【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた

堀 和三盆

文字の大きさ
上 下
19 / 28

19 どうしてこうなった

しおりを挟む

 義妹の説明によると。

 あの日、近くを通りかかった王太子殿下が王妃様のお声がけで少しだけお茶会に参加をされていたのだが。殿下はお茶会で話されている話題に興味を持ったものの、時間が無いせいであまり話をきくことができず残念に思っていたそうだ。

 そこで。

 お茶会終了後、王妃様に詳しく話を聞かせてもらうことになり、義妹の『すごいですわ情報』を織り交ぜられながらその話を聞いているうちに私の人間性に感動して――って、いやいやいや! 誤解!! ソレほぼ誤解ですから!!!


 高位の魔法使いに魔法をかけてもらっている云々のことは義妹を含め誰にも話していないので、義妹からしたら私から欲しいものを貰ったり、留学費用をバイト代で出してもらったり――の認識となっている。


『わがまま放題していただけなのに、義妹に過ぎない私の為にお義姉様はバイトをしてまで、あんなことやこんなことをしてくださって――……!!』


 義妹が『すごい、すごい』という言葉と共に発信するソレはあらゆる媒体で美談として取り上げられ広がって、ついには王太子殿下にまで……。


 どうしよう。誤解を解きたくても本当のことは言えないし。


 事情があったとはいえ、人の行動に影響を与えるような魔法を使うのはあまりよろしくない。だからこそ、ソレが簡単に出来てしまう高位の魔法使いは迫害され、人目を避けて隠れるように生活をしていたのだ。

 彼には義妹の『ずるい』を封印するためにえらい量の魔法をかけてもらった。わが国では魔法が一般的ではないために、そういった魔法を使うことに特に罰則等はない。

 しかしながら……。
 さすがに使用がバレてしまったら、まったくのお咎めなし――という訳にはいかないだろう。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

氷の姫は戦場の悪魔に恋をする。

米田薫
恋愛
皇女エマはその美しさと誰にもなびかない性格で「氷の姫」として恐れられていた。そんなエマに異母兄のニカはある命令を下す。それは戦場の悪魔として恐れられる天才将軍ゼンの世話係をしろというものである。そしてエマとゼンは互いの生き方に共感し次第に恋に落ちていくのだった。 孤高だが実は激情を秘めているエマと圧倒的な才能の裏に繊細さを隠すゼンとの甘々な恋物語です。一日2章ずつ更新していく予定です。

貴方だけが私に優しくしてくれた

バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。 そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。 いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。 しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー

月が隠れるとき

いちい千冬
恋愛
ヒュイス王国のお城で、夜会が始まります。 その最中にどうやら王子様が婚約破棄を宣言するようです。悪役に仕立て上げられると分かっているので帰りますね。 という感じで始まる、婚約破棄話とその顛末。全8話。⇒9話になりました。 小説家になろう様で上げていた「月が隠れるとき」シリーズの短編を加筆修正し、連載っぽく仕立て直したものです。

全てを奪われてしまいそうなので、ざまぁします!!

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
義母に全てを奪われたジュディ。何とかメイドの仕事を見つけるも義母がお金の無心にやって来ます。 私、もう我慢の限界なんですっ!!

“代わりに結婚しておいて”…と姉が手紙を残して家出しました。初夜もですか?!

みみぢあん
恋愛
ビオレータの姉は、子供の頃からソールズ伯爵クロードと婚約していた。 結婚直前に姉は、妹のビオレータに“結婚しておいて”と手紙を残して逃げ出した。 妹のビオレータは、家族と姉の婚約者クロードのために、姉が帰ってくるまでの身代わりとなることにした。 …初夜になっても姉は戻らず… ビオレータは姉の夫となったクロードを寝室で待つうちに……?!

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

嫌われ者の皇族姫

shishamo346
ファンタジー
両親に似ていないから、と母親からも、兄たち姉たちから嫌われたシーアは、歳の近い皇族の子どもたちにいじめられ、使用人からも蔑まれ、と酷い扱いをうけていました。それも、叔父である皇帝シオンによって、環境は整えられ、最低限の皇族並の扱いをされるようになったが、まだ、皇族の儀式を通過していないシーアは、使用人の子どもと取り換えられたのでは、と影で悪く言われていた。 家族からも、同じ皇族からも蔑まされたシーアは、皇族の儀式を受けた時、その運命は動き出すこととなります。 なろう、では、皇族姫という話の一つとして更新しています。設定が、なろうで出たものが多いので、初読みではわかりにくいところがあります。

ずっとお慕いしております。

竹本 芳生
恋愛
婚約破棄される令嬢のお話。 アンハッピーエンド。 勢いと気分で書きました。

処理中です...