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酔惑 四
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姉と同様ピクピクと痙攣しつつ、完全に放出が止まるまで彼女の中に留まっていた俺は、腰を支えたままゆっくりと体を離した。
まだ宙に掲げられた状態の姉の膣内から、愛液交じりの俺のモノがつぅっと細く長い糸を引いて畳に垂れる。
姉はその感触にすら快感を覚えるように、しばらく俺が抜けたままの姿勢で目を閉じて静止していた。
二人で息を鎮めていると、無情にもインターホンが鳴る。
俺は軽く舌打ちをして姉の文机に近づきティッシュを取って自分のモノを拭うと、ズボンを引き上げながら立ち上がった。
「和くん……」
部屋を出ようとすると、小さな声が聞こえる。
振り返ると、膝を折り曲げて畳の上にしどけなく寝転がっている姉が、まだ上気した顔を俺に向けていた。
「一時間くらいしたら、また来てもらって……」
「分かった」
姉の言葉にうなずいて、俺は台所まで行くと応答用のインターホンのボタンを押す。
門の向こうにいたのはやはり横川で、今日は襟付きコットンシャツにスラックスという少しラフな服装だ。
「横川さん?」
俺がインターホン越しに呼びかけると、多少不安げだった横川の顔がパッと明るくなった。
まるで彼女を迎えに家まで来た中学生みたいだ。
「あ、あの、千津流さんは……」
「姉はちょっと体調悪くてさっきまで寝てたから、まだ出かける準備ができてないみたいなんで、あと一時間くらいしたらまた来てくれますか?」
「あっ、そっ、そうだったんだ。そっか、それで電話にも……。じゃあ、一時間くらいしたらまたお邪魔します」
向こうからは俺の姿なんか見えないのに、横川はそう言うと律儀に頭を下げて門の前から去っていった。
シャワーを浴びに風呂場へ向かったらしい姉に脱衣所の外からその旨を告げると、「ありがとう」と返事が返ってくる。
礼を言われることじゃない気がするが、姉も横川との外出を別に楽しみにしているわけじゃなかったんだな、というのは何となく理解できた。
七月の初めには期末テストが待っていて、おまけに姉は生理がきてまたお預けの日々が続く。
少し前の行為の最中に排卵期がどうのとか言ってたけど、特に問題はなかったみたいだ。
梅雨は平年通りに明け、終業式を迎える頃には本格的な夏が到来した。
空がカラッと真っ青に晴れ上がり日差しは強く照り返す。
俺の家はどの部屋にもクーラーが完備されているが、造りのせいなのか都内にもかかわらず窓や障子を開け放っているといい風が通り抜けて夏でも思いのほか涼しい。
俺は七月の末に都内で行われる弓道部の競技会に向けて、連日部活に励んでいた。
俺としては総体までは参加せず競技会で引退するつもりで、次の部長も部員の話し合いによって既に決定されている。
八月には合宿もあるが、三年は自由参加のため俺は断ることにした。
エスカレーター式の俺の高校は、テストで赤点さえ取らなければ進学にはほとんど問題はないし、夏休みの補習も受けなくてすむ。
俺はまぁ、そこそこ余裕な成績で終業式を迎えたため大事ないが、悟志は帰宅部のくせに赤点をたっぷりもらったおかげでやはり連日補習を受けに学校へ来ていて、結局毎日のように顔を合わせているから何だか夏休みという気が全くしない。
女と遊んでばっかりいるからだと俺にたしなめられてもどこ吹く風で、帰りにはどこかで遊んで行こうとしきりに誘われた。
世間の夏休みに合わせるように、姉の通信大学でもスクーリングの夏期講習が始まり、父親の仕事を手伝ったりと姉も家を空ける日が多くなった。
そのため、受験生の本分を忘れない程度には、俺も悟志の誘いに乗ることにする。
夏期講習といっても要するに料理教室に参加するようなものらしいが、真面目な姉は蒸し暑い中熱心に通っている。
父親は夏休みもあまり関係ないようだが、母親は普段夜にしか時間を取れない生徒たちが、夏休みには昼にレッスンを変更するため少し変則的な仕事時間になるせいで夜は大抵家にいた。
そんな様々な事情が重なって、驚いたことに七月中俺が姉を抱いた日は結局一日もなかった。
誕生日の時に姉がどう断ったのか、七月一杯横川は姿を見せなかった。
そのことだけが俺の心を僅かに慰めた。
七月末の競技会開催の日、部員との打ち上げを終えて俺が帰宅すると、母親が一人床の間の花を活けかえていた。
声をかけると、姉がまだ帰ってこないという。
時刻は午後十時を過ぎるところだ。
今日姉は女子高時代の友人と会食に出かけたらしい。
小山内琴子という名前からするといかにも和風な印象を受けるその姉の友人は、ショートカットの髪型が象徴するように至ってボーイッシュな性格で、何度かうちに遊びにきたことがあるが、大口を開けて笑うようなある意味豪快な女性だ。
内気な姉の面倒を見るのは自分だとばかりに世話を焼き、年に何度かは彼女を食事に誘い出す。
高校時代から早くも遣り手ばばぁの貫禄を見せていて、姉を合コンに参加させ男を紹介しようとしたこともあるくらいだから、俺にとっては侮れない相手だ。
「さっき電話があったんだけど、千津流少し遅くなるんだって。終電にはならないと思うけど、お母さんはこれ終わったらもう寝るから、和臣、駅まで迎えに行ってくれない?」
競技会で疲れている息子を随分こき使うじゃないかとは思うが、姉のためならそれくらいは喜んで引き受ける。
最寄り駅からの帰路に暗い夜道は少ないが、それでももし万が一姉が変態男に襲われでもしたらどうすんだ。
まだ宙に掲げられた状態の姉の膣内から、愛液交じりの俺のモノがつぅっと細く長い糸を引いて畳に垂れる。
姉はその感触にすら快感を覚えるように、しばらく俺が抜けたままの姿勢で目を閉じて静止していた。
二人で息を鎮めていると、無情にもインターホンが鳴る。
俺は軽く舌打ちをして姉の文机に近づきティッシュを取って自分のモノを拭うと、ズボンを引き上げながら立ち上がった。
「和くん……」
部屋を出ようとすると、小さな声が聞こえる。
振り返ると、膝を折り曲げて畳の上にしどけなく寝転がっている姉が、まだ上気した顔を俺に向けていた。
「一時間くらいしたら、また来てもらって……」
「分かった」
姉の言葉にうなずいて、俺は台所まで行くと応答用のインターホンのボタンを押す。
門の向こうにいたのはやはり横川で、今日は襟付きコットンシャツにスラックスという少しラフな服装だ。
「横川さん?」
俺がインターホン越しに呼びかけると、多少不安げだった横川の顔がパッと明るくなった。
まるで彼女を迎えに家まで来た中学生みたいだ。
「あ、あの、千津流さんは……」
「姉はちょっと体調悪くてさっきまで寝てたから、まだ出かける準備ができてないみたいなんで、あと一時間くらいしたらまた来てくれますか?」
「あっ、そっ、そうだったんだ。そっか、それで電話にも……。じゃあ、一時間くらいしたらまたお邪魔します」
向こうからは俺の姿なんか見えないのに、横川はそう言うと律儀に頭を下げて門の前から去っていった。
シャワーを浴びに風呂場へ向かったらしい姉に脱衣所の外からその旨を告げると、「ありがとう」と返事が返ってくる。
礼を言われることじゃない気がするが、姉も横川との外出を別に楽しみにしているわけじゃなかったんだな、というのは何となく理解できた。
七月の初めには期末テストが待っていて、おまけに姉は生理がきてまたお預けの日々が続く。
少し前の行為の最中に排卵期がどうのとか言ってたけど、特に問題はなかったみたいだ。
梅雨は平年通りに明け、終業式を迎える頃には本格的な夏が到来した。
空がカラッと真っ青に晴れ上がり日差しは強く照り返す。
俺の家はどの部屋にもクーラーが完備されているが、造りのせいなのか都内にもかかわらず窓や障子を開け放っているといい風が通り抜けて夏でも思いのほか涼しい。
俺は七月の末に都内で行われる弓道部の競技会に向けて、連日部活に励んでいた。
俺としては総体までは参加せず競技会で引退するつもりで、次の部長も部員の話し合いによって既に決定されている。
八月には合宿もあるが、三年は自由参加のため俺は断ることにした。
エスカレーター式の俺の高校は、テストで赤点さえ取らなければ進学にはほとんど問題はないし、夏休みの補習も受けなくてすむ。
俺はまぁ、そこそこ余裕な成績で終業式を迎えたため大事ないが、悟志は帰宅部のくせに赤点をたっぷりもらったおかげでやはり連日補習を受けに学校へ来ていて、結局毎日のように顔を合わせているから何だか夏休みという気が全くしない。
女と遊んでばっかりいるからだと俺にたしなめられてもどこ吹く風で、帰りにはどこかで遊んで行こうとしきりに誘われた。
世間の夏休みに合わせるように、姉の通信大学でもスクーリングの夏期講習が始まり、父親の仕事を手伝ったりと姉も家を空ける日が多くなった。
そのため、受験生の本分を忘れない程度には、俺も悟志の誘いに乗ることにする。
夏期講習といっても要するに料理教室に参加するようなものらしいが、真面目な姉は蒸し暑い中熱心に通っている。
父親は夏休みもあまり関係ないようだが、母親は普段夜にしか時間を取れない生徒たちが、夏休みには昼にレッスンを変更するため少し変則的な仕事時間になるせいで夜は大抵家にいた。
そんな様々な事情が重なって、驚いたことに七月中俺が姉を抱いた日は結局一日もなかった。
誕生日の時に姉がどう断ったのか、七月一杯横川は姿を見せなかった。
そのことだけが俺の心を僅かに慰めた。
七月末の競技会開催の日、部員との打ち上げを終えて俺が帰宅すると、母親が一人床の間の花を活けかえていた。
声をかけると、姉がまだ帰ってこないという。
時刻は午後十時を過ぎるところだ。
今日姉は女子高時代の友人と会食に出かけたらしい。
小山内琴子という名前からするといかにも和風な印象を受けるその姉の友人は、ショートカットの髪型が象徴するように至ってボーイッシュな性格で、何度かうちに遊びにきたことがあるが、大口を開けて笑うようなある意味豪快な女性だ。
内気な姉の面倒を見るのは自分だとばかりに世話を焼き、年に何度かは彼女を食事に誘い出す。
高校時代から早くも遣り手ばばぁの貫禄を見せていて、姉を合コンに参加させ男を紹介しようとしたこともあるくらいだから、俺にとっては侮れない相手だ。
「さっき電話があったんだけど、千津流少し遅くなるんだって。終電にはならないと思うけど、お母さんはこれ終わったらもう寝るから、和臣、駅まで迎えに行ってくれない?」
競技会で疲れている息子を随分こき使うじゃないかとは思うが、姉のためならそれくらいは喜んで引き受ける。
最寄り駅からの帰路に暗い夜道は少ないが、それでももし万が一姉が変態男に襲われでもしたらどうすんだ。
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