滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

35:大道芸人(幼女)、魔剣(全部入り)だいばくはつ

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 おれはこし革紐かわひもから魔剣まけん居合刀かたなをひっこぬいた。

 正面まんまえ水平まよこかまえたかたなに、間合まあいはねえ。
 このままぬいても、小枝こえだ一本いっぽんれるかどうかだ。

「(迅雷ジンライまつりみてえな、お囃子はやしはできるか?)」
 拍子木ひょうしぎだけじゃ、見ばえがしねえ。

「(可能かのうですが、楽曲がっきょくのライブラリ情報じょうほうがありません)」
「(なんだ、ちゅうぶらりんたぁ?)」
 もうカタナを抜かねえと――集中しゅうちゅうがもたねえのに。

「(……イオノファラーの個人こじんストレージへのアクセスが可能かのうですので、イオノファラーの所持しょじする楽曲がっきょく参考さんこうに、新曲しんきょく生成せいせいできます――――)」

 できるんなら、ふえでも太鼓たいこでも派手はでに鳴らしてくれ。

「(了解りょうかいしました)――カッツワンカッツツーカカスリーカンフォー――!」
 お、いいじゃねーか!

 たんたんたぁんたたん!
 こしをひねり、から足・・・む。
 ――――ぎりりりっ……。
 ちいせえなりでも、あしこしはらかたうで両目りょうめあたま手首てくびカタナ

 その全部を・・・ずらしゃあ・・・・・――二間にけん……5メートルちょい? そんくれえの距離・・がかせげる。
 威力いりょくやく三倍。流派りゅうはによっちゃ秘伝中ひでんちゅう秘伝ひでんにして奥義おうぎ

 チィン♪
 おれは、かたなを抜――――――――

「ズッタンズッタンズタタッタズタタタン!」
 ずいぶん騒々そうぞうしい太鼓たいこだな!
 つられて、半歩はんぽ余計よけいみこんじまったじゃねーか!

 たたたぁん、ぐるぐるり――――ぎりりりりぃ……。
 全部ぜんぶりなら、間合まあいはなくていい。
 うえの・・・腰高こしだかのまわしで回転力ねじりをためて、
 したの・・・こしが入ったまわしで距離きょりをつめる。

「ヴォーンォ♪ ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッ――――――――!!!」
 なんだ、その魔物ヴォンォの咆哮ヴォヴォヴォヴォ!?

 視界はしで、冒険者ぼうけんしゃ連中れんちゅう武器ぶきをかまえたのがわかる。

 たたん、くるくるくる――――ぎち……。
 いけねえ、腰を入れたまま半回転はんかいてんしちまった!
 せっかくめた回転力ねじりが減っちまっただろうが。

 くそ、〝かた〟の最中さいちゅう迅雷ジンライと話すのは、ほねがおれる。
 このままいくしかねえ。
 つぎのふしで、もう一回いっかい――める。

「ヴォヴォーゥン♪ こねこがいっぴき、キャッツ、ニュー、ワールドぉ、ヘェイ♪」
 この、すっとんきょうな声――――ききおぼえがあるぞ!?

「ぅにゃんにゃん、ぅにゃにゃん――――っ切りさけぇ~~♪」
 ザギィィィィィィィィ――――――――
 あーあああっ、なにしてくれてんだこいつぁー!
 「切りさけ」なんて言うもんだから、うっかりかたなぁ抜いちまったじゃねーか!

 あと一歩とはんぶん、距離きっさきがとどかねえ!
「ずっはぁぁぁぁっ――――(迅雷ジンライてめぇ!)」
 ちきしょう、のさなかに息は継げねーのに――――

「(どうしましたか? ヘェイ♪)」
「(うっせぇ、カタナ抜いたら振りぬくしかねえのに、ここじゃとどかねえんだよ! おまえのお囃子はやしのせいっていうか、なんだその五百乃大角いおのはら唄声うたごえわぁ!)」
 ずっはぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっ――――はぁはぁ、息を継いじまった!

 すっぽ抜けた気合い・・・が、ちゅうぐ。

「(人間にんげんあきらめが肝心かんじんです、シガミー♪)ニャンニューワァルドー♪」
「(やっかましーゃ! から打ちした・・・・・・このカタナどーしてくれんだ!?)」

「(おさめればよろしいのでは?)にゃにゃあにゃ――♪」
 ざけんな、居合をはずすにのたちなんざ、みっともねえったりゃありゃしねー!

 おれはからだ逆にひねり・・・・・、そのままひだりて刀身かたな納めたガキン♪

 カタナをおさめたら、最初さいしょのかたちと似たかんじになった。

 なんでか思い浮かんだのは、〝左太刀ひだりたち〟の三文字さんもじ
 前世ぜんせのおれなら、やろうとも思わねえ・・・・・・・・・

 から打ちのいきいあまって、みぎ一杯いっぱいにねじったからだ
 それを文字もじどおり〝かえすカタナ〟で――くるん、パシパシ――もちかえた。


七天しちてん抜刀ばっとう根術こんじゅつぜろかた――ONおぉん――太刀たち。」
 やけくその真言しんごん左太刀ひだりたち
 きき手じゃねえから威力ちからは落ちるが、真言しんごんをのせりゃきずのひとつくれえははいるだろう。

「チィィィィィィィィェェェェェェェェィイ――――――――ッ!!!」
 ガツン――――ザギィィィィィィィィィィンッ――――!!!
 こんどは届いた。
 たいあたりのいきおいにまかせて、ちからいっぱい振りぬいた。

「――ねこねこぉーこねこぉー♪」
 くるん、切っ先をまわし――――スゥゥゥゥゥゥゥ、ガギン!

 カタナ完全かんぜんさやにおさめた。
 それを水平すいへいにかまえ、指先ゆびさきいんむすぶ。

「ど、どどどど、どうした嬢ちゃん。お、おれたてきずひとつ入っちゃ――――」
 工房長ノヴァドがなんか言ってる。

 まさかの不発ふはつか?
 たてを立てたはしらが、ぴくりともしねえ。

「っしゅるるるるるるるっ――――――――めっせよ!」
 ――――――ィィィィィィィィィィン!
 かねがきこえる。

「――、――――!?」
 なんかとおくで子供ガキがわめいてる?
 ガムラン町ここにいる子供ガキなんて、おれとレイダだけだ。
 不発だっはずれたのを……心配しんぱいしてんのか?

 心配しんぱいすんな。
 少しくらい失敗へましたって、どうせココじゃ居合いあいがわかるやつぁいねえ。

 ボッ――――――なんかが燃えたみてえな。火縄ひなわに火でもつけたみてえな。
 みればたてが真っ赤に、白熱はくねつしていた。


 キュドッ――――――ッゴッガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!


 ここガムラン町は、カミナリが多発たはつする。
 落雷らくらい大音響だいおんきょうにはれっこで、いまさらあわてるヤツはいない。

 きゃぁあぁ、わぁあぁあぁ、わぁぁぁぁぁあぁぁぁっぁあぁ――――にげろぉぉぉぉぉぉぉっ!

 怒号どごう噴煙ふんえんに埋めつくされる、大道芸会場みちばた
 その場の全員ぜんいんが逃げだす、大惨事だいさんじになった。

 おれと迅雷ジンライ以外、誰もいなくなったころ。
 ひゅるるるるっ――――ゴガッゴガン、グワラララン!

 真っぷたつになったたてが、そらから落ちてきた。

ーーー
お囃子/神社の祭礼時に行われる、太鼓と笛などによる音楽。
左太刀/左利きのカタナの抜き方。普通はしない。
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