【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた

堀 和三盆

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21 運命の分かれ道

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「すごいですわ! すごいですわ! 今日お会いした王太子殿下の側近の方に、お義姉様にお付き合いしている方はいるかを聞かれましたの。王太子殿下にはまだご婚約者がいらっしゃいませんし、これは、ひょっとしたらひょっとするのではないかしら? お義姉様が未来の王太子妃……なんて。キャー♡ そうなったらすごいですわ! すごいですわ、すごいですわぁ~♪♪」



 義妹が本日打ち合わせ予定だった最新のエッセイ本の原稿を抱え、くるくると楽しそうに回っている。いつもより回転が多い。義妹の望みが叶っている絶好調の合図だ。


 え……いや、まさか。ないわよね!? そんな面ど…恐れ多い。

 あ! ほら、大丈夫よ! 私には『あの資格』があるし……周りから婚約を忌避される……婚約破棄、の……。だからもしそんなことになっても、貴族が……国民が……民意、が。反対をしてくれる…………はず……。


「…………」


 今や一家に一冊とか言われている義妹の本。
 最新作に……何を書いているんだろう? と、くるくる回る義妹を目で追えば。

 大事そうに持っている原稿用紙から『すごい』とか『さすが』とか『お義姉様』とかいう文字が大量に見えますが……。

 義妹はまだ回っている。
 ダメだ。もう、本当に嫌な予感しかしない。


 落ち着いて。大丈夫よ。時間はかかったが義妹の『ずるい』も何とか解決できたのだ。選択さえ間違えなければ今回もちゃんと乗り切れるはず。

 考えろ。

 どうすれば大嫌いな面倒ごとを避けられるか?
 どうすれば大好きなのんびりとした生活を手に入れられるか?
 どうすれば――私が、みんなが幸せになれるのか?

 公爵令息か。
 高位の魔法使いか。
 王太子殿下か。

 私が出した結論は――。




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