滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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1:輪廻転生、おいでませガムラン町

16:食いつめ幼女、アーティファクトは趣味でやるもの

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「な、なんでわかった?」

有史ゆうし以来いらい、あまたの神々かみがみがこの地をおとずれているが、ひとつの時代じだい複数ふくすうの神が顕現けんげんしたことはない。これはこの世界せかい常識じょうしきだ」
 ギュギュギュイー!
 冷静れいせいさはとりもどしたが、眼鏡めがねの動きはとまらない。


「(どうするよ、こりゃ逃げた方がよかぁねえか?)」
 独鈷杵スダレはギルド長につかまったままだが、たいあたりでもすりゃうばかえすくらい……。

「(おまちください、マスター。私はこの世界せかい人々ひとびと生活せいかつ興味きょうみがあります。話のさきを聞いてみませんか?)」

「(かみさんの式鬼神しきがみのおまえが知らねえことなんて、あんのかよ?)」

「(イオノファラーから情報じょうほうることはできますが、彼女かのじょが知らないことは知ることができません」

「(神さんが知らねえことなんてねえだろう?)」

「(天地のりたちとことわりと大まかな歴史れきし設定せってい……作りこみましたが、人々の作った組織そしき生活様式せいかつようしきにはまるで理解りかいおよんでいません。……興味がないと言った方がただしいですが)」

「(そうだな、ありゃあ、自分てめえがめしを喰うことしか考えてなかったからな)」
「(上位権限じょういけんげんにより非公開ひこうかいです)」
 どうも、女神いおのはら都合つごうがわるいことは言えねえらしい。眷属けんぞくも楽じゃねーな。


「そして眷属けんぞくたる――知性ちせいを有するアーティファクトをしたがえられるのは、女神めがみにえらばれた人間にんげん――シガミー君ただひとりだ!」
 またすこし、ねつが入ってきたな。
 ギュギュギュギュギュイー!
 ぎゅぎゅぎゅぎゅ、うるせえ。


「(私はイオノファラーの眷属けんぞくではありますが、彼女の式神しきがみではありません。マスターの式神しきがみです)」
 話をややこしくするな。
「(五百乃大角いおのはら総大将そうだいしょう、おれが隊頭たいがしら、おまえが兵卒へいそつってことにかわりはねえだろ?)」

「(はい。その認識にんしき問題もんだいありませんが、あくまで私はマスター付きのインテリジェンス・タレットです。有事ゆうじのさいには、命にかえてもマスターをおまもりします)」
 うーん、一蓮托生いちれんたくしょうってことか。
 しゃあねえ、話に付き合ってやるか。


「ききてえんだが、いまが五百乃大角いおのはら時代じだいだってのは、どうしてわかったんだ?」
「それは、央都おうと大神体だいしんたいがイオノファラーの姿にわったからだよ」
 ギュ――眼鏡めがねのうるせえのが止まった。

「そいつぁ、ひょっとして、すこしはらがでた若い女の姿すがたか?」

「もう、何言ってるの!? 美の女神さまのオナカが出てるわけないでしょう!」
 なんでい、そんなに目くじら立てなくたって良いじゃねーかよ!

「(おい、まる机てーぶるの上の料理めし、全部たいらげたとき、たしかにはらが少しふくれてたぞ?)」
「(はい……いいえ。上位権限じょういけんげんにより非公開ひこうかいです)」

「とにかく、おれは〝めし処みせ〟の客のすこはらがでた若い女に、〝ソイツ〟をもらっただけだぜ」

 ヴヴヴヴルリッ♪
「うわわっ」
 はちっぽいふるえるうごきにおどろいたのか、ギルド長が〝独鈷杵すだれ〟を手ばなした。

 結局けっきょくわかったことは、それほどなかった。
 ひとつの時代には、ひとつのかみしか顕現けんげん……悪為あくせす? ……君臨くんりんすることが出来ない。

 そして、眷属けんぞく最新型さいしんがたが〝いんてりげんすだれ〟。
 それを使役しえきできる人間は間違いなく、女神ゆかりの人物であることが、確定する。

「コイツといると、おれぁ女神めがみ信仰しんこうに巻き込まれんのか? めんどうな事になったぞ?」
 おれは戻ってきた短い棒けんぞく力一杯ちからいっぱいつかんでやった。

「安心してください。そういうことには、なりませんよ。私のようにアーティファクト研究けんきゅう趣味しゅみでもなければ、興味きょうみを持つ人間にんげんはいないので」

「だソうです。よかったデすね、マスター」
 ブゥゥゥンブヴヴヴ――――その蜂、やめろ。ざわざわするから、手を放しちまった。
「そのうごき――〝ルガばち〟がえがく軌道きどう酷似こくじしていますねっ!」


「ごはんにするよー。シガミーも今日は泊まっていって」
 でてきたわんのなかには、大きめのむすびがひとつ。
 そいつに水をかけ、指先を鳴らす。
 ともった火を、いそいで投げ入れフタをする。

 ――――ぼがぁん!
 フタをとると、あたたかいかゆのようなめしができあがっていた。
兵糧丸ひょうろうがんか……おもしれえなそれ」

ーーー
結び/おむすび、おにぎり。
兵糧丸/戦国時代の携行食。忍者も愛用。
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