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1 そう、番だったら別れなさい
しおりを挟む「そう、番だったら別れなさい」
笑顔でそう言うお母様。
正直、訳が分からなかった。だって。
そもそも、彼とのお付き合いを勧めてきたのはお母様なのよ?
ガチガチの番原理主義者ほどではないけれど。将来番と婚姻することになったときに自分の相手を悲しませたくないからと、私はギリギリまで異性との交際は控えようと思っていた。
けれど、私と幼馴染のファンゲンの仲が良いからと言って、付き合うようにしつこく勧めてきたのはお母様なのだ。
だから、あのとき私はファンゲンと……。
ダメ、取り乱してはだめよ。落ち着きなさい、ラシーヌ・ライフェ。あなたはライフェ侯爵家の一人娘なの。これしきの事で感情のままに思考を停止させてはいけないわ。
ちゃんと考えなさい。
お母様と私の間で、何か……行き違いがあるのかもしれないわ。
そう自分に言い聞かせ、どうにか気持ちを静めて、いつものように優しく微笑んでいるお母様を見る。
私の大好きなお母様。
美人で。優しくて。いいニオイがして。
ダメだわ、耳としっぽがないからお母様の考えていることはよく分からないし読みづらい。すぐにそこに感情が出てしまう私とは、全然、違…って……
!!
そうだわ! もしかしたら、お母様は私の言葉を聞き間違えたのではないかしら? 微かな音でも聞き取れる獣の耳を持つ私と違って、お母様は人間だもの。
『お付き合いしている幼馴染のファンゲンが私の番かもしれない』
それをお母様に伝えたとき、私はかなり興奮していたし、すごく早口だった。そのせいで人間のお母様は聞き間違えてしまったのかもしれないわ。
だから今度はゆっくりと静かに伝えてみたけれど―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――お母様の答えは変わらなかった。
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