【完結】オレオレ！実は悪い女に唆されて夜会で婚約破棄をしちゃってさ……詐欺で前世を思い出した令嬢は人気の激レア副騎士団長様と事件解決を目指す

４ わくわく！ 本日の話題

　レヴリーは義祖母からの訳の分からぬ中傷と婚約者からの裏切りに多少落ち込んではいたものの、結婚後にソレが分かるよりは何十倍もマシだったとして、前向きな彼女はすぐに立ち直った。


　それに、この騒動をきっかけに彼女にはいい出会いもあった。


　街中で凸された際、自らの祖母の言動に呆然とする婚約者に代わって、王都の治安維持を担う騎士団員がいち早く現場に駆けつけ、騒ぎを治めてくれたのだ。

　事件についての調査を進める中で、事情を知ったその騎士団員が落ち込む彼女を気遣い慰めてくれて、今では良い関係を築きつつある――とのこと。

　幸い、相手側有責での婚約破棄だった為、慰謝料に加えて共同事業面での有利な取引条件も引き出せており、次の婚約については、相手の家にそれなりの爵位があれば自由にさせてもらえる、とのこと。跡継ぎではないものの、騎士団員は伯爵家出身なのでその面では何も問題はないようだ。


　そういう訳で『騎士団員の彼』の話をしている彼女には笑顔が戻っている。きっかけがなんであれ、大好きな友人が元気を取り戻してくれるのは嬉しい。何なら以前よりも幸せそうにすら見える。

　ただ、婚約を破棄してからはまだ日が浅いので、彼女は大っぴらにその辺を惚気ることは出来ない。

　なので、今日は人目に付かぬよう、我が家でその辺りの話をじっくり聞く予定で彼女を招き、二人きりのお茶会を開いていたのだが――。


「ねえ、それで！？　前世で有名なオレオレ詐欺って何なの？　被害は！？　解決法は！？　あ～もう、騎士団の彼ったら仕事熱心だから、絶対に聞きたがるはずよ！　是非、詳しく教えてちょうだい」


　彼女にとっては私の前世の方が興味深かったらしい。私としては引き続き騎士団員の彼との恋バナを聞きたかったのだが、逆にあれやこれやと聞かれてしまった。

　話の途中で私が前世を思い出してしまったせいで、大きく脱線をしてしまったようだ。






　……それから数年――。