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25 元婚約者のその後
しおりを挟む「魔石採掘現場での強制労働が決まったそうだ」
我が家の応接間で。副騎士団長様が彼の裁判結果を教えてくれた。
あれから半年。
元婚約者は騎士団によって捕縛され、例のオレオレ婚約破棄詐欺事件の主犯であることが明らかになった。取り調べの中でいくつかの事件は模倣犯の仕業であることが分かったが、新たな犯罪を異世界に持ち込んでしまった彼の罪は重いと思う。
そして。
貴族の繋がりを重視したのか。
恩を売る為か。
間違いなく彼が関わったと思われる詐欺事件でも、侯爵家の人間が犯人と分かるや否や被害届の取り下げをする貴族が相次いだ。
なので、彼が実際に裁判にかけられたのは表沙汰になっていた事件のうちの約半分ほどだ。
それでも被害金額はかなりのもので――彼は侯爵家から縁を切られてしまった。被害額は今後、彼個人が魔石採掘の仕事をしながら返していくらしい。
彼の本来の目的はどうあれ。騙しとった金のほとんどが侯爵家の借金返済に使われたことは確かなのに、そこは素知らぬ顔をして彼だけをバッサリ切り捨てるのは容赦がないと思う……が、それが貴族だ。やり方を間違えたのは彼自身だから同情はしない。
……あの日、彼に言ったことは私の真意だ。私との婚約破棄だけが目的だったのなら、ただそう言ってくれればよかった。
家と家との契約だから難しい事ではあるが、前世を思い出した後ならば、私がこっそりと始めた商会の稼ぎがごっそりとあるから、相談してくれれば彼が犯罪に手を染める前にどうにかしてあげられたのに。
――って。ああ……そもそも私が前世を思い出すキッカケが彼の犯した犯罪なのだから、どちらにしても手遅れか。
元婚約者とはつくづく上手くいかないな。
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