まずたすからねえもんだ。

「がまんしてくれっ!」
 キュキュギシッ――――ストトォン!
 キュキュギシッ――――ストトォン!
 キュキュギシッ――――ストトォン!

 最上階てっぺんまで来たぞ――避雷針ひらいしん交換こうかんでとおりなれたみちだ――あしめない。
 空中《ちゅう》でドアを開け、うしろ手にじ、あしをつく。

 長いはしごを一歩いっぽでとびあがると、避雷針ひらいしん交換こうかんのための足場あしばがある。

 ひらいた出入り口まどからそとを、ながめていたのは――――

「おとうさん!?」
「ギルド長!?ちょう
「(考えることは、同じようですね)」

   §

ひめさんに、なんかあったのか?」
 あいたまどこう。

 とおくの稜線りょうせんの、すこししたのあたり。
 なんかの建物たてものらしいのが、米粒こめつぶよりもちいさく見えている。
 このからだは、目までいいぜ。
 もとからわるくはなかったが、まえよりとおくまで見通みとおせる。

「まだわかりませんが、魔物まもののうごきに急激きゅうげき変化へんかがあったのは、まちがいないでしょう」
 眼鏡めがねの〝つまみ〟が――うごいてねえ。

「シガミィー」
「なんでぇ、そんなよわっちろいこえだすなってんだ」
 不安ふあんそうな子供こどもに、言ってやることなんざひとつしかねえ。

大丈夫だいじょうぶだ。ガムランちょうには冒険者ぼうけんしゃたばねる優秀ゆうしゅう軍師ぐんしる――な、そうだろ――――えっと小豆あずき……?」

「レムぞー・クエーサーでス、シガみー」
 そうだった。そういやレイダには家名かめいがあるのすら、わすれてたぜ。

「そうだ、そんなだった。事態じたい一刻いっこくをあらそうぞ、なんか言えレムゾー・クエーサー!」

「は、はい、そうですね。おどろいてばかりもいられません。伯爵はくしゃく到着とうちゃくするまではわたし指揮しきります。まずは先遣隊せんけんたい明朝みょうちょう出立しゅったつさせますので、迅雷ジンライ殿どのにもお知恵ちえをおしいただきたく!」
 ギュギュギュィィィィッ――――ギュギュィィィィーーーーーーンッ!

 よし、調子ちょうしもどったな。
 もういちど、米粒とりでをみる。
 ちかちかちか――目のはしがひかり――おおわわれる視界めのまえ

 ヴュゥゥィィーー♪
 迅雷びーどろとおくをちかくに見せる。
 やっぱり狼煙のろしはあがってねえ。

「(これ以上いじょうは、光学こうがく補正ほせいできません。ひとつきあれば、つきまで見通みとおすことが可能かのうになりますが――)」

「(そんなには待てん!)」

   §

 シガミーてい深夜しんや
 アーティファクトの充電台だいから、角張かくばった神力棒ぼうを引きぬく。

「(シガミー、もどりました)」
「(ようし、準備じゅんびはできてるぜ)」

 大机テーブルにならべたのは、
 食材用しょくざいよう収納魔法具しゅうのうまほうぐが120個。
 魔法粥まほうがゆ収納魔法具しゅうのうまほうぐが34個。
 猪蟹屋ししがにやとの、二往復におうふくでもって来た全部ぜんぶを――

 ヴヴヴッ♪
 一呑ひとのみで迅雷ジンライ格納するしまいこむ

 ヴヴッ――――ぱし、ぱしん♪
 両手りょうて錫杖しゃくじょう小太刀こだち展開だす――錫杖しゃくじょうがじゃりんと鳴る。

「(よし、そっちに抜かりはねえな?)」
 得物えものはすぐ格納しまう――――カシュカシュ、すぽん!
「(はい、シガミー)」

 ぼろぼろの外套がいとうのうえから、くろあみをまとった。
 これで、つきが出ても、おれの姿すがたやみにまぎれる。


 ふぉふぉふぉふぉぉぉん♪
『遠征部隊を救出せよ!
 達成条件【リカルル・リ・コントゥル】の生還。
 救出クエスト開始 残り時間 03:19:59』
 ――――ごっわぁあぁあぁあぁあぁあぁん♪

 うるっせえ。今日きょう御囃子おはやしはなしだ。
 了解りょうかいしました、シガミー。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

スター・スフィア-異世界冒険はお喋り宝石と共に-

黒河ハル
ファンタジー
——1つの星に1つの世界、1つの宙《そら》に無数の冒険—— 帰り道に拾った蒼い石がなんか光りだして、なんか異世界に飛ばされた…。 しかもその石、喋るし、消えるし、食べるしでもう意味わからん! そんな俺の気持ちなどおかまいなしに、突然黒いドラゴンが襲ってきて—— 不思議な力を持った宝石たちを巡る、異世界『転移』物語! 星の命運を掛けた壮大なSFファンタジー!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

END-GAME【日常生活編】

孤高
ファンタジー
この作品は本編の中に書かれていない日常を書いてみました。どうぞご覧ください 本編もよろしくです! 毎日朝7時 夜7時に投稿

野花を憑かせて〜Reverse〜

野花マリオ
ホラー
怪談ミュージカル劇場の始まり。 主人公音野歌郎は愛する彼女に振り向かせるために野花を憑かせる……。 ※以前消した奴のリメイク作品です。

勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~

北きつね
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。  ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。  一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。  ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。  おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。  女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。 注)作者が楽しむ為に書いています。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。

処理中です...