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1:輪廻転生、おいでませガムラン町
48:魔法使いの弟子(破戒僧)、正規表現と最終回の巻
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「リオ、こっちは五百乃大角。美の女神とか言われてる」
組んだ手を鼻におしあて、ひざまつく白いの。
「イオノファラーです。シガミー。」
「いーのいーのっ♪ そんなにかしこまらないでいーのよぉーほぉーん♡」
なでなでなでなで、白いののあたまを執拗になでくる、美の女神。
まだ、化かされたままじゃねーか、まったく。
「五百乃大角、こっちはリオレイニア、さっき話にでた領主の娘のお付きで、すげえ腕の魔術師だ」
「(イオノファラーです。シガミー。)」
「(迅雷、〝い・お・の・は・ら〟ってのは、おれの思いっきりの美しさのあらわしかただと思え、わかったか?)」
「(了解しました、シガミー。)」
「私は魔術師ではありません。魔法使いでございます」
「ん? 森でカミナリ落としたろ? ありゃ高位の魔術ってやつじゃねーのか」
「乾燥の魔法+風の魔法+土の魔法の混合魔法ね? フフフッ♪」
五百乃大角が呪言をはく。
なんのまじないだそりゃ。
「はい、その通りにございます。イオノファラーさま」
あわてたようすで顔をあげ、ふたたびひざまつく魔法使い。
「こりゃどっちが凄えってはなしだ? わかるか迅雷?」
「MPの消費とくらべて、莫大な効果を達成しています。リオレイニアの魔法は物理法則にもとづいた科学でもあります」
「じゃ、白いのがすげえってこったな」
「いえ、それを一瞬で見抜くイオノファラーも、甲乙付けがたく――」
「――そんなに褒めなくてもいいわよぉー。だって、『魔法の取り扱い』の頁にちゃんと書いてあるもの♪」
迅雷が黙った。それで、なんとなく虎の巻でも盗み見たってのがわかった。
ここは、ひざまづき続けるリオレイニアに免じて、聞かなかったことにしといてやる。
§
ならんで座るおれたち、反対がわに美の女神。テーブル中央には、酢入りの酒瓶。
「よーし、じゃあそろそろ、おれの酒をドコにやったか聞かせてもらおうか」
はなしを強引にもどす。
「それについては、私に心当たりがございます。」
テーブルの端に置いといた迅雷がころがりでた。
ごろごろごろ――酢入りの酒瓶に――ぶつかる♪
「イオノファラー。この瓶を復元するときに、中身を満杯にする演算式をどのように記述しましたか?」
「どーだったかしらねっ……〝元どおりにする〝って記述したけどっ?」
むくれた顔が、「あたしのぉーご・は・んわぁ~!?」といっている。
「その構文だと、満杯にする=〝過去に満たされていた液体〟になり、近似の値しか収得できません。」
「だって、酒瓶のなかみは、お酒にきまってるじゃないよ?」
「イオノファラーは正規表現の基礎を勉強してください」
横目で見たら、白いのが、面ごしでもわかるほど、むずかしい顔をしてた。
いきなりこんな状況に放り込まれたら、わけもねえが。
「いつにもましてなに言ってんのか、さっぱりわからん。ようは五百乃大角が雑な仕事をしたせいで、おれの酒が酢になっちまったって訳だな?」
おれはひじをどかりとテーブルにのせた。
「う、うるさいわね! そもそも割れちゃったのを戻してあげたんだから感謝なさーぁい。気に入らなければ、割ってほっとけば次の朝には、別の中身が出てくるからっ、もぉーーーーいーでしょ! ごぉはぁんぅ~~~~!」
美の女神は子供か?
けど――
「シガミー、酒瓶を割れば、自動的に修復されますが、なかみは元の清酒になるかどうかはわかりません。」
「……酒になるときもあんのか?」
「中に入っていた事のある液体のなかからランダム……手当たり次第に再現されます。」
「入ってた事があるだぁ? 酒じゃねえとすると、いま入ってる酢のほかに入ってたかもしれねえのはぁ……水とか料理につかう、ごま、ざらめ、油、塩、しょうゆ、みりんくれえか――――博打じゃんかよ!」
〝香味庵〟の女将は酒瓶がなくなるたびに、空瓶に店の名ぁ書かせやがったしなぁ。
「はぁい、イオノファラーが皆に告げます。あと10分でおいしい、ごはんが出てこなかったら、この世界がおわりにします!」
どっからか出した、一本箸と小刀でテーブルを叩きだしやがった。
あと、「します」ってなんだ!
ひょっとしたらと思っちゃいたが、やっとわかった。
美の女神は子供だ、見た目どおりの子供!
「さあ、ごはんかぁー、最終回かぁー、ふたつにひとぉーつ!」
どかどかどかどかどっかんかん♪
やかましぃー!
ガタッ――――美の女神さま、なにとぞおゆるしを~~ガタガタガタガタッ!
ほれみろっ、白いのが恐れおののいちまったじゃねーか!
ーーー
正規表現/特定の文字列を表すための特殊な表記法。
組んだ手を鼻におしあて、ひざまつく白いの。
「イオノファラーです。シガミー。」
「いーのいーのっ♪ そんなにかしこまらないでいーのよぉーほぉーん♡」
なでなでなでなで、白いののあたまを執拗になでくる、美の女神。
まだ、化かされたままじゃねーか、まったく。
「五百乃大角、こっちはリオレイニア、さっき話にでた領主の娘のお付きで、すげえ腕の魔術師だ」
「(イオノファラーです。シガミー。)」
「(迅雷、〝い・お・の・は・ら〟ってのは、おれの思いっきりの美しさのあらわしかただと思え、わかったか?)」
「(了解しました、シガミー。)」
「私は魔術師ではありません。魔法使いでございます」
「ん? 森でカミナリ落としたろ? ありゃ高位の魔術ってやつじゃねーのか」
「乾燥の魔法+風の魔法+土の魔法の混合魔法ね? フフフッ♪」
五百乃大角が呪言をはく。
なんのまじないだそりゃ。
「はい、その通りにございます。イオノファラーさま」
あわてたようすで顔をあげ、ふたたびひざまつく魔法使い。
「こりゃどっちが凄えってはなしだ? わかるか迅雷?」
「MPの消費とくらべて、莫大な効果を達成しています。リオレイニアの魔法は物理法則にもとづいた科学でもあります」
「じゃ、白いのがすげえってこったな」
「いえ、それを一瞬で見抜くイオノファラーも、甲乙付けがたく――」
「――そんなに褒めなくてもいいわよぉー。だって、『魔法の取り扱い』の頁にちゃんと書いてあるもの♪」
迅雷が黙った。それで、なんとなく虎の巻でも盗み見たってのがわかった。
ここは、ひざまづき続けるリオレイニアに免じて、聞かなかったことにしといてやる。
§
ならんで座るおれたち、反対がわに美の女神。テーブル中央には、酢入りの酒瓶。
「よーし、じゃあそろそろ、おれの酒をドコにやったか聞かせてもらおうか」
はなしを強引にもどす。
「それについては、私に心当たりがございます。」
テーブルの端に置いといた迅雷がころがりでた。
ごろごろごろ――酢入りの酒瓶に――ぶつかる♪
「イオノファラー。この瓶を復元するときに、中身を満杯にする演算式をどのように記述しましたか?」
「どーだったかしらねっ……〝元どおりにする〝って記述したけどっ?」
むくれた顔が、「あたしのぉーご・は・んわぁ~!?」といっている。
「その構文だと、満杯にする=〝過去に満たされていた液体〟になり、近似の値しか収得できません。」
「だって、酒瓶のなかみは、お酒にきまってるじゃないよ?」
「イオノファラーは正規表現の基礎を勉強してください」
横目で見たら、白いのが、面ごしでもわかるほど、むずかしい顔をしてた。
いきなりこんな状況に放り込まれたら、わけもねえが。
「いつにもましてなに言ってんのか、さっぱりわからん。ようは五百乃大角が雑な仕事をしたせいで、おれの酒が酢になっちまったって訳だな?」
おれはひじをどかりとテーブルにのせた。
「う、うるさいわね! そもそも割れちゃったのを戻してあげたんだから感謝なさーぁい。気に入らなければ、割ってほっとけば次の朝には、別の中身が出てくるからっ、もぉーーーーいーでしょ! ごぉはぁんぅ~~~~!」
美の女神は子供か?
けど――
「シガミー、酒瓶を割れば、自動的に修復されますが、なかみは元の清酒になるかどうかはわかりません。」
「……酒になるときもあんのか?」
「中に入っていた事のある液体のなかからランダム……手当たり次第に再現されます。」
「入ってた事があるだぁ? 酒じゃねえとすると、いま入ってる酢のほかに入ってたかもしれねえのはぁ……水とか料理につかう、ごま、ざらめ、油、塩、しょうゆ、みりんくれえか――――博打じゃんかよ!」
〝香味庵〟の女将は酒瓶がなくなるたびに、空瓶に店の名ぁ書かせやがったしなぁ。
「はぁい、イオノファラーが皆に告げます。あと10分でおいしい、ごはんが出てこなかったら、この世界がおわりにします!」
どっからか出した、一本箸と小刀でテーブルを叩きだしやがった。
あと、「します」ってなんだ!
ひょっとしたらと思っちゃいたが、やっとわかった。
美の女神は子供だ、見た目どおりの子供!
「さあ、ごはんかぁー、最終回かぁー、ふたつにひとぉーつ!」
どかどかどかどかどっかんかん♪
やかましぃー!
ガタッ――――美の女神さま、なにとぞおゆるしを~~ガタガタガタガタッ!
ほれみろっ、白いのが恐れおののいちまったじゃねーか!
ーーー
正規表現/特定の文字列を表すための特殊な表記法。
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