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5 副騎士団長様がやってきた
しおりを挟む「詐欺事件についてお話を聞かせていただけないでしょうか」
とある昼下がり。騎士団の制服を着た生真面目そうな男性が、ニコリともせずにそう言ってきた。その眼光は鋭く、私の発言をひと言も聞き逃すまいと顔は真剣そのもの。手にはメモ帳を持っている。
まるで犯人への尋問のようだがちょっと違う。
彼は、友人の夫の上司。いわゆる騎士団のお偉いさんだ。王都の治安維持を担う騎士団の副騎士団長。
――確か侯爵家の五男だったか。
…って、うん、そうそう! 間違いない!!
近衛騎士団長に――外交官や裁判官。――果ては宰相まで。
その才能あふれる豊富な人材で国の重要ポストを片っ端からもぎ取っていく、驚異の大家族一族――名門コート侯爵家。
……エリートあるところにコート侯爵家ありとまで言われ、王宮では各部署に一人はその名を持つ者がいるとかいないとか…………。
そのコート侯爵家の中でも市井の治安維持担当の騎士団に身を置く変わり種。
名門コート侯爵家五男のジャスティス・コート様だ。
……紺色の髪にビリジアンの目。その身が持つ濃い色合いに負けないくらいの重く固い無表情はまるで彼の持つ意志の強さの表れのよう…………。
記憶の中の情報と目の前の彼がばっちりリンクする。
うん……これは中々の『再現度』だ。おかげで彼の関連情報が次々と頭に浮かんでくる。
例の『アレ』の有用性が実証されちゃったかもしれない。
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