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22 番じゃないので別れません
しおりを挟む「あああああの、ファンゲン!? さっきも言ったけど、私、お母様との事でちょっと耳が弱くて……。あの、だから……っ」
「うん。もちろん知っているよ。君は耳に少しトラウマがあるようだから、婚約者として別のいい思い出で上書きしてあげる。ああ、それと……ハムハムッ♡」
「ぁひゃっ!??」
「こんな状況になるまでお義父様からの大切な伝言を忘れているなんて君は少しばかり記憶力に問題があるようだ。いい機会だからご両親の旅行中、僕と君の未来の為にしっかり、し~っかり、一番大切なことを教え込んであげないとね(にっこにこ♡)」
ハムハムハムハム…ハ~ムハムハム♡ ハムハムハム…ハ~ムハム♡ ハムハム……。
ハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハムハム………………ハム♡
宣言通り。
頭が良くて優しくて意外と容赦がない私の番は、両親の旅行中、思う存分弱い耳を甘噛みし続けて。私のトラウマを別の…………若干甘い、幸せと言えば幸せと言える別方向のトラウマに塗り替えた。
それと同時に。
必死に、そして執念深く。私に一つのことを教え込んだ。
「……うん。これだけ教え込めば大丈夫かな! じゃあ、最後の仕上げいってみようか? 最終試験だよ、ラシーヌ。僕達の幸せな未来には絶対に忘れてはいけないことだ。さあ、言ってごらん。もし間違えたら……ハムハムするよ?」
ひいっ! ……と喉から変な悲鳴が上がったが、確かに間違えたら大変なことになる。
だからできるだけ大きな声で。
「番じゃないので別れません!!」
「大変良くできました♡」
ハイご褒美……と、最後の仕上げにハムっと甘噛みされた。
…………正解したのに納得できない。
まあ、番じゃないので絶っっ対に別れませんけどね!!
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