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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

22:見習い冒険者(幼女)、おやさいに勝利

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「シュッゴボヴォヴォヴォヴォヴォヴォゴゴバビャビャビャビャオボオヴォボヴォボヴォヴォヴォ――――!!!」

ちょう神道しんどうがどうしたって? ひとつもわからん、うるせえ!」
 あと、レイダは無事か、倒れちまったが。
呼吸こきゅう脈拍みゃくはく正常せいじょうです。目を回しただけかと)」

 おれぁ、なんで、ひっくりかえらねえ?
「(〝状態異常無効じょうたいいじょうむこう〟のスキルにより緩和かんわされています)」

「オヴォボヴォウギャピャガウボゲボゲヴォバギョゴヴァヴギャボオヴォボヴォボヴォオゲュビャ――――!!!」
「〝薬草師やくそうし〟で良かったてことか……そういや大根あいつら薬草やくそうだった――――ほんと、うるっせえな!」

「ギュボヴォッバゴボッヴァヴァヴァヴァリャギっピギッピャギュゴリュビャヴァヴァヴォヴォヴォゴヴォゴッヴァバヴァ――――!!!」
 くだが詰まったみてえな音が、近づいてきてる。

「これぁ、迅雷おまえ内緒ないしょばなしとは違うのか!?」

「(シガミーの右脳うのう32基、左脳さのう17基の機能きのうモジュールへの直接的ちょくせつてき介入かいにゅうは、韻律いんりつをのぞく言語げんご処理しょり完全かんぜん再現さいげんしています。全く別の理論りろんによる現象げんしょう――――)」

御山おやま座学ざがくよりむつかしいのは、おれにゃぁわからんぞ! 簡単かんたんに言え!」

「ヴァヴァッバッパビリャッタユヴァリャルアッパオヴォヴォヴォヴォヴォオッヴォヴォヴォッヴォヴォヴォヴォヴォヴォボヴァ――――!?!」

「(私の声と野菜マンドラゴーラ呪言じゅごんは……まったくの別ものです。あの野菜やさい正面しょうめんにいると、〝状態異常無効じょうたいいじょうむこう〟をもってしても……病気びょうきにかかるとおもってください)」

呪殺じゅさつのたぐいか。よし、即死そくしじゃねえなら、うってでるぞ!」
 体を起こす――――ぐほうわぉう!
 うるせえけど大丈夫だいじょうぶ、死なねえなら大丈夫だいじょうぶ
 迅雷ジンライかまえ――――

「――――ぁ」
 〝ぁ?〟
 おれのくちから、なんか聞こえたと思ったら――――「ギョボギョヴォゴゴゴボボボギョリャピボルボッギャニティゲヒシビッ!!!」

 おれののどから、あの気持きもちの悪い絶叫ぜっきょうがほとばしる!
 あまりの衝撃しょうげきに、胆力たんりょくのすべてをうばわれた。

「(大丈夫だいじょうぶですか、シガミー)」
「(ぎょぼぎょう゛ぁ、ぬんぎゃりゃ――大丈夫だいじょうぶじゃねえよ、)」
 おれは地にせた。はぁはぁ、あぶねえ。

「(〝大根マンドラゴーラ二匹にひきから正面しょうめんとらえられると、強制的きょうせいてき肉声にくせい変換へんかんされるようです)」
 二匹にひきから同時・・にくらうとやべえんなら――――三匹目さんびきめがいたら即死そくしもありえる。

 仰向あおむけになり、いきをととのえ、かんがえをめぐらせる。
 こういうときは、やれるうちに何でも、ためしておかねえと――――死ぬ。
 視界しかいのすみ、くもぞらとりが横ぎっていく。

 なるほど、〝ぎょびゃげびょ〟やられるから、とりがいなかったのか。
 まったくおれを、おとりにしやがって……おとり?

迅雷ジンライ、もう一度いちどうってでるぞ!」
 腰を押さえ、両足りょうあしてんにのばした。

 背中せなかと腰をくねらせ、いきおいよくからだを起こす。
 あたまの上に地面じめんがある。
 つまり上下じょうげさかさまだ。

 大根だいこんどもめ、おれの足に耳はついてねえ・・・・・・・――――っていうか、まるでうるさくなくなったぞ?
「(指向性しこうせいによる……真芯ましんとらえられなければ、脅威きょういではありません)」
 そういうのは、さきに言っとけ!

「(一の型。)」
 しゅっとん。
「オボオヴォヴォ――――ギュプ!」

 よし、たおした。
 いんむす必要ひつようがねえわざなら、ただの〝突き〟や〝なぎはらい〟だ。
 遠慮えんりょなくつかう。つかわねえと――死ぬ。

 あたまで体をささえたまま、ぐるり反転はんてん
 いだだだだ、からだを起こしたときのいきおいがなけりゃ、女子供おんなこどものほそくび体重たいじゅうはささえられねえ。

 とどけ――――しゅっとん。
「ゴバビャビッ――――ゲュカ!」

 どばたり――いってぇ!
 カランとかるい音をたてて、迅雷ジンライが転がる。
 独鈷杵どっこしょの長さにもどり、スーっと空をのぼっていく。

「(マンドラゴーラ二匹にひき沈黙ちんもく確認かくにん周囲しゅうい百メートル……約一町いっちょう敵影てきえいありません)」

   §

「シガミー……おはよう」
「なにがおはようでい。からだは、なんともねえか?」
「うん、大丈夫。へいきみたい――――うわっ、きもちわる!」
 すぐ横につんである紫色だいこんをみつけ、とびはねるレイダ。
 うん、だいじょうぶそうだな。

「つぎは、〝ムシュル貝〟だ。どこ行きゃあ取れる?」
 レイダは立ち上がり、土をパタパタはらいながら答えた。
「えーっと、いまの季節だと、森のおく……か町の――」

「――だめか。森に入るとレイダの父上どのに、どやされそうだし、狐耳ひめさんにもなんか得体えたいのしれねえすげえコトされちまうからなー」

「こら、さいごまでちゃんと聞いて」
 グキリ――首をかかえて、ひんまげられた。
 レイダの方が、おれよりすこし背がたかい。

「町のなかを流れてる水路すいろがあるでしょう? あそこに行けば、たぶんいるよ」

ーーー
胆力/物事におそれず動じない気力。
指向性/音や電波の伝わるつよさが、方向によって異なること。
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