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14 義妹と元婚約者……へー、そうだったのねぇ…
しおりを挟むさて。そんな義妹がなぜ元婚約者と付き合ったのかといえば――私から婚約を破棄され、実家も追い出され、行き場を失った彼が熱心に義妹を口説いたから。
そして。
「僕は全てを失った。だけど君を愛している。僕を救えるのは君だけだ……!」
「可哀想な彼には私が必要なの……!」
……と、クズ男にハマる女性のお決まりのパターンになったらしい。
ただ、元婚約者は伯爵家後継への婿入りを狙っていたらしく、継ぐのは私で義妹にはそのつもりも権利もないと知った彼はアッサリと義妹を捨てた。まさかそんな展開になっていたなんて、私はいっさい気が付かなかった。
では何でこの流れをここまで詳しく知っているのかと言えば……義妹の著書にその詳細が赤裸々に書いてあったからだ。
本はよく売れた。うちの商会でも取り扱っているので嬉しい悲鳴が止まらない。ただ、読む人が読めば誰のことかは分かってしまうので、やらかした側の元婚約者は普通に悲鳴を上げていると思う。
誰も知らない土地でやり直すにしても、うちの商会はかなり販路が広いから……隣の大陸でも義妹の本は大人気。彼が新天地を探すのは少々大変かもしれない。
この件に限らず、義妹は元婚約者のようなクズ男ばかりにひっかかる。
義姉としては義妹の趣味の悪さと男運の悪さが心配になるが、その都度作品に消化してネタにしているようなので――最近ではネタ切れ防止のためにわざとダメ男を選んで付き合っているのでは……? とか怪しんでもいる。
義妹の常識にとらわれない自由な発想とやらは私には理解不能なので真相は分からない。
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