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7 転機
しおりを挟む正直ビックリした。
これについては多少ガッカリもしたが――そもそもあのペンダントは義妹に奪われることを念頭に置いて用意した物だ。私の商品選択が完璧だっただけで、実際に奪われたところで何も問題はない。
義妹もペンダントをかなり気に入ったらしく、いつもより私へのお披露目の回転数も多かった。少し高かったがきっと大事にするだろう。そう思うしかない。
それに――よく考えてみれば、少しの間とはいえ狙い通りの効果はあったのだ。この方法の有効性は間違いないとみていいだろう。効果が確認できただけでも十分に収穫があったと言える。
さすがは高位の魔法使い。仕事ぶりが素晴らしい。
そう思った私は再びお母様の母国にいる高位の魔法使いに連絡をとって、今度は義妹が『不平等』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
「不公平ですわ、不公平ですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵なイヤリングが欲しいです!」
「贔屓ですわ、贔屓ですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な日傘が欲しいです!」
「差別ですわ、差別ですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵なソファーが欲しいです!」
ところが義妹はしぶとかった。
私は何かを奪われる度に高位の魔法使いに連絡を取って原因となった義妹の言葉を封じて貰っていたのだが、義妹はその都度封じられた言葉を次々に別の表現に言い換えて、サクサクサクっと自らの欲しい物を奪っていったのだ。
いくら封じてもキリがない。
そして思った。
もしかして。
うちの義妹は天才なのではないか――――と。
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