紅蓮慕情

井海博人

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花の跡 五

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「あっ……あっあっ、あんんっ……」

 ベッドカバーを握り締め、姉は自分の中を進んでいく指より遥かに太いモノの呼び起こす感覚にビクビクと痙攣しながら耐えている。

 久しぶりの姉の中は、忘れていたきつさが戻ってきていた。

愛液のおかげで滑りは悪くないが、俺のモノを周囲から押し潰そうとする肉壁の力は相当強い。

それだけで気持ちよくて、今すぐにでも自分の中で滾っているものを解放してやりたいのはやまやまだが。

今日はまだ別の目的が残っていたから、そこはグッと堪えた。

 自分のモノの先端が子宮口を捕らえるのが分かると、姉の膝裏に手を添え胸の方へと折り曲げ、そのままピストン運動を開始する。

最初はゆっくりと、姉が快感を得やすいように少し腰を揺らしながら出し入れをし、だんだんと速度を上げていく。

それに合わせて濃厚な愛液を垂らす姉の秘所も、ぬちゃっぬちゃっと例えようもなく淫らな音を立て始める。

「ふぅぅん……はん……ああん……」

 姉の喘ぎ声が鼻の奥から発されるようになると、もう姉も上り詰めようとしているのが分かる。

まるで俺に見せつけるように白い喉を晒しながら何度も天井を仰ぎ、両手でシーツを握り締めて胸を俺の方に突き出すように背を反らせる。

俺自身もそれに煽られるように硬く大きく膨れ上がった棹を姉の奥に突き立てる。

俺のモノが膣奥を刺激するたびに何度も軽くイッているらしく、姉の内部はしきりと俺を捕らえようとする。

 ……気のせいかもしれないが、姉が自分から腰を振ってないだろうか。

ベッドの振動でただそう見えるだけかもしれないが。

「あっ、和くんっ……! あんっ、あっ、あぁぁんっ……!」

 俺の名前を呼びながら、姉が背中を弓なりに反らせた。

同時にその内部が俺を離さぬよう完全に捕らえ、締め上げる。予想通りあっという間にイッたらしい。

 狭い上に強烈に締め付けられ、あやうくそこでイキそうになった俺は、愛液を飛び散らせながら姉の中から自分を引き抜き、そのまま彼女の腹の上に熱いしぶきをぶちまけた。

勢いがあったおかげで白濁液は姉の首の方にまでかかり、俺は自分でモノをしごくと一滴残らず、玉が空になるまで出し切った。

 ――さすがに息が切れる。

 自分の上に俺のものが大量にかかっているのが分かっていないのか、姉も瞼を閉じたまま大きく胸を上下させている。

俺は指を使って姉の体に自分のものを塗りたくり、一部を指ですくって口で息をしている姉の口元に持っていった。

「舐めて」

 短く命じて小さく開いた姉の口の中に指を差し込むと、姉は素直に俺の指をしゃぶり、飴玉でも含んでいるように舐めまわす。

その姉の柔らかく温かい舌の感触にまたぞくぞくとこみ上げてくるものがあって、俺は適当なところで指を姉の中から抜き出した。

 ティッシュで自分のものを拭い、ズボンを履いてベッドに腰を下す。

姉はまだ力なく足を広げベッドに横たわったままだ。

俺のつけたキスマークと俺の吐き出した精液にまみれ、ぬらりとした光を帯びる愛液は黒い茂みまでも湿らせ、俺のベッドの上には染み込み切れていない濃い愛液が雫のまま残っている。

明らかに情事の後の赤味を帯びた全裸を惜しげもなく晒したその姉の姿を目にし、再び燈りかける情欲の炎を俺は懸命に堪えた。

 せめて自分の手で作り出したその光景を残しておくために写真でも撮りたいくらいだが、姉との関係を少しでも長く続けたいのなら、他人の目に触れてもおかしくないような証拠をどこかに保存しておくのはあまり得策じゃない。

俺にだってそれくらいの分別はある。

だから人の前では姉には近づかないようにしているし、家の中で、親のいない時にしか姉を抱かない。

制約が多くてかなり焦れることもあるが、一方的なものとはいえ、せっかく手に入れた姉との関係をちょっとしたことで不意にしたくない。

親思いの姉は自分さえ耐えれば家族の平和を守れると信じているのか、両親に俺の行為を訴え出る気配はないから、俺さえ軽率に行動しなければ俺のやっていることがバレることはまずありえない。

何のための何年も我慢したと思ってんだ。

「姉さん」

 俺がベッドに座ったまま上から姉を覗き込み、目を開けた姉に口付けようとすると、彼女はそれを避けるように俺を押しのけて起き上がった。

俺に抱かれてる時はあんなに感じてよがってるくせに、行為が終わった後の姉のつれない態度はいささか心外だ。

 姉はそのままブラジャーやショーツを身につけ始める。

「もう行くの?」

「……お母さんが戻ってくるから」

 俺の疑問に、姉は俺の方を全く見ないまま固い声で答えた。

俺は、それが少し寂しくて、姉の腰に腕を回すと背に流れる髪を掻き分けて、その滑らかな肌に口を寄せた。

「……明日、見合いで付き合おうとか結婚しようとか言われても、絶対断れよな」

 俺が釘を刺したってどうなることでもないが、そう言わずにはいられなかった。

それを耳にすると姉は一瞬動きを止め、その言葉の真意を計るかのようにしばらくの間黙っていたが、やがて小さくうなずいた……ようだった。
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