39 / 740
1:輪廻転生、おいでませガムラン町
39:魔剣イヤーイ使い(幼女)、物置小屋をもらう
しおりを挟む
「よくみてんな、さすがは、あのギルド長の娘だぜ」
「あの……?」
「なんでもねえ。なんか書いてあんな……えーっと」
『主』
「よめないわね。これは神の国の言葉かしら?」
「見たことない文字……お父さんがよろこびそう!」
「そいつはおれが、もと居たところの字だ。『あるじ』って書いてある」
「シガミーの国の言葉? 記憶がないって話だったんじゃ……」
ほらみろ、迅雷。さっそくぼろがでたぞ。はやくおきろよ。
「〝あるじ〟って、どういう意味?」
ひっつくなレイダ、腕が痛え。
「〝主人〟とか〝真ん中の〟って意味だ」
「意味はかわらないのね」
『電』
「こっちは、なんてかいてあるのかしら?」
「『いなづま』だ。」
「〝かみなり〟ってこと?」
『源』
「さいごのは『みなもと』だ。川のみずが、わきでるって意味だ」
「真ん中で……カミナリが……湧き出る……?」
「どういう意味なの? シガミー」
「おれに聞かれてもよ……カミナリ? あ、そういや迅雷のめしがカミナリだってんで、あの物置小屋を使わせてもらいたかったんだよなぁー」
――――べちっ!
「いってえ!」
「シガミーのおばか!」
突然レイダに脳天を叩かれた!
「それをはやく、お言いなさい。まったくもう!」
そして狐耳に、独古杵をひったくられた。
§
「AOSが再起動しまシた。リンク確立まで11秒お待ちくダさい。」
「お、息を吹きかえしたぞ!」
ここは、冒険者登録んときに来た、ギルドのほそい通路のどんづまり。
箱を持った女神像。
そのせなか側にある箱。
「リンク確立まで7秒お待ちくだサい。」
フタを開いた箱に入れられた独古杵が、うわごとをくりかえしてる。
「まったくもう! シガミーは、いろんなことができるのに――何にも知らないんだから!」
おかんむりのレイダが、おれをなじる。
レイダに叩かれ、狐耳に独古杵を取られたときは何ごとかと思った。
この女神像は、冒険者登録だけでなく、〝宛鋳符悪党〟にめしを食わせることも、できるんだそうだ。
さすがは〝飯の神〟だけのことはあるな。
「チチピッ――リンク確立しマしタ。おハよウごザいマす~、シガミー」
ヴッ――――ふわぁ。
迅雷が箱からでてきた。
「(ご用はございませんか?)」
「(なんでぇ、腹すかせてただけかよ)」
「おどかすなってんだ。ちゃんとめし食えたか?」
「ばか! 笑いごとじゃないよ、シガミー。アーティファクトは神力を補充しないと動かなくなっちゃうんだから!」
「神力?」
「カミナリは神がお与えになる試練。それを神力というのよ」
狐耳が組んだ手を、自分の高い鼻に押しあてた。
「(カミナリによる充電……ギルド長の眼鏡などのエネルギー供給……食事を、そうよんでいるようです)」
「(眼鏡もめしをくうのか……だから、レイダもその辺のことがくわしかったんだな。納得だ)」
「いえ、コレは私たちが、気をつけてあげるべきでしたわね。シガミーちゃんは記憶があいまいなんだし……」
狐耳が、おれのあたまを執拗になでる。
やめろ、ガキじゃねーんだ!
――――しゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~ぷすん♪
「外部電源への供給過多により、主回路の電圧が低下していマ~ブッツン!」
「「「わっ!」」」
とつぜん女神像が、とち狂った声(五百乃大角の声)をだしやがった。
「あらいけない、壊しちゃったかしら?」
オロオロする狐耳。
あんまりカミナリ仕掛けに、くわしくはなさそうだ。
「迅雷~?」
「問題ありまセん。私への神力を大量に供給しタタめ、一時的に女神像サービスを停止しタダけです」
「わからん……なおんのか?」
「はい。ガムラン町の落雷頻度かラ算出……神力ノ回復は一週間……七日程度でモとにもどりまス」
「一週間……そのくらいなら平気よ~。新規で冒険者登録する人なんて、めったに居ないし~♪」
胸をなで下ろす藩主の娘。
「リカルルさぁん。それぜんぜん良くないんですけどぉー? それに本日午後から、お仕事頼んでありましたよねぇー!?」
狐耳の背後に鬼娘が立っていた。
§
『ガムラン町における次の一区画を、
定住冒険者 シガミー● へ譲渡するものなり。
リカルル・リ・コントゥル■
┌─┐ └───┐
├┐├──┐ ┌┘
├┴┴┐ │ └┐
┤ ├─┴─┐ └┐
├──┴───┘ │
┴─┐ ┏┯┓ │
──┴┐ ┗┷┛┌┘
│ ┌───┘
───┴───┘』
厚めのしっかりとした紙には、そう書かれているらしい。
おれの名前のよこには、おれの血判。
狐耳の名前のよこには、剣の柄の紋章を判子がわりに押しあてた。
それは略式だが、あの物置小屋のある小さな一画を、シガミーにくれるという書類だった。
ーーー
血判/血で押す判のこと。
「あの……?」
「なんでもねえ。なんか書いてあんな……えーっと」
『主』
「よめないわね。これは神の国の言葉かしら?」
「見たことない文字……お父さんがよろこびそう!」
「そいつはおれが、もと居たところの字だ。『あるじ』って書いてある」
「シガミーの国の言葉? 記憶がないって話だったんじゃ……」
ほらみろ、迅雷。さっそくぼろがでたぞ。はやくおきろよ。
「〝あるじ〟って、どういう意味?」
ひっつくなレイダ、腕が痛え。
「〝主人〟とか〝真ん中の〟って意味だ」
「意味はかわらないのね」
『電』
「こっちは、なんてかいてあるのかしら?」
「『いなづま』だ。」
「〝かみなり〟ってこと?」
『源』
「さいごのは『みなもと』だ。川のみずが、わきでるって意味だ」
「真ん中で……カミナリが……湧き出る……?」
「どういう意味なの? シガミー」
「おれに聞かれてもよ……カミナリ? あ、そういや迅雷のめしがカミナリだってんで、あの物置小屋を使わせてもらいたかったんだよなぁー」
――――べちっ!
「いってえ!」
「シガミーのおばか!」
突然レイダに脳天を叩かれた!
「それをはやく、お言いなさい。まったくもう!」
そして狐耳に、独古杵をひったくられた。
§
「AOSが再起動しまシた。リンク確立まで11秒お待ちくダさい。」
「お、息を吹きかえしたぞ!」
ここは、冒険者登録んときに来た、ギルドのほそい通路のどんづまり。
箱を持った女神像。
そのせなか側にある箱。
「リンク確立まで7秒お待ちくだサい。」
フタを開いた箱に入れられた独古杵が、うわごとをくりかえしてる。
「まったくもう! シガミーは、いろんなことができるのに――何にも知らないんだから!」
おかんむりのレイダが、おれをなじる。
レイダに叩かれ、狐耳に独古杵を取られたときは何ごとかと思った。
この女神像は、冒険者登録だけでなく、〝宛鋳符悪党〟にめしを食わせることも、できるんだそうだ。
さすがは〝飯の神〟だけのことはあるな。
「チチピッ――リンク確立しマしタ。おハよウごザいマす~、シガミー」
ヴッ――――ふわぁ。
迅雷が箱からでてきた。
「(ご用はございませんか?)」
「(なんでぇ、腹すかせてただけかよ)」
「おどかすなってんだ。ちゃんとめし食えたか?」
「ばか! 笑いごとじゃないよ、シガミー。アーティファクトは神力を補充しないと動かなくなっちゃうんだから!」
「神力?」
「カミナリは神がお与えになる試練。それを神力というのよ」
狐耳が組んだ手を、自分の高い鼻に押しあてた。
「(カミナリによる充電……ギルド長の眼鏡などのエネルギー供給……食事を、そうよんでいるようです)」
「(眼鏡もめしをくうのか……だから、レイダもその辺のことがくわしかったんだな。納得だ)」
「いえ、コレは私たちが、気をつけてあげるべきでしたわね。シガミーちゃんは記憶があいまいなんだし……」
狐耳が、おれのあたまを執拗になでる。
やめろ、ガキじゃねーんだ!
――――しゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~ぷすん♪
「外部電源への供給過多により、主回路の電圧が低下していマ~ブッツン!」
「「「わっ!」」」
とつぜん女神像が、とち狂った声(五百乃大角の声)をだしやがった。
「あらいけない、壊しちゃったかしら?」
オロオロする狐耳。
あんまりカミナリ仕掛けに、くわしくはなさそうだ。
「迅雷~?」
「問題ありまセん。私への神力を大量に供給しタタめ、一時的に女神像サービスを停止しタダけです」
「わからん……なおんのか?」
「はい。ガムラン町の落雷頻度かラ算出……神力ノ回復は一週間……七日程度でモとにもどりまス」
「一週間……そのくらいなら平気よ~。新規で冒険者登録する人なんて、めったに居ないし~♪」
胸をなで下ろす藩主の娘。
「リカルルさぁん。それぜんぜん良くないんですけどぉー? それに本日午後から、お仕事頼んでありましたよねぇー!?」
狐耳の背後に鬼娘が立っていた。
§
『ガムラン町における次の一区画を、
定住冒険者 シガミー● へ譲渡するものなり。
リカルル・リ・コントゥル■
┌─┐ └───┐
├┐├──┐ ┌┘
├┴┴┐ │ └┐
┤ ├─┴─┐ └┐
├──┴───┘ │
┴─┐ ┏┯┓ │
──┴┐ ┗┷┛┌┘
│ ┌───┘
───┴───┘』
厚めのしっかりとした紙には、そう書かれているらしい。
おれの名前のよこには、おれの血判。
狐耳の名前のよこには、剣の柄の紋章を判子がわりに押しあてた。
それは略式だが、あの物置小屋のある小さな一画を、シガミーにくれるという書類だった。
ーーー
血判/血で押す判のこと。
1
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
【全12話/完結】リタイア勇者たちの飲み会
雲井咲穂(くもいさほ)
ファンタジー
◇12/20:::HOT90位ありがとうございました!RPGで言うところの全クリをした後、富も名声も女も時間も何もかもを満喫しつくした「元勇者=リタイア勇者」たちと、設定上やられ役=悪役キャラの魔王や魔女たちが繰り広げる、ほのぼの居酒屋同窓会。
自己中神様にハレンチ女神。不倫二股ヒロインたちも登場して、毎夜毎夜飲みまくる、胃袋ブレイク。
(いろいろ増えるよ。登場するよ)
※加筆修正を加えながら、ゆっくり更新中です。
※第二回お仕事コン楽ノベ文庫賞の受賞候補作品でした。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる