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1:輪廻転生、おいでませガムラン町
58:シガミー(元破戒僧)御一行様、シガミー邸へようこそ
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「まぁまぁ、みなさま。本日はシガミー邸へようこそおいでくださいましたわ。くすくす♪」
陽光にかがやく金糸が、かすかに流れる。
「だ、だれだぁ!?」
「いやですわ、工房長さま。私の顔をおわすれですか? くすくす♪」
「え? 見た目はシガミーだけど、すっごくカワイイ女の子みたいだ――まさか魔物にのっとられた!?」
「あらあらニゲルさままで、本日は遠路はるばるお越しいただきまして誠に嬉しく思いますわぜ。くすくす?」
「遠路はるばるって、僕んちすぐうらの通りだから5分もかかんないよ? ……やっぱり、魔物にのっとられた!?」
がやがやがや。ざわざわざわ。
ざわつきはじめる、シガミー邸。
おい、こりゃ相当たちの悪い魔物に取りつかれてんぞ?
いいえ、あのはかなげな立ち振る舞い、魔物が化けてるとしか思えないわ!
だれか、ギルド長よんでこい!
いや、リカルルさまに伝令を!
わーきゃー!
「あーもー、どいつもこいつも、おれだぜっ、お・れ!」
阿鼻叫喚と化した路地裏に、おれの鈴の音のような怒声が響きわたる。
「な、なんでい、嬢ちゃんじゃねーか。おどかすな!」
「はぁーびっくりした。いつものシガミーだぁー」
「へへへへっ、どうよ、このシガミーさまだってなぁ。しゃらあしゃらくれぇ、やろうと思やぁ――どがぁぁぁぁぁん♪――できるってもんだぜ!」
おれの啖呵にあわせて、迅雷が鐃を鳴らす。
「シガミーさま、ちょっとこちらへ?」
涼しげな口元――いつもの仕立ての良い給仕服。
「迅雷も、こっちきて?」
どうした、目がわらってねえぞ?
こっちはおれとそろいの――ひらひらして動きづれぇ服を着てる。
なんでいなんでい、どうしたい。
左右から腕をつかまれ、引きずられる。
途中までは、うまくいってただろうが。
おれだってなあ、しゃらあしゃらしたのくれえ、できるんだぜ。
そうデすね、シガみー。なかなカの仕上がりデす。
§
「本日は、おせわになった皆様へ、お礼の意味を込めまして、このような機会をもうけさせていただきました」
ひっ込められたおれにかわって、リオが口上をならべる。
ほんとうにコイツは、無駄がねえな。
「こりゃあ、うめえな!」
「ほんとだね、工房長」
大皿料理は、芋を酢飯に見立てた寿司。
般若湯が五百乃大角の不注意で酢になっちまってたから、即興で有効利用して出来たもんだ。
実際うまかったし、五百乃大角やリオ、レイダにも評判がよかった。
「うん、生魚なんて初めて食べたけど、おいしー!」
「通常、川魚を生食すルと不都合がごザいますので、シガミーかリオレイニアが調理しタもの以外は、食べラれません。ご了承くダさいませ」
迅雷が寿司の注意事項を、よびかける。
「こいつぁ、このやたらときつい〝酢〟じゃないと駄目なのかい?」
「出来なくハありませんが、この土地に流通しテいる〝酸味のアる調味料〟は、この芋にハ合わせづらいト思われます」
ここにも酢はあるが、香りの良い物ばかりで、料理の種類が限られる。
「なんだ、そうかい……じゃあ、こいつを有るだけもらえないかい? 作り方は、さっきシガミーにおしえてもらったからね」
女将は酒樽に、七割ぐれぇ残ってるのを全部買うという。
「いいぜ、ぜんぶ売った。ただし、その瓶はつかうから置いてってくれ」
どかりと椅子がわりの木箱に腰掛けるさまは――――
「淑女とは?」「盗賊団の頭みたい」
「やっぱりシガミーはこうでなくっちゃ」
「おう、あんしんしたぜ」
などと――――物議を醸した。
§
「さいごに、おれん家から、ちょっとした知らせがあるぜ」
そのへんを飛んでた迅雷を、跳びついて捕まえた。
「リオ、うけとれ!」
雑にぶん投げた棒を、かるく跳んでつかむ――ふわぁり♪
はためく裾に一瞬、くぎづけになる男衆。
わかる。おれは子供だし女だが――よぉーく、わかる。
ごとり――くぼみに迅雷をおく。
「このように神力台にアーティファクトを乗せるだけで、神力の補充がおこなえます」
物置小屋の軒先に作った、木の台。
そこに乗せるだけで〝賄屋礼巣充電〟てのができるらしい。
女神像をつかうには受付を通らねえといけねえから、ちょっとだけ便利になる。
利用者は数えるくらいしか、居ねえだろうけどな。
「シガミー」
どたどたと、レイダがやってきた。
「どうした?」
「寿司が、もうなくなったよ」
ーーー
ワイヤレス充電/非接触充電。コネクタやケーブルを介さず充電ができる。
陽光にかがやく金糸が、かすかに流れる。
「だ、だれだぁ!?」
「いやですわ、工房長さま。私の顔をおわすれですか? くすくす♪」
「え? 見た目はシガミーだけど、すっごくカワイイ女の子みたいだ――まさか魔物にのっとられた!?」
「あらあらニゲルさままで、本日は遠路はるばるお越しいただきまして誠に嬉しく思いますわぜ。くすくす?」
「遠路はるばるって、僕んちすぐうらの通りだから5分もかかんないよ? ……やっぱり、魔物にのっとられた!?」
がやがやがや。ざわざわざわ。
ざわつきはじめる、シガミー邸。
おい、こりゃ相当たちの悪い魔物に取りつかれてんぞ?
いいえ、あのはかなげな立ち振る舞い、魔物が化けてるとしか思えないわ!
だれか、ギルド長よんでこい!
いや、リカルルさまに伝令を!
わーきゃー!
「あーもー、どいつもこいつも、おれだぜっ、お・れ!」
阿鼻叫喚と化した路地裏に、おれの鈴の音のような怒声が響きわたる。
「な、なんでい、嬢ちゃんじゃねーか。おどかすな!」
「はぁーびっくりした。いつものシガミーだぁー」
「へへへへっ、どうよ、このシガミーさまだってなぁ。しゃらあしゃらくれぇ、やろうと思やぁ――どがぁぁぁぁぁん♪――できるってもんだぜ!」
おれの啖呵にあわせて、迅雷が鐃を鳴らす。
「シガミーさま、ちょっとこちらへ?」
涼しげな口元――いつもの仕立ての良い給仕服。
「迅雷も、こっちきて?」
どうした、目がわらってねえぞ?
こっちはおれとそろいの――ひらひらして動きづれぇ服を着てる。
なんでいなんでい、どうしたい。
左右から腕をつかまれ、引きずられる。
途中までは、うまくいってただろうが。
おれだってなあ、しゃらあしゃらしたのくれえ、できるんだぜ。
そうデすね、シガみー。なかなカの仕上がりデす。
§
「本日は、おせわになった皆様へ、お礼の意味を込めまして、このような機会をもうけさせていただきました」
ひっ込められたおれにかわって、リオが口上をならべる。
ほんとうにコイツは、無駄がねえな。
「こりゃあ、うめえな!」
「ほんとだね、工房長」
大皿料理は、芋を酢飯に見立てた寿司。
般若湯が五百乃大角の不注意で酢になっちまってたから、即興で有効利用して出来たもんだ。
実際うまかったし、五百乃大角やリオ、レイダにも評判がよかった。
「うん、生魚なんて初めて食べたけど、おいしー!」
「通常、川魚を生食すルと不都合がごザいますので、シガミーかリオレイニアが調理しタもの以外は、食べラれません。ご了承くダさいませ」
迅雷が寿司の注意事項を、よびかける。
「こいつぁ、このやたらときつい〝酢〟じゃないと駄目なのかい?」
「出来なくハありませんが、この土地に流通しテいる〝酸味のアる調味料〟は、この芋にハ合わせづらいト思われます」
ここにも酢はあるが、香りの良い物ばかりで、料理の種類が限られる。
「なんだ、そうかい……じゃあ、こいつを有るだけもらえないかい? 作り方は、さっきシガミーにおしえてもらったからね」
女将は酒樽に、七割ぐれぇ残ってるのを全部買うという。
「いいぜ、ぜんぶ売った。ただし、その瓶はつかうから置いてってくれ」
どかりと椅子がわりの木箱に腰掛けるさまは――――
「淑女とは?」「盗賊団の頭みたい」
「やっぱりシガミーはこうでなくっちゃ」
「おう、あんしんしたぜ」
などと――――物議を醸した。
§
「さいごに、おれん家から、ちょっとした知らせがあるぜ」
そのへんを飛んでた迅雷を、跳びついて捕まえた。
「リオ、うけとれ!」
雑にぶん投げた棒を、かるく跳んでつかむ――ふわぁり♪
はためく裾に一瞬、くぎづけになる男衆。
わかる。おれは子供だし女だが――よぉーく、わかる。
ごとり――くぼみに迅雷をおく。
「このように神力台にアーティファクトを乗せるだけで、神力の補充がおこなえます」
物置小屋の軒先に作った、木の台。
そこに乗せるだけで〝賄屋礼巣充電〟てのができるらしい。
女神像をつかうには受付を通らねえといけねえから、ちょっとだけ便利になる。
利用者は数えるくらいしか、居ねえだろうけどな。
「シガミー」
どたどたと、レイダがやってきた。
「どうした?」
「寿司が、もうなくなったよ」
ーーー
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