紅蓮慕情

井海博人

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萌芽 八

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 だけど、俺はやっぱり目の前の腹の膨らみが気になる。

千津流が軽くイクたびにそんなに腹に力を入れて大丈夫なのか、とハラハラしてしまって興奮し切れない。

千津流の子供みたいな細くて頼りない下半身と、ほんのり膨らみかけた腹の対比にはかなりそそられるんだが。

 ――くっそ、気が散ってしょうがねぇ。

 萎えないうちに挿れてやろうと思って体を起こしたが、本当に挿れても問題ないのかと思わず動作を止めて考えてしまった。

すると、それに気づいたらしい千津流がうっとりとした口調で忠告した。

「あ……和くんが上にならない方がいいかも……」

 確かに俺が上だと腹が潰れる。

なら騎乗位かと思って俺がベッドに寝ようとすると、「和くん座って」と言われた。言われた通り軽くあぐらをかいて座ると、千津流が起き上がって俺を跨いでくる。

一旦膝立ちの姿勢で俺のモノを手に取り、もう片方の手で襞を開いて肉茎の先端を秘所の入り口にあてがう。

軽く体を落として様子を確かめ、亀頭の先が少しだけ自分の中に潜り込んだのを知ると、俺の肩に両手を置いてゆっくりと腰を下ろし始めた。

俺も両手で千津流の体を脇から支えてやる。

「んんっ……」

 自分から挿れるのにあまり慣れてない千津流は、少し辛そうに声を上げながら少しずつ俺のモノを自分の中へ沈ませていく。

腰を揺らし、時折角度を調整するように動きを止め俺のデカいモノを咥え込んでいくその姿には、焦らされているみたいで普段だったらメチャクチャ興奮するはずだ。

なのにやっぱり、いつものような昂ぶりは湧き上がってこない。

 そうはいっても、久しぶりの千津流の中はやっぱり気持ちよくて、俺のモノが襞で覆われていくごとに温かさとぬめりを感じて、それを受けて俺自身がさらにグンと膨張すると、千津流の中はほどよいきつさになって俺を圧迫してくる。

 俺の猛りを根元まで飲み込んで完全に俺の足の上に座る形になると、千津流は俺の首に腕を回して体を押し当ててしばらくその状態でジッとしていた。

耳元で千津流が深く息を吐くのが聞こえる。

二人とも動かないと、俺のモノが脈打っているのか、それとも千津流の膣内がざわめいているのか、ヒクッヒクッという軽い振動が伝わってくるのが分かった。

 腰を振ろうかと思ったものの、こんな太いモノが腹の中に入って流産したりしないのかとにわかに不安になる。

そもそもこの体位って結構深く入ってんじゃないのか?

「千津流……自分で動ける?」

 俺から体を動かすのは何だか怖くてそう問いかけると、千津流は小さくうなずいて少しずつ上下に弾み始めた。

俺も下から突き上げたりせず、回すように腰を揺らしてなるべく刺激を与えてやる。

「なんか……和くん少し逞しくなったね」

 突然、首に回していた片腕をはずして若干体を引くと、俺の胸に手を当てて視線を走らせながら少し陶然とした表情のまま千津流が感慨深げに言った。

「え? そう?」

 まだ今のバイトを始めて一月経ってないけど、確かに筋肉痛はなくなったし前は苦労して持ち上げてた鋼材も今はそれほど全身の力を使わなくても担ぎ上げられる。

俺は別にマッチョってほどじゃなくても腹筋はそこそこ割れてるし、弓道をやってたせいで腕の筋肉は最初からある程度ついてた。

建築現場では結構体のいろんなところを使うから、まぁそれなりに鍛えられているとは思う。

 俺の上で微かに揺れながら、千津流があんまり俺の体を見つめて胸の辺りを撫でさするもんだから、ついからかいたくなった。

「何? 何かやらしいこと考えてんの?」

「か、考えてないよ……」

 慌てて否定して千津流は目を伏せる。

そんな仕草はやっぱり可愛い。

俺の首に改めて両腕を回した千津流から片腕を放し、すぐ近くで揺れる乳房の片方を手に取り下から揉み上げてやると、千津流は腕を伸ばして俺が手を動かしやすいように姿勢を変えた。

「ん……ん……」

 胸への愛撫が気持ちよかったのか、体の揺れが大きくなり、千津流が快感に溺れ始める。

目を瞑りながら時折熱い喘ぎを漏らす千津流の顔がすぐ目の前にあって、普段ならそれだけでかなり煽られるところだ。

 千津流が体を動かすたびに俺のモノがゆるゆると内壁を擦り、少しずつ絶え間なく送られる刺激に千津流は緩やかに上り詰めようとしている。

その証拠に千津流の中は徐々に俺を圧迫し始め、それに合わせて千津流の体はピクッピクッと小さく震える。

クチュックチュッという水音もそれほど大きくなく、ゆったりとした行為を象徴している。

「あっ……んっんっ……」

 しばらくすると、俺の首に掴まったまま千津流が軽く仰け反って絶頂を迎えた。

同時に俺のモノも締め付けられるがあまり強い力はかかってない。

 ふぅっと大きく息をついて、千津流はまた俺に抱きついてきた。

俺はその耳元に口を寄せて静かに問いかける。

「千津流、抜いていい?」

「え……? でも、和くんまだイッてないよ?」

「そうなんだけど……」

 このまま千津流の中に出すのはどうしても腹の子供に精液をかけているような気がしてなんだか嫌だ。

それもあって行為にあまり集中できない。

「だから、千津流に口でしてもらっていい?」

「ん……いいよ。ホントはわたしも、もっとしてもらいたいけど……」

 俺が自分の心境を素直に話すと、千津流はあっさりとうなずいて立ち上がりキュポと音を鳴らしながら名残惜しそうに自分の中から俺を抜いた。

俺のモノは蜜で艶々と濡れていたけれど、千津流は愛液が垂れてくるほど感じていたわけではないらしい。

 俺だっていつもみたいに、千津流が気絶するくらいやってやりたいよ。

千津流に「もっと」なんてねだられるのもそうそうないことなのに――やっぱ、なんかの拷問か、これ。

千津流がこんなにその気になってんのに応えてやれないなんて、こういう時に腹の子供がちょっとばかり疎ましく思うのは、やっぱり男の身勝手ってもんか?

「ごめん。千津流。子供が生まれるまで、俺してやれないかも」

 こんな落ち着かない気持ちでセックスしたのは初めてで、何だか情けない思いでそう告げると、千津流は俺を励ますように満面の笑みを浮かべた。

「うん。じゃあ、この子が産まれたらまたいっぱいしてね」

 そうやって微笑む千津流は限りなく母性的で、千津流は俺より全然大人なんだよなぁと思ったらちょっとだけ泣きたくなった。

 千津流に前屈みの姿勢を取らせるのはやっぱり子供に負担をかけるだろうと思い、俺がベッドの端に腰をかけると千津流は意図を察して俺の前の床に座り込む。

長い髪を背中の方へ払いのけてから、気にする様子もなく愛液まみれの俺のモノを慣れた手付きで手に取ると、まず先端だけ口に含む。

口の中で尿道口に潜り込ませるように舌先をグリグリと押し当て、愛液を舐め取るように太い怒張の全体に舌を這わせたあと、喉の奥に届きそうなほどギリギリまで咥え込み顔を前後に動かし始める。

 千津流のフェラも大分スムーズになった。

俺のモノはどうしても千津流の口には大きすぎるみたいだが、そのせいで唇の圧迫感がたまらない。

膣内とはまた違った感触の上、千津流が結構強い力で指を使ってしごいてくれてるからすぐに出したくなってきた。
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