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1:輪廻転生、おいでませガムラン町
2:輪廻転生、地獄だった
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「ふはぁ、ひぃぃ、ふへぇ……」
いくさ場じゃ悪鬼羅刹と恐れられたおれが、酒瓶ひとつかかえただけで、いまにも倒れそうだった。
ゲタもぞうりもねえから、足のうらも傷だらけだ。
もうじき日が沈む。
目のまえには粗末なつくりの城壁。
城らしい城は見あたらねえが、なかにはいりゃ雨風やオオカミくれえはしのげるだろ。
「そこの子供、とまれ!」
やぐら組みの門にたどり着くと、門番らしい大男にとめられた。
すきまだらけの甲冑が、夕日にギラギラ光ってる。
そんな冗談みてえな装束じゃ、夜襲をしかけることも防ぐこともできんだろうに。
「汚いな。孤児か……ちょっとまってろ!」
大男はどこかへ行ってしまう。
けど、まってろと言うなら、まってやる。
こちとら、ろくな着物も着ちゃいない。
うばわれて困るモノは命だけだ。
「なまりのない、みやこ言葉を話してたな」
話がつうじるなら、いつもの説法をつかうところだが、おれぁいまガキだし袈裟も錫杖もねえ。
いざとなったら酒瓶を投げつけてやる!
と身構えるおれに、大男は外套のような服を着せてくれた。
「この札をもって、あっちのつきあたりに行ってみろ。めしと寝どこぐらいは用意してくれる」
表情はかわわらず厳ついままだが――
「かたじけない」
おれは片手でかるく印をむすび、そうそうに立ちさる。
足のうらがいてえが、石だたみには小石ひとつ落ちてなく、はや足で歩くことができた。
経験上、こういうときは長居しないのがいちばんだ。
がやがやがや。
うす暗い通路のつきあたりでは、たいまつをかかげた町人が、たわいのない話をしながら列に並んでいた。
いっせいに向けられた顔――
「わょぬらひへひぉろえぃーーーーぁ!?」
おれは二度目の奇声を上げ――ガッシャァァァァン!
酒瓶をおとしてしまった!
「あら、割れちゃった? それにしても、かわいらしい子供ね」
と、にこやかに微笑むのは、とがった耳の麗人。
その額から、一本角が突きででやがる。
いわゆる鬼だ。
おれは3年前の大いくさのときに、一度だけ見たことがあった。
こんなに綺麗な顔はしてなかったが。
――ドズズゥゥン!
小柄な男が地面に置いたのは、身の丈よりも大きな金槌。
おれの錫杖も腕くらいの太さがあって、そうとうな目方だったが、あんな鉄塊では無かった。
「フッギャー!?」
地響きにおどろいた、猫のあたまをした一家らしき集団が、路地のかべをとびこえて逃げていく。
「…………」
鳥あたまや……何あたまだかわからない毛むくじゃらは、身じろぎもせずソコに居て、コチラを値踏みするような視線を向けている。
「なんだヒヒィン!?」
「どうしたニョロ?」
腰から下が馬や蛇どもが、手にした槍や剣から雷光や炎をほとばしらせた。
やっぱりここは――地獄だった。
いくさ場じゃ悪鬼羅刹と恐れられたおれが、酒瓶ひとつかかえただけで、いまにも倒れそうだった。
ゲタもぞうりもねえから、足のうらも傷だらけだ。
もうじき日が沈む。
目のまえには粗末なつくりの城壁。
城らしい城は見あたらねえが、なかにはいりゃ雨風やオオカミくれえはしのげるだろ。
「そこの子供、とまれ!」
やぐら組みの門にたどり着くと、門番らしい大男にとめられた。
すきまだらけの甲冑が、夕日にギラギラ光ってる。
そんな冗談みてえな装束じゃ、夜襲をしかけることも防ぐこともできんだろうに。
「汚いな。孤児か……ちょっとまってろ!」
大男はどこかへ行ってしまう。
けど、まってろと言うなら、まってやる。
こちとら、ろくな着物も着ちゃいない。
うばわれて困るモノは命だけだ。
「なまりのない、みやこ言葉を話してたな」
話がつうじるなら、いつもの説法をつかうところだが、おれぁいまガキだし袈裟も錫杖もねえ。
いざとなったら酒瓶を投げつけてやる!
と身構えるおれに、大男は外套のような服を着せてくれた。
「この札をもって、あっちのつきあたりに行ってみろ。めしと寝どこぐらいは用意してくれる」
表情はかわわらず厳ついままだが――
「かたじけない」
おれは片手でかるく印をむすび、そうそうに立ちさる。
足のうらがいてえが、石だたみには小石ひとつ落ちてなく、はや足で歩くことができた。
経験上、こういうときは長居しないのがいちばんだ。
がやがやがや。
うす暗い通路のつきあたりでは、たいまつをかかげた町人が、たわいのない話をしながら列に並んでいた。
いっせいに向けられた顔――
「わょぬらひへひぉろえぃーーーーぁ!?」
おれは二度目の奇声を上げ――ガッシャァァァァン!
酒瓶をおとしてしまった!
「あら、割れちゃった? それにしても、かわいらしい子供ね」
と、にこやかに微笑むのは、とがった耳の麗人。
その額から、一本角が突きででやがる。
いわゆる鬼だ。
おれは3年前の大いくさのときに、一度だけ見たことがあった。
こんなに綺麗な顔はしてなかったが。
――ドズズゥゥン!
小柄な男が地面に置いたのは、身の丈よりも大きな金槌。
おれの錫杖も腕くらいの太さがあって、そうとうな目方だったが、あんな鉄塊では無かった。
「フッギャー!?」
地響きにおどろいた、猫のあたまをした一家らしき集団が、路地のかべをとびこえて逃げていく。
「…………」
鳥あたまや……何あたまだかわからない毛むくじゃらは、身じろぎもせずソコに居て、コチラを値踏みするような視線を向けている。
「なんだヒヒィン!?」
「どうしたニョロ?」
腰から下が馬や蛇どもが、手にした槍や剣から雷光や炎をほとばしらせた。
やっぱりここは――地獄だった。
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