【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた

堀 和三盆

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4 義妹は魔法の言葉を手に入れた

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 その後も婚約者からの贈り物を奪われることが続いたので改めてお父様にも相談したが、


「お前と違ってあの子にはまだ婚約者もいないから『ずるい』と思ったのだろう。可愛いものじゃないか。お前の婚約者にとっても義妹は家族になるのだからきっと彼も分かってくれる。いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」

 ……と言って、事態をますます悪化させただけだった。


 以降、お父様に相談するだけ無駄だから、と義妹の欲しがるものは渡している。

 まあ、それでも今日はツイている方だ。気に入っているとはいえ、あの髪留めはお忍びで街へ行った時に自分で買った安物だし、誰かからの贈り物と違って被害を受けるのは自分だけだから気に病まなくて済む。考えるのも面倒だから義妹にあげて正解。


 ――けれど、いい加減それも面倒になってきた。


 高い物も安い物も関係なく、義妹は私が気に入った物を奪っていく。結果として私の部屋に残っているのは、私が気に入っていない物ばかり。

 義妹が私のお気に入りばかりを奪っていく影響で、彼女の趣味は私と近くなっている。それでますます狙われやすくなる。
 私が新しく何か買おうにも、どうせまたすぐ義妹に奪われると思うとお気に入りを探す作業すら面倒くさい。毎日、地味に精神が削られていく。

 なので。


 現状を変えるために、私は手を打つことにした




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