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1 ソレソレ! 転生者
しおりを挟む『あっ、もしもし、オレオレ! 実は悪い女に唆されて夜会で婚約破棄をしちゃってさ。怒った両親から廃嫡されそうなんだよね。でも、今日中に婚約者の家に慰謝料5百万オークを支払えば、婚約破棄自体を無かったことにしてもらえるんだ。そう! 何もかもがそれで元通り。それで悪いんだけど、侍従を使いに出すからそいつに金を渡してくれないか? やった、ありがとう! それじゃー、頼むよ、おばあ様!』
「いや、それ絶対、転生者が犯人でしょ」
最近、王都ではそんな感じの詐欺が流行っている――友人からそれを聞いたとき。
反射的にそう答えて初めて『ソレ』に気が付いた。
――って、私も『転生者』じゃないのっ!!
「ちょっと、ソネットったら大丈夫?」
「ええ。ごめんなさいね、急に色々と思い出してしまったものだから。でも、御覧の通りもう大丈夫よ」
「そ、そうね。食欲はあるみたい。……ちょっと、ソネットったら本当にそんなに食べても大丈夫、なの……??」
前世の記憶を取り戻し、考えすぎて眩暈を起こしてしまった私。
とりあえず「脳が疲れた時には甘い物だ」と、友人とのお茶会用に準備しておいたケーキを食べまくっているうちに落ち着いた。
ちなみにコレもたった今、前世の記憶として思い出したことだ。
と、いうことで。
とりあえず美しくドレスを着こなすためのダイエットは一旦お休み。
ううーん♡ 転生してもケーキウマー☆
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