【完結】オレオレ！実は悪い女に唆されて夜会で婚約破棄をしちゃってさ……詐欺で前世を思い出した令嬢は人気の激レア副騎士団長様と事件解決を目指す

４０ 騎士団長様の飴と鞭

　状況を改善する為のお手伝いをしてもらおうと、優しくお腹を触り語り掛けて――またもや失言を重ねたことに気付く。

　恐る恐る顔を見上げれば。思いのほか優しい笑顔がそこに在って。


「……まったく。出会ってからというもの君には驚かされっぱなしだ。とりあえず、今日の所は飴の方にしとこうか」


　その言葉通り、帰りの馬車では散々甘やかされることになった。帰宅してもジャスティス様は甘いまま。

　けれどジャスティス様は『鞭』の方もしっかりと覚えていたようで。私がそのことに気がついたのは長男次男の双子を出産し、体調も落ち着いてお医者様から閨の許可がおりた日の夜の事。

　創作意欲を掻き立てられるレア顔の闇堕ちカードと共にこの先家族の方もどんどん増えていくことになる……んだけど。


『大家族』は旦那様の属性だから、まあ、仕方ない。




　――その後。

　彼の実家の侯爵家の後ろ盾の元、怯えることなく好きなだけ貴族トレカと家族を増やせるようになった私が、王妃様となった元王太子妃様ルートで彼女の娘の王女様に例のカードを使い遊び感覚で貴族関係を教える為に家庭教師に任命されちゃうとか、うわさを聞き付けた隣国の王家から勉強の苦手なウチの王子にも是非その勉強法を教えてほしいと非公式で招かれちゃうとか、お勉強用カードゲームで意気投合した我が国の王女様と隣国の王子様が婚約して両国から大感謝されるとか、訳の分からない事態の連続に巻き込まれる羽目になるのだが。


　まあ、みんな笑顔で幸せそうだからいいか――と流されるままに生きた自分がいちばん笑顔だったと気が付くのは人生の最後の最後。

　結論として。
　――ま、転生ガチャはそこそこ成功だったと思う。


　レアカードにプレミアまでついちゃって、相変わらず大人気の素敵な旦那様と。
　前世では出来なかった結婚まで出来たしね☆