5 / 740
1:輪廻転生、おいでませガムラン町
5:輪廻転生、死因判明
しおりを挟む
「こうみえて、あたしもヒマじゃないのよーむしゃり……もぐもぐもぐもぐ」
めしをがっつくのに、それだけいそがしけりゃあなあ。
「もぎゅり……なんかいった?」
肉のかたまりを葉やさいで巻いて、蒸した料理。
うまそうなそいつを、大きめに切り分ける自称女神。
「おれの心のこえが――」
――聞こえてるのか?
「あら見た目よりは、あたまの回転がはやいのかしら?」
手を止めて、三つ叉の一本箸を突きだす。
行儀がわりいな、神さんってのは。みためはタダのわかい女だし。
「いますぐ姿を消して、この世界……つまりあなたに、二っ度っと関わらないことも出来るんでっすけどぉー?」
グサグサ、グサリ!
つけあわせの根菜をつぎつぎと、箸に刺していく。
「そりゃ、困る――」
――まじでわるかった。
たのむから、くわしい話を聞かせてくれ。
ここはどこで、おれはどうしてここに居る。
そして、あんたはそれに、どうかかわってんだ?
「大したはなしじゃないわぁー……もぐもぐ……この酒瓶で、すっ転んだあなたは死んじゃったんだけどぉー……おっぼえてるーぅ?」
まる机に置かれたのは〝香味庵〟と書かれた黒磁器の壺。
持ちひもに、おれがくくりつけた猪口がぶらさがってる。
――まちがいなく、さっき落として割ったやつだ。
神を名のる、神出鬼没の女だ。それくらいの芸当もできんだろ。
「まるで、おぼえちゃいねえが……そういうこともありえるか」
よくみりゃこの酒瓶がでかいんじゃなくて、おれがちぢんでただけだな。
「達観してるわね――――ぐびぐびり、っぷはぁー! さすがくさっても生臭坊主――ケタケタケタ♪」
とぽとぽとぽ――空いた樽杯に並々と注がれる、澄み酒。
「おい、それくらいにしておけ」
……おれのぶんが無くなる。いそいで酒瓶をとりかえした。
「なによう、女神はお酒飲んじゃいけないってゆーのっ!?」
じとり……あー、目が据わって来やがった。
こいつ、酒を飲みなれてねえな。
「けどそろそろ給仕に戻らねえと、女将の大さじがいつ飛んでくるかわかんねーだろ?」
「だいじょうぶよーん。女神である、あたしの食事はもっとも尊いモノとして設計したから。……この世界を――――ゴクゴクゴクゴクッ!」
ぷはぁ――――タァン!
勢いよく叩きつけられる、木で出来た杯。
「でぇーい。なんか聞き捨てならねえことを言われた気もするが――――とどのつまりはどういうこった!? 俺になんかさせたくて地獄に呼びつけたのか?」
しかたなく、酒を注いでやる。
「ここは地獄じゃないし、要求も一切ないわぁーん」
「なん……だとう?」
「しいていうならぁー、定期連絡の名目でぇ、あたしにぃーおいしーいごぉはぁんーをー食べさせてほしーなーってくらい?」
なんかおれのことぁ、〝うまい飯を食いにきたついで〟って聞こえた気がするんだが。
「んふふぅー♪ あら、おいしー! ごきゅごきゅごきゅ――ぱくぱくぱくぱく――もぎゅもぎゅもぎゅり!」
底のぬけた桶みたいに飲み食いしやがって。
……肉を野菜で巻いたのは、相当うまいらしいな。
くぎゅるるるるる~♪
って、なんであんたの腹の虫が鳴ってんだよ?
「しあわせー♪ これあとで女将さんにレシピもらっといてくれない?」
「霊刺秘ぃ……なんだぁそいつぁ?」
「うん? もぐもぐ……ごきゅり。ふはぁー、やっぱり時代錯誤がはなはだしいわね――――じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?」
神を名乗るもんに、まじまじと見つめられると、腹の底を見透かされてるようでうまくねえ……じっさいに心を読まれてるしな。
「……んーっと天正生まれ? いつだっけ天正って……」
いつっちゃどーいうこった?
ことしは元和元年だろうが。
「じゃー、あなたにINTタレットを付けてあげる♡」
「因照減簾だぁ?」
……どこのどいつでぇ、そいつは。
女神の背中にいくつもくっついてた太鼓が、くるくるとひっくり返った。
めしをがっつくのに、それだけいそがしけりゃあなあ。
「もぎゅり……なんかいった?」
肉のかたまりを葉やさいで巻いて、蒸した料理。
うまそうなそいつを、大きめに切り分ける自称女神。
「おれの心のこえが――」
――聞こえてるのか?
「あら見た目よりは、あたまの回転がはやいのかしら?」
手を止めて、三つ叉の一本箸を突きだす。
行儀がわりいな、神さんってのは。みためはタダのわかい女だし。
「いますぐ姿を消して、この世界……つまりあなたに、二っ度っと関わらないことも出来るんでっすけどぉー?」
グサグサ、グサリ!
つけあわせの根菜をつぎつぎと、箸に刺していく。
「そりゃ、困る――」
――まじでわるかった。
たのむから、くわしい話を聞かせてくれ。
ここはどこで、おれはどうしてここに居る。
そして、あんたはそれに、どうかかわってんだ?
「大したはなしじゃないわぁー……もぐもぐ……この酒瓶で、すっ転んだあなたは死んじゃったんだけどぉー……おっぼえてるーぅ?」
まる机に置かれたのは〝香味庵〟と書かれた黒磁器の壺。
持ちひもに、おれがくくりつけた猪口がぶらさがってる。
――まちがいなく、さっき落として割ったやつだ。
神を名のる、神出鬼没の女だ。それくらいの芸当もできんだろ。
「まるで、おぼえちゃいねえが……そういうこともありえるか」
よくみりゃこの酒瓶がでかいんじゃなくて、おれがちぢんでただけだな。
「達観してるわね――――ぐびぐびり、っぷはぁー! さすがくさっても生臭坊主――ケタケタケタ♪」
とぽとぽとぽ――空いた樽杯に並々と注がれる、澄み酒。
「おい、それくらいにしておけ」
……おれのぶんが無くなる。いそいで酒瓶をとりかえした。
「なによう、女神はお酒飲んじゃいけないってゆーのっ!?」
じとり……あー、目が据わって来やがった。
こいつ、酒を飲みなれてねえな。
「けどそろそろ給仕に戻らねえと、女将の大さじがいつ飛んでくるかわかんねーだろ?」
「だいじょうぶよーん。女神である、あたしの食事はもっとも尊いモノとして設計したから。……この世界を――――ゴクゴクゴクゴクッ!」
ぷはぁ――――タァン!
勢いよく叩きつけられる、木で出来た杯。
「でぇーい。なんか聞き捨てならねえことを言われた気もするが――――とどのつまりはどういうこった!? 俺になんかさせたくて地獄に呼びつけたのか?」
しかたなく、酒を注いでやる。
「ここは地獄じゃないし、要求も一切ないわぁーん」
「なん……だとう?」
「しいていうならぁー、定期連絡の名目でぇ、あたしにぃーおいしーいごぉはぁんーをー食べさせてほしーなーってくらい?」
なんかおれのことぁ、〝うまい飯を食いにきたついで〟って聞こえた気がするんだが。
「んふふぅー♪ あら、おいしー! ごきゅごきゅごきゅ――ぱくぱくぱくぱく――もぎゅもぎゅもぎゅり!」
底のぬけた桶みたいに飲み食いしやがって。
……肉を野菜で巻いたのは、相当うまいらしいな。
くぎゅるるるるる~♪
って、なんであんたの腹の虫が鳴ってんだよ?
「しあわせー♪ これあとで女将さんにレシピもらっといてくれない?」
「霊刺秘ぃ……なんだぁそいつぁ?」
「うん? もぐもぐ……ごきゅり。ふはぁー、やっぱり時代錯誤がはなはだしいわね――――じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?」
神を名乗るもんに、まじまじと見つめられると、腹の底を見透かされてるようでうまくねえ……じっさいに心を読まれてるしな。
「……んーっと天正生まれ? いつだっけ天正って……」
いつっちゃどーいうこった?
ことしは元和元年だろうが。
「じゃー、あなたにINTタレットを付けてあげる♡」
「因照減簾だぁ?」
……どこのどいつでぇ、そいつは。
女神の背中にいくつもくっついてた太鼓が、くるくるとひっくり返った。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜
ばふぉりん
ファンタジー
こんなスキルあったらなぁ〜?
あれ?このスキルって・・・えい〜できた
スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。
いいの?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
天冥聖戦 外伝 帰らぬ英雄達
くらまゆうき
ファンタジー
戦闘には必ず犠牲が出る。
誰もがかっこよく戦えるわけではない。
悩み苦しみ時に励まし合い生きていく。
これは彼らの物語。
鞍馬虎白と共に戦い帰れなかった英雄達の物語
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【全12話/完結】リタイア勇者たちの飲み会
雲井咲穂(くもいさほ)
ファンタジー
◇12/20:::HOT90位ありがとうございました!RPGで言うところの全クリをした後、富も名声も女も時間も何もかもを満喫しつくした「元勇者=リタイア勇者」たちと、設定上やられ役=悪役キャラの魔王や魔女たちが繰り広げる、ほのぼの居酒屋同窓会。
自己中神様にハレンチ女神。不倫二股ヒロインたちも登場して、毎夜毎夜飲みまくる、胃袋ブレイク。
(いろいろ増えるよ。登場するよ)
※加筆修正を加えながら、ゆっくり更新中です。
※第二回お仕事コン楽ノベ文庫賞の受賞候補作品でした。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
神色の魔法使い
門永直樹
ファンタジー
かって『神色の魔法使い』と呼ばれた男がいた。
王国の専属治療師でもあり、王国師団『ヴォルテックス』の第一師団長でもあった彼だが、ある出来事を境に王国から姿を消した。
彼の名前はクレイグ。
相棒であるユリと、二人を取り巻く人々の冒険譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる