【完結】オレオレ!実は悪い女に唆されて夜会で婚約破棄をしちゃってさ……詐欺で前世を思い出した令嬢は人気の激レア副騎士団長様と事件解決を目指す

堀 和三盆

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16 さあ、もうひと頑張りよ!

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「すごい……! あれから、まだ一カ月ですよ!? 流石は副騎士団長様、仕事が早いですね!!」

「……いや、君こそあれからまだ一カ月だというのに、とんでもない行動力だな。二週間もしない間に王都の書店にダイエット本が並び始めた時は冗談かと思ったぞ。おい、ちゃんと寝ているか? 以前と比べて目の下のクマがすごいのだが……」

「ああ、現在ATМもどきの開発が佳境に入っていて……って、そんなにクマ目立ちます? なるほど…。社交シーズンなんかは特にですけど、夜会で帰りが遅くなる貴族の御婦人方は寝不足で、その辺お困りの方も多そうですね。クマをうまく誤魔化せる化粧品の需要なんかもありそう……」


 メモ、メモ……と、愛用のノートに書きとろうとして、眩暈を起こしてフラついてしまった。流石に、無理が過ぎたようだ。

 コロコロと、転がってしまったペンを副騎士団長様が拾ってくれた。


「おいおい、大丈夫か。アイディア豊富なのは素晴らしいが、体を壊したら意味がないだろう。いったん、落ち着け」

「そうですけど……書いておかないと……! ああ……目の下のクマで困っている貴婦人のためにも、もうひと頑張りしたい。こんなときにエナジードリンクさえあれば……! そうか、それも作ればいいのよ…! ウフフフフ……それに、栄養ドリンクなんかの需要もあるはず……お願い、忘れる前にペンを…ペンを……っ」

「わ…分かった、分かったから!! 俺が君の代わりにメモ帳に書いておくから、とりあえず休め! 『化粧品』に、『えなじー? ドリンク』に、『栄養ドリンク』だな」

「こ…こんな時の為の、ボイスレコーダー……、も……」

「ああ、もう! ほら書いたぞ。おい、誰かご令嬢を部屋へ……医者も呼んだ方がいいな」

「そうね…緊急時の通報システムがあれば、いざってとき安心……ああ、警備なんかにもつかえる……かも? ……そうすれば詐欺……通報…駆けつけ……3杯……はお酒、か。そうだ、ノンアルコール飲料……需要…きっと困っている人、が、いる…ハズ…」


 自分が何を言っているか分からなかったが、どうやら過労で倒れてしまったらしい。副騎士団長様が呼んでくれたという侯爵家お抱えのお医者様にとんでもなく叱られたが、体調が落ち着いたところでお医者様に栄養ドリンクの開発を持ちかけたらかなり乗り気で、共同開発を進めることになった。


 お忙しいのに余計なお仕事を増やしてごめんなさい! 完成したら優先的に提供しますので!!

 きっともうひと頑張り出来るようになりますよ! てへ☆




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